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Appleの発表会で舞台に上がったのは盲目のDJだった

基調講演に、さらりと出てきた「ある機能」。

Appleの開発者向けの発表会WWDC。世界中から7000名ほどのディベロッパーがサンフランシスコに集まる。

その中で特に印象に残った人がいる。盲目のDJだ。

彼は優れたアプリを表彰するApple Design Awardで登壇した同社のエンジニアだ。視覚障害者用の画面読み上げ機能「Voice Over」を使って、受賞アプリのdJay Proのデモをした。

「僕は高校生のときに病によって視力を失いました。目が見えないとDJはできません。でも、VoiceOverやアプリと出会うことで、またDJを楽しめるようになったのです。昔のように」

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Appleは障害を持った人に向けたアクセシビリティに力を入れている。経営層がプレゼンする基調講演の最中にも「Voice Over」という、多くのユーザーにとって馴染みがない単語を何度も聞いた。

vine.co

VoiceOverをオンにすると、1タップ=読み上げ、2タップ=実行などといった操作に切り替わる。例えばLINEなどのアプリを1タップすると未読数を読み上げ、2タップするとアプリが立ち上がる。

この基調講演を聞いて、「私たちのことも見てくれているんだなと感じました」と語るのは、視覚障害者の執印光恵さんだ。

「幼いころから全く見えないの、私。でもiPhoneで世界が変わった」

彼女とはApple Storeで開催されるアクセシビリティのワークショップで出会った。一児の母である彼女の横にいるのは盲導犬トーマス。「昔は白杖を使って歩いていたのですが、トーマスと一緒だと風を切って歩けるんです」。

そんな彼女は冒頭のエンