2017年6月16日

    天才はこうやって育つ——Appleが認めた高校生プログラマーの日常

    尊敬する人は誰? 意外な答えが返ってきた。

    電車に乗ると、大抵の人はスマホをいじっている。多分、10人のうち8人くらいじゃないだろうか。でも、彼は違うらしい。

    「電車の中では、パソコン触ってますね。座れないときは、立っていじってます」

    立ったままパソコンを触る高校生は、一体何をしているのか? アプリの開発だ。彼は佐々木雄司さん。関西学院高校に通う17歳だ。

    佐々木雄司

    彼は、Appleが年に一度アメリカで開く開発者向けのイベントWWDCにスカラシップとして招かれた。ただの開発者ではなく、世界的な企業からお墨付きをもらっているのだ。

    「ただ、WWDCに参加するだけではつまらないので、Mac Fanに寄稿しようと思って編集部に打診しました」

    もし、自分が同じ高校生ならば、ただただ舞い上がってしまうだろう。佐々木さんは落ち着いて話す。その様は社会人のようだ。ふと思う。どうすればこんな風に育つのか?

    小学生の時、Adobeのソフトみたいなものを作ってみたいと思った

    ——何歳からプログラミングをはじめたんでしょうか?

    小学3年生ぐらいのときからウェブサイトを作ってました。その延長線上でパソコン上で動くものを作りたいと思って、プログラミングをはじめました。最初に何を作ったかは覚えていないですけど、市販のソフトみたいなものを作ってみたかったのを覚えています。

    ——市販のソフト。

    Adobeの画像編集ソフトを真似て自分で作ってみたりしてました。写真が好きだったので。それが、小学校の5、6年生のときぐらいです。

    ——早いですね。ゲームで遊んだりはしなかったんですか?

    僕は独学でしたけれど、今だとプログラミングの塾があるので、小学生から始めている子も普通にいるかなと。自分の場合は、外に出るのがあまり好きじゃなくて。最近は勉強のためにゲームもしますけど、小学生の時はゲームもあまりしませんでした。

    家の中で何か作っているのがとにかく楽しかった。外出するときも「どうすれば、ソフトがうまく動くだろう」と頭の中で考えて、そこで浮かんだアイディアを元に家で作業してました。

    佐々木雄司

    小学生の時はWindowsを使っていた。自分用のMacを手にしたのは中学3年生のとき。

    ——プログラミングを始めたのは誰かから影響を受けたのですか?

    いえ。父は開発とは関係ない職につく会社員で母は専業主婦なので、家にあったPCを触っているうちに、自然とソフトを作ってみたいと思った感じです。

    昔、母は銀行でプログラムやってたらしいんですけど、Windowsのスタートボタンの場所もわからないくらいです。「どのボタン押したらネット開くの?」って聞いてきますね(笑)。多分、両親ともに自分が何をやっているのか理解はしてないと思います。

    ——ゼロから一人で始めるって大変だと思うのですが、どうやって勉強したのでしょう?

    プログラミングの入門書というよりも、オライリーの本で文法をきっちり見るような勉強をしていました。その後は、都度調べていって身につきました。Swift(Appleの開発言語)は、更新が早すぎて本に頼っていられないですし。

    パソコンの触り過ぎで、17歳にして四十肩になった

    佐々木雄司

    国際学会での展示

    ——国際学会に出展したり、WWDCに参加したりと忙しいと思うのですが、どうやって一日を過ごしているのでしょう? 開発の勉強と学校の勉強の両立って難しいような。

    朝は6時に起きて、電車で1時間半くらいかけて通学してます。電車の中でもPCを触ってます。膝に乗せて、たまに立ったまま。情報収集はiPhoneを使うことが多いですけど、コードを書くのはPCじゃないとできないので。開発作業をやめたくなければずっとやってます。

    授業は3時くらいまでで、そのあと4時から7時まで部活です。数理科学部という部活でソフト開発をしてます。ただ、プログラムを組むのは基本的に家なので、特に何かやっているわけではないんですけど。家につくのは9時くらいだと思います。

    佐々木雄司

    部活の様子

    ——なんだか会社員みたいです…。

    アプリのコンテストとか、締め切り一週間前とか、追い込まれている時は寝ないで作業します。その後、普通に学校に行くんですけど、締め切り前だから仕方ないかなって感じで。休み時間も誰ともしゃべらず、ずっとパソコンいじってますね。

    ——「仕方がない」?

