アメリカには「Hibachi(ヒバチ)」という料理があり、なぜか定番の日本料理として親しまれている――。
SNSなどでそんな話題を見かけたことはないでしょうか。火鉢ってあの、昔話で暖を取ったり手を温めたりする……?
試しに「Hibachi」でSNS検索してみると、確かに多くの投稿がヒットします。気になったので、米国にあるBuzzFeed本社に、うわさは本当なのか確認してみました。
一定の共通項は見られるものの、やっぱりよくわからない「Hibachi」
直近では今年(2023年)の9月にも話題になっていたHibachi。「アメリカで親しまれている謎の日本料理Hibachi」として投稿された写真は3.7万回以上のいいねを集め、見た人からは「何だコレ!?」「肉野菜炒めにしか見えないんだが」「どこが日本料理やねんと言いたいけど、こっちも他国の料理を散々魔改造しているからなぁ……w」といったコメントが寄せられていました。
それ以前にも、SNS上で検索するとHibachiの写真がちらほら。今回のように持ち帰り容器に入ったものもあれば、大きなバーベキュー用鉄板で海鮮やお肉、野菜、ピラフなどを焼いているもの、大きめのお皿にステーキや野菜を並べたものなどなど……。
どの写真もなんとなく「肉や野菜などを炒めている」というのは分かるのですが、それ以外は使っている食材も提供スタイルもバラバラで、いまいち「Hibachi」がどんな料理なのかはよく分かりません。そしてなぜこれが「Hibachi」という名前で、そして日本料理として親しまれているのかはまったくの謎です。
アメリカのBuzzFeed編集部に聞いてみると……
実際に「Hibachi」はアメリカで有名なのか、気になったのでアメリカのBuzzFeed編集部や、アメリカ在住経験のある日本スタッフに質問を投げてみました。すると「確かに食べたことがあるし、有名だよ」といったコメントが多数。出てきた意見は次のようなものでした(コメントは編集部側で和訳)。
💬「地元の駅で何度も食べたことがあるよ。Hibachiは(アメリカでは)非常にポピュラーな日本食です」
💬「私の知っているHibachiは、とてもインタラクティブで演劇的な料理です。シェフがさまざまなパフォーマンスをしながら、目の前で料理を作ってくれるというもので、家族や大人数で行くととても楽しいですよ」
💬「シェフが手際よく料理を作る、インタラクティブな要素があるのが一般的ですね。なので、テイクアウトよりも店内で楽しむ食事として人気があります。オニオンボルケーノ(※)というのが有名で、5歳のころ、これを見て席から飛び降りて椅子の後ろに隠れたことを今でも妹にからかわれます(笑)」
(※:火山のような形にカットしたタマネギの中心をくり抜き、中に油を入れて着火。火がごうごうと火山のように舞い上がる――という演出のようです)
💬「私がよく知っているHibachiは、フードコートによく入っていた「Hibachi San」というチェーン店でした。ツイートだとテイクアウト用の容器に入っていたので、こちらの方が近いかもしれません」
――と、確かにアメリカで「Hibachi」が日本料理としてポピュラーなのは事実のようです。
分かったことをまとめると、どうやら次のような料理と言えそうです。
👉 日本でいう“鉄板焼き”に近く、肉や野菜、米などをシェフが目の前で料理してくれる
👉 調理中、シェフは手品をしたり、炎を使ったパフォーマンスで客を楽しませたりする
👉 日本食レストランで提供されるメニューとして親しまれている
👉 チェーン店もあり、フードコートなどに入っているのもポピュラー
👉 テイクアウト容器に入れて提供するスタイルもある
また、回答してくださったの多くが日本人実業家・ロッキー青木さんが創業した「Benihana」というレストランの名前を挙げていました。
Benihanaは1964年にニューヨークでオープンしたのが最初で、現在は世界中に100店舗以上を展開する有名チェーンへと成長。どうやらここが「Hibachiは日本料理」というイメージを広げたようで(公式サイトでも「Hibachi Chicken」や「Hibachi Steak」といったメニューが確認できます)、これが一般化されて、野菜や肉、海鮮などを鉄板で炒める料理をHibachiと呼ぶようになったのではと考えられます。
ちなみに、オーストラリアのスタッフからの情報によると、「オーストラリアでもアメリカのHibachiとほぼ同じスタイルの料理があります」とのこと。
ただし、名前は「Hibachi」ではなく、そのまま「Teppanyaki」と呼ばれているそうです(アメリカでも実は鉄板焼きはTeppanyakiで通じる)。
(サムネイル:Getty Images)