宮城県の上空で撮影された写真に、謎の「ピンク色に発光するプールみたいな物体」が写っています。これは一体、何なのでしょう。
話題になっている写真は、こりこりさん(@korinko07)が12月4日に飛行機の機内から撮影したもの。翌5日にX(旧Twitter)に投稿すると約3万件の「いいね」が寄せられるなど大きな反響を呼んでいます。
上空からでもはっきりとわかるピンク色の四角いエリア。まるでこの部分だけがCGで描かれているようで周囲からはっきりと浮いて見えます。
投稿には「枕と布団にしか見えない」「ここだけサーモグラフィーみたいですね」と不思議がるコメントが多数寄せられました。
調べてみると、この物体は宮城県美里町にある「美里グリーンベース」という植物工場であることがわかりました。なぜこのようにピンク色に光っているのでしょうか?
BuzzFeed Japanは12月6日、この植物工場を運営する株式会社舞台ファーム(仙台市)を訪問。同社の専務取締役を務める伊藤啓一さんに話を聞きました。
植物工場を運営する舞台ファームに取材すると……
――「美里グリーンベース」が光っているように見えたという投稿が話題になっています。なぜ、このようにピンク色の光を放っているのでしょうか。
「美里グリーンベース」は1日に3~4万株を生産し続けている日本最大級のレタス工場です。赤色と青色のLEDを組み合わせた光は、植物の光合成を助け、成長を促進させることがわかっています。弊社では、よりレタスの発色が良くなるよう研究した色を用いています。
――なるほど、あの光はレタス栽培に使うものなんですね。
はい。レタスの光合成に最も有効な光であり、もちろん人には影響がないものですのでご安心ください。
温暖化による気候変動、また世界人口増加や円安の影響で、国内外のレタスに不安定感が強まる中、季節を問わず安定した品質でおいしいレタスを食卓に届けるため、日光とLED光を併用してレタスを栽培しています。
地域農業者や周辺の農家とも提携しており、米の輸出などで地域農業の拠点となるよう自治体と協力しながら運営しています。
――かなり鮮やかに見えますが、周辺はまぶしくはありませんか?
確かに暗くなってから工場を見ると、ネオンのようにピンク色に光る様子が見られます。しかし、これは蛍光灯と同程度の光量であり、周辺への影響は少ないと考えています。
また、普段は遮光性のカーテンを用いて直接光が漏れ出さないようにしていますが、今年の夏は異常な暑さからレタスを守るために、天井のみカーテンと窓を開けていた日がありました。
その際、厚い雲が空を覆っていたことも重なり、空がピンク色に染まった光景がSNSで拡散されてしまうということがありましたが、普段は周囲を明るく照らしているということはありません。
――こちらで栽培されているレタスはどんなところで食べることができますか?
東北地方のセブン-イレブンをはじめ、関東や中部地方の大手スーパーでも「つみたてサラダ」という商品名で、根と培地がついたレタスとして販売しています。
深めのお皿などに入れ、軽く水をかけてあげると1週間程度は収穫が可能で、ご自宅で新鮮な取れたてレタスを楽しむことができます。
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疑問とともに写真を投稿した「こりこり」さんも、寄せられたコメントなどから植物工場の色だと納得。
「気持ちよく解決しました。 ありがとうインターネット」と感謝した上で、謎の光の正体が“最先端の農業”だったとわかると「後継者や労働者不足もあるし、日本の農業はこのような形で進化すべき」とハイテクな農業に賛同。
地域とともに農業を活性化しようと尽力する企業にエールを送っていました。
取材協力:舞台ファーム(公式サイト)