    小学生の時は、自由に開発をしていたのですごく楽しくやってました。ただ、最近は疲れの方が大きいかもしれません。一人だと自分のペースできますけど、グループだと分担して作業する分、締め切りが決まるので。パソコンを触りすぎなのか、この前四十肩になりました(笑)。

    佐々木雄司

    高校1年生のときに開発した「切り紙ゲーム」。iPad上で切り紙を楽しめ、完成するとエアマスゲームで遊べる。

    ——まだ高校生なのに四十肩! ご両親から「勉強しなさい」って言われたり、心配されたりしませんか?

    基本、特に何も言ってこないですけど、たまに言われますね。でも、いろいろやってますから(笑)。

    勉強よりプログラミングの方が得意だから、こっちをやってる感じです。公式にあてはめたり、考えたりするのは好きなんですけど、昔からパソコンで計算してきたので、計算ができないんですよ。数字が合わない。あと、自分の字が汚すぎて読めないっていう(笑)。

    ——忙しくても開発するモチベーションは、どこから湧くのでしょうか?

    うーん…。単純に、モノを作って自分が思うようにソフトが動くのは創作として楽しいです。でも、作ったものが人に届いたときが一番嬉しいですね。アプリだったら、世界に向けて何かできる可能性だってあります。そういうのがモチベーションの源泉です。

    もともと小学生の時は家のパソコン上で動くソフトを作っていたんですけど、友だちとか、誰かに使ってもらえるモノを作りたいなと思って、Macを買ったんです。みんなiPhone使っているので。

    友だちとは、LINEで進捗管理をする

    佐々木雄司 / Via 佐々木雄

    ——グループで作業する時はどうやって連絡をとっているんですか?

    友だちとはLINEばっかりです。昔、社会人の人と一緒にソフト開発していたときは、Slackを使っていたのですが、「LINEでいいんじゃない?」ってなりました。プロジェクトごとにグループを分ければ、仕事にも使えます。

    同級生でFacebookを使う人はあんまりいないですね。アカウント持ってるだけであんまり投稿しない。僕は社会人の方と交流するためにやってます。

    友だちとは、新しい技術の情報を話すことが多いです。「LINE BOTで何かできないか? この特性は? 使う人はどういう人?」みたいな会話をして、アイディアが思いつく感じです。

    ——直近で開発しているのはどんなソフトですか?

    うちの学校の先生が研究している指先の脈波を使って心理状態を計測して、パーキンソン病の診断をするプログラムを組んだんです。システムとしてはまだまだなので、プロトタイプを作りたいと思ってます。

    佐々木雄司

    ——脳波も活用…! 高校生でここまでいろんなことをやっていると、将来にはビジョンがあるのでしょうか。気になります。

    研究したいですね。20年くらい前にネットが出てきて、色んなものが作られた。それから、音声アシスタントとかBotもメジャーになって、次は人工知能が今っぽいかなと。だから、人工知能の研究ではなくて「それをどう使って、何が発展できるか?」みたいなことをやりたいです。

    ——未来を切り開く…。すごい向上心。

    向上心がそこまであるかはわからないんですけど、そんな感じだと思います(笑)。

    ——今までも、開発者によって人々の生活が変わってきたと思うのですが、尊敬している人はいますか?

    全然開発と関係ないんですけど…空海が好きです。人がやっていることの一、二歩先を行くスタイルで、仏教的な考えも好きです。こういうことやりたいなって。



    BuzzFeed Daily

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