耳が聞こえない私には、問い合わせが壁だった。 電話するたびに募った申し訳なさを解消したもの

カード会社への問い合わせに手話通訳が使えるという投稿がTwitterで話題に。サービスの運営会社に導入の背景を聞きました。

カード会社の問い合わせに手話通訳が使えるんですか！？

Runa @新しい職場慣れてきました @runa_Kn

楽天すげえ！クレカで問い合わせする時、耳聞こえないから今まで親に電話をお願いしてたけど、テレビ電話で手話通訳対応します。の記入あったから初めて利用した🤔めっちゃ手話分かりやすいし、助かった😭本人確認がスムーズ！楽天様…ありがとう。楽天を使ってる、聴覚障害と発声障害の方に広まれ…😭

03:51 AM - 13 Sep 2019

楽天カードの手話通訳サービスを使用したRunaさん。問い合わせで電話番号を調べようとしたところ、「聴覚障害者 手話通訳対応」という文面を見て、こうしたサービスが存在することを初めて知ったと語ります。

それまで、別のカード会社に問い合わせる際は、親に頼んで電話をかけてもらっていました。

しかし、「本人様でないと対応できません」と断られることもあったといいます。

「耳が聞こえない…通話はできないということですか？」

楽天カード / Via rakuten-card.co.jp

耳が聞こえないということを伝えると、「通話はできないということですか？」と確認されることも。その度、「名前や生年月日などは頑張って声を出して話して、（電話先の方の話を）聞くのは親という形で」対応してきたと明かしました。

「その度に不便だなぁと感じた反面、親に代理で対応させて申し訳ない気持ちでした。ちゃんと自分で対応できるのに、"電話"というだけで苦しかったです」

Runaさんは利用した手話通訳サービスは「手話がゆっくりで読み取りも分かりやすくスムーズ」だったとBuzzFeed Newsの取材に答えました。

「画面が時々固まった時は待機してくれて、再度同じ内容を説明していただくなど対応も良く、個人的には、とても助かりました」

「毎回、親に頼るわけにもいかないし、楽天さんのように私自身で直接本人確認などがスムーズに出来るのはすごくありがたいです。顔を見ながら対応できるので安心です。こうしたテレビ電話による手話通訳もしくは筆談サービスが広まってくれたら、すごく嬉しいです」

「あたりまえの恩恵」が受けられない

Imtmphoto / Getty Images

こうした手話通訳サービスは楽天カードの他にも、JCB、三井住友カード、三菱UFJニコス、Yahoo! JAPANカード、ジャックスなどで導入されています。

カード会社以外には、ANAや京王プラザホテル、さらには港区や荒川区などの行政窓口にも。

手話通訳サービスを提供する企業。プラスヴォイスに取材しました。

広報担当者はBuzzFeed Newsに、こうしたサービスを導入する企業が増えていると話します。

「電話の利点は、遠隔地の人とリアルタイムでコミュニケーションができる即時性です。しかし、聴覚障がい者はこの『あたりまえ』の恩恵が得られません」

「対応を拒否されることがいまだにあります」

Monkeybusinessimages / Getty Images

「電話による個人情報の開示は、契約者本人に限られますが、直接電話ができない人の本人確認をどうするかが問題です。実際、手話通訳者が電話している旨を伝えると、対応を拒否されることがいまだにあります」

こうした対応は「個人情報保護」という観点から見れば無意味とは言えませんが、障がい者に対する「合理的配慮」を欠いているのでは、と問題提起します

手話通訳サービスでは個人情報保護の遵守と障がい者に対する合理的配慮を両立できると担当者は強調しました。

サービスを開発するうえで、「同時通訳を基本とすること」とした結果、「聴者が電話で会話するのと同様、企業へ問い合わせされる聴覚障がいのお客さまと、問い合わせを受ける企業のオペレーターと双方に、円滑なコミュニケーションが展開できるようになった」といいます。

「保険業界の導入が進んでいます。自動車保険では事故の連絡やロードサービスの手配、その後の手続きなどで重宝されています」