「総裁選挙の投票用紙です。自民党員ですが、政治に興味がなくなりましたので、お譲りします。レターパックライトにて発送します」
9月29日に開票が行われる自民党総裁選。フリマアプリのメルカリには、総裁選の「投票用紙」だとする商品が、2万円で出品されていた。
そのほかにも、SNS上では党員や党友でもないのに投票用紙が届いた、投票用紙が10枚も届いたといった声があがっている。一体、何が起きているのか?
メルカリに「総裁選投票用紙」が
「自由民主党 総裁選投票用紙」が2万円で出品されていたのは、フリマアプリ大手のメルカリだ。
商品の登録カテゴリーは「チケット」。1〜2日で発送すると書かれていた。
出品者は「総裁選挙の投票用紙です。自民党員ですが、政治に興味がなくなりましたので、お譲りします」と説明。
コメント欄には、別のユーザーから「この投票用紙は、党員、党友のみ投票できる投票用紙でしかも選挙期間中です。道徳も倫理観もない行動はやめてください」「同じ日本人として情けなく悲しいことです」といったコメントが寄せられている。
自民党は9月16日、今回の総裁選の投票資格を持つ党員・党友ら選挙人の数を110万4336人と発表した。
投票できるのは、党費・会費を過去2年支払った党員および党友(自由国民会議会員)だ。今回は2018年の総裁選と同様、前年の2020年だけ党費・会費を納めた人も投票できるという特例を設けている。
自民党公式サイトによると、党員が支払う党費は次の通り。
・一般党員:年間4000円
・家族党員:年間2000円
・特別党員:年間2万円以上
党員・党友でもないのに…
総裁選の「投票用紙」をめぐるトラブルはこれだけではない。
「自民党の党員、党友でもなく会費払った記憶も無く、
そもそも自民党支持者でもないのに、
自由民主党滋賀県支部連合会から総裁選挙投票用紙の往復はがきが
きた…」
あるTwitterアカウントは9月18日、総裁選の投票用紙とみられる写真とともにこう投稿している。
それ以外にも、「帰宅したら届いていた」「宛名見たら別人だらけ」と10枚もの「投票用紙」の写真を投稿する人や、「夫の職場の理事長が自民党なため従業員は自動的に党員にされているらしく、総裁選の投票用紙が来た」と投稿するアカウントも確認されている。
自民党本部の回答は…
自民党総裁選選挙管理本部の担当者はBuzzFeed Newsの取材に対し、メルカリに出品された「総裁選投票用紙」について次のように書面で回答した。
「フリマアプリ『メルカリ』に自由民主党総裁選挙党員投票の投票用紙と見受けられるものが出品されていたことは把握しております。同社事務局に対し、商品として不適切な可能性がある旨を報告し、すでに削除されております」
SNS上で散見される「投票用紙」にまつわる投稿はどうか?
担当者は「総裁選挙に関し、SNS上にさまざまな投稿があることは承知しております」と回答。
党員・党友でもないのに投票用紙が届いたとする投稿については「投票用紙は、選挙人資格に基づき党員・党友名簿を精査した上で、郵送しております」「入党手続きについては、党則、内規に基づき適切に行っております」と答えた。
あるアカウントが「宛名見たら別人だらけ」と10枚もの「投票用紙」の写真を投稿した件に関しては、「すでに削除されているため、回答いたしかねます」とした。
メルカリで投票用紙を購入したり、多数の党員を登録したりすることで、1人で複数票を投じることもできるのだろうか?
自民党本部の担当者は「選挙人の投票は1人1票です」「選挙人については、精査を行ったうえで確定しています」とルールを強調した。
メルカリ「禁止されている行為」
メルカリの広報担当者は自民党総裁選の投票用紙とされる商品が出品されたことについて、「当該商品はメルカリの禁止されている行為にあたります」と指摘した。
同社のガイドラインでは、「選挙運動に関するあらゆる行為」が禁止されている。
・選挙運動に関する行為全般
・有権者による投票を誘引または抑制するような投稿
・投票の日時、場所、方法について誤解を招くような投稿
・その他、事務局が不適切と判断したもの
このような商品については、取引キャンセル・商品削除・利用制限などの措置を取る場合があるとした。
UPDATE
本件に関するメルカリ広報担当者の見解を追記しました。