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「女性の活躍」に違和感を覚えるゆとり世代 「それこそが差別なんじゃないの」

「女だけど、男より仕事ができる私」に酔っていた。でもそれって本当は…

「同期の男より、私の方が仕事できるのにってずっと思ってた」

ダイバーシティー、女性の活躍促進、働き方改革……そんな意識の高い言葉を聞くようになって、どれくらいの月日を過ごしたのだろう。

最近はどこを見渡しても、ハキハキと話す強そうな女性が「男社会によってできた歪を正す」みたいなことを言っている。

今年29歳になったKさんは、銀行で営業として働く「ゆとり世代」だ。「女性の活躍ってすごくよく聞くし、私もバリバリ働きたいと思ってます。でも、やり方違うんじゃなの? って最近思いはじめて…」と、話し始めた。

同期の男になんて負けたくない

Kさんが大学生の時、リーマンショックが起きた。就職氷河期を乗り越えた彼女は、入社後にふつふつとある思いに囚われたという。

「同期の男をバカにしていたんです、内心。仕事ぶりを見ていても、パっとしないところもあったので。だから、絶対に負けたくないと思ってましたね」

彼女の部署は「古い体質なのか、女は個人営業。男は法人営業という風にざっくりわかれている」そうだ。男性社員に対してメラメラと闘志を燃やしていた彼女は、法人営業を志して働くようになった。

「女だけれど、法人営業をしている」。そんな自分でいられれば、何かが許せる気がしていた。

兄がため息混じりに、つぶやいたこと

Kさんは3年の歳月をかけ念願の法人営業に就く。「正直、変な自信もあったんだと思います。周りはほとんど男。絶対に勝てると思ってました」。

しかし、現実はそううまくいかない。悪戦苦闘する中で、ふと「男を見下していただけで、何か大事なことを見落としているのでは」と、不安感が芽生えた。ぼんやりとした気持ちを決定的にしたのは、実の兄のつぶやきだった。

「男は稼ぐしかないんだわ」

衝撃だった。一足早く結婚し、家族を持った「父」でもある兄が、ため息混じりにこぼした言葉が。

「ちょうど、兄の子どもがぐずってしまっていて。兄があやしても一向に泣きやまない。でも、奥さんが現れた途端、泣きやんじゃったんですよ。それを見て、思わずこぼれちゃったんじゃないでしょうか」

兄の切ない姿を目の当たりにした彼女は、「男の人は、仕事以外の居場所を作りづらいのでは」と直感した。同時に、自分の中にある「偏見」を見つけた。

「私自身が一番『女』にこだわってたんだなって。一番性別に囚われていた。『女だけど男に負けない』って、その時点で変じゃないですか。『女だけど』って、"女性が下前提"なんですよね」

そしてもう一つ、甘えも見つけた。いざ、仕事が本当に辛くなったら「結婚」の道があると、心の奥の奥で思っていたのだ。

「まさか自分がそんなこと思うなんて驚いたんですが、結婚に逃げればいいという気持ちがあったんです。仕事が本当に辛くてやめても、結婚して子どもがいれば、親にも顔向けできる。社会からなんとなく認められるって思ってたんですよ、自分でも信じたくないですけど」

兄のふとしたつぶやきは、彼女にさまざまなことを気づかせた。

「もしかして、男の人って『仕事』しか居場所がないんじゃないのかなって。会社では上司の指示に『ハイ』と返さなくちゃいけないし、頭を下げるときだってある。でも、家ではお母さんが一番、お父さんが二番。やるせないなぁ、男の人も大変じゃんって」

女性の社会進出に伴って、夫婦間における『養い―養われ』という関係性は少しずつ薄れてきた。しかし、長い間、刷り込まれてきた「男が稼がなくては」という価値観は、すぐには消えてくれない。

「夫は外で働き、妻は家庭を守るべき」という古風な価値観への賛成・反対は2014年においても5%しか変わらない。もちろん、若年になるほど「反対」多いが、親世代から受け継がれる「圧力」は、まだ充分に健在だ。

たしかに社会は変わりつつるものの、圧力は静かに留まっている。Kさんが、男なんかに負けないと思う背景は、女性ならではの抑圧感がある。一方で、2014年度の自殺者は男性が女性の2倍超だ。なお、男女差が最も大きく出た自殺の動機が、「経済」と「勤務」の問題だった。

なぜ、これほどまでに差が出るのか? Kさんが胸の奥にしまっていた「逃げ道」の存在かもしれないし、「自分が一番になれる家庭」の存在かもしれない。女性には、「選択肢がある」とも言える。

ゆとり世代のバリキャリOLは、取材の最後にこう締めくくった。

「彼氏にガミガミ言っても聞いてもらえないじゃないですか。私のことわかってほしいけど、あなたにも歩み寄りたいって言う方が、長続きすると思うんですよね。それと同じかなって」

私たちは、いつから「女 VS 男」という構図を作ってしまったのだろう。打倒したところで、一体何が変わるのだろう。そろそろ、強がるのも疲れたし、次のやり方にいきたいのだ。例えば、振り上げた拳を握手にしたっていい。


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