アイドルを5年間続けてわかった「理想と現実」

    アイドルやってて大変なことは何?

    アイドルって、ステージの上で輝きを放っていてとっても素敵ですよね。でも、一方で、ハードなスケジュールをこなしたり、恋愛禁止だったり、何かと拘束も多いもの。

    SNSでは、誹謗中傷はもちろん、炎上に巻き込まれることもあって、一般人から見ても「大変だなぁ」と思う瞬間もあります。

    このご時世、なぜ女の子たちは「アイドルになりたい」と思うのでしょうか? キラキラした面はわかるけれど、大変な部分もなんとなくわかるはずなのに。

    「候補生」に聞いてみました。「なぜ、アイドルになりたいの?」

    2012年にモデルを中心に結成された「夢みるアドレセンス」。メンバーの脱退、病気療養などさまざまな壁を乗り越えてきたアイドルです。

    現在、夢アドは新メンバーオーディションを開催中。数々の試験を通り、最終審査に残った14名が「一般投票」で新メンバーに選ばれます(投票は12月3日まで)。最終メンバーのうち12人に話を聞きました。

    「アイドルは、憧れ」

    「ハロプロが家族みんな大好き。3歳の時からライブに行ってました。声優にもトライしてみたけれど、原体験にあったアイドルにやっぱりなりたいなって思います」(若松来海)

    「もともとモデル志望。関西コレクションに出させてもらった時に、ステージに上がっていた人たちが本当にかっこよく見えたので。恋愛は…全然興味が無いので大丈夫です(笑)」(山口はのん)

    「大人の中に混ざるのは不安だけれど、まゆゆが大好きでアイドルになりたいと思いました」(山下彩耶)

    「小嶋陽菜さんとピチレモンに出ていた夢アドの小林れいさんに憧れました」(上崎ゆい)

    「アイドルは、表現者としての成長ができる存在」

    「関西コレクションに出た時に、出演してるアイドルさんがすごくかっこよかったんです。ずっとモデル志望で細々とやっていたんですけど、歳も歳だから(笑)。何か他のこともしたいと思ったんです」(石井里奈)

    「誰かの◯◯になりたいから」

    「落ち込んだり、楽しい時、私のことを思い出して元気になる人になりたいと思ったんです」(山本日菜子)

    「自分は『アイドルっぽくない』と言われるんです。中間発表で2位に選ばれた時にもどよめきが起きたくらい。『っぽくない人』が、アイドルになったら、きっと誰かの一歩になる気がして」(水無瀬ゆき)

    「向いていると思ったから」

    「歌って踊るのが好きで、子役としてミュージカルをやっていました。私は、性格がサバサバしているので、アイドルという『役割』もなりきれるかなって思ってます」(内藤もゆの)

    「人に輝きを与えたいから!」

    「15歳の時に進路を考えて。その時に、色んな人に輝きを与える人になりたいなと思って、アイドルになろうと決めました」(白崎乃愛)

    「昔から踊るのが大好き。ダンスユニットをやっていたこともあるんですけど、その中では『アイドル系』って言われてたんです。ダンスって『かっこいい系』が多いから。歌って踊って、誰かに元気を与えられたらいいなって」(岡村茉奈)

    「とにかくアイドルをやりたいから」

    「中学1年のとき、アイドル活動をしていて、ステージに立った感動が忘れられないんです。アイドルを見るのも大好き。アイドルが好きなんです」(永戸真優)

    「夢アドの『純情マリオネット』が大好きで、音楽の力を信じてる。やっぱりアイドルはかわいいから、自分もなってみたいです」(望月朱音)

    はい、ここまでは「理想」です。

    では、現役のアイドルたちは、そんな候補生たちを見て、どう思うでしょうか? アイドルの理想と現実って?

    夢みるアドレセンスのメンバーに、候補生たちのコメントを見た上で、話を聞きました。

    アイドルは、とにかくハード。体力面が

    京佳:「向いてると思ったから」っていう動機は新しい(笑)。私もそうなんですけど、「アイドルに向いてるな」って思う人ってあんまりいないと思います。

    れい:そうそう。「向いてないんじゃないかな」と思いつつも、応援してくれる方がいるから頑張れる。

    友美:「成長したい」っていうのは、超いいって思いました。好き、こういうの。

    可鈴:成長したいって思いながら、アイドルやるのはかなり根性が必要だよね? アイドルは茨の道だから…。体力がすごく削られていく(笑)。

    京佳:アイドルは歌って踊って喋ってなので…ステージ上ではかなりきついですね。

    可鈴:特典会もあるので。ライブ終わって10分後には、特典会が始まって1時間位ですかね。立ちっぱなしで。

    れい:そっちの方が喉使ってるかもしれない(笑)、しゃべるのも頑張りたいので。

    ――モデル志望だという候補生も結構いました。アイドル以外のお仕事との両立って、正直どうですか?

    京佳:私は、ソロでグラビアもやらせてもらっているんですけど、その時は夢アドの「京佳」ではない自分になれて楽しいです。でも、夢アドのみんなが揃うと「アイドルも好きだな」って思える。両立は必要だし、もっとやりたいって思います。

    可鈴:私的にも息抜きにもなってますし、ソロ活動は大切だと思ってます。月曜は定期公演、火曜はラジオ、水木は生放送があって、土日は絶対イベントがある。スケジュール的には厳しいんですけれど、しゃべることが好きなので。ソロ活動で私を知ってくれて、そこから夢アドのライブに来てくれる方もいるので。

    友美:根性とモチベーション!

    れい:気軽にやり始めたら本当に続かないと思います。

    全員:体力的にも精神的にも(笑)。忙しすぎていっぱいいっぱいになっちゃう。

    実際にアイドルをやっていて、想像と違ったこと

    ――誹謗中傷とかって怖くないですか? SNSとかで傷つくこと言われたり。

    れい:夢アドに入る前にモデルをしていたんですけれど、その時から誹謗中傷の声が届いたりしました。普通に10代だったんですけど、「表舞台に立つことは、そういうことなんだな」って思ったら割り切れました。

    友美:メンタル面で強くなったよね(笑)。

    京佳:誹謗中傷があっても、味方の方が実際のところ多いんです。じゃないと続けられない(笑)。だからそっちの方を見ていきたいなって思いますね。

    ――実際、アイドルを5年間やっていて「思ったのと違ったな」と思うことってありますか?

    れい:かわいこぶらなくてもいいんだなって思いました。アイドルってキャピキャピしなきゃいけないと思っていたんです。だから正直、無理だなと思うこともあったんですけど、そんなことなかった。キャプキャピしなくても好きになってくれる人は好きになってくれる。自分らしくしていればいいんだなって。

    京佳:夢アドは特にそう! 私たちはステージ上でも結構飾らずにいるので。素の感じで、みんなと笑顔でいれたらいいなって思ってます。昔は飾っていたところもあったと思います。でも、やり続けることで自然体でいいんだってわかった。

    可鈴:嫌なことって実はあんまりない気がする。他のメンバーと自分を比べて卑屈になったりとかもない(笑)。もちろん、私が持っていない魅力を羨ましいと思うこともあるけど、4人違うからグループだよな〜って納得しちゃってますね。

    ――よかったことの方が大きいと。

    可鈴:確実にそうですね。自分のためになってます。中学生でモデルをやらせてもらってたので、天狗になってた。世間知らずっていう言葉がぴったり。挨拶もできないし、超最低人間でした。友美なんて、眉毛が爪楊枝みたいだったよね?(笑)

    友美:あはは、そうだったっけ? 礼儀や作法をスタッフさんたちからビシバシ教えてもらいました。夢アドがあったおかげで謙虚さも身につきました。アイドルやっていなかったら、今ごろ社会でやっていけない人になってたと思います。

    可鈴:わかる(笑)。あのまま成長してたら周りから超嫌われるような人間になっていたと思います。ファンやスタッフさんに育ててもらった5年です。夢アドは、メンバーの脱退とかいろいろ壁があって、それでも今こうしてステージに立てる。全部が当たり前じゃないんだって思えるようになりましたね。

    れい:人と関わることの大事さも気づいた。私は喋るタイプではないので、個人行動ばかりの中学生活だったんです。いろんな人と一緒に仕事をして、自分の見える世界が広がった。

    京佳:周りから教わることは本当にすごく多い。私、まだ高校に通ってるんですけど、普通の高校生は年上の人とお仕事することもないので、いい経験になってるなって思います。

    可鈴:私、普通の高校生活送りたかったって最近思うようになったよ(笑)。

    友美:わかる。3日に1回は普通の高校生活が良かったって思う。

    京佳:えーっ。私、絶対、アイドルやってる生活の方がいいって思っちゃう。毎日同じ時間に起きるのが、無理(笑)。

    可鈴:規則正しい生活、最高だよ! 制服着て、放課後に友だちと遊びに行くっていうのがやりたかったな。アイドルやってたからできなかった。だから妄想が膨らんじゃう(笑)。

    友美:制服デートしたかった! 少女漫画で心を踊らせちゃう。

    可鈴:イヤフォンをシェアして一緒に音楽聞く、とかやってみたかった。

    ――青春を捧げてたんですね(笑)

    可鈴:そうですね。でもやっぱり得るものが大きかった。体力面ではハードですけれど、アイドルやっててよかった。本気でそう思います。


    CORRECTION

    一部、候補生の名前に誤りがあり、修正いたしました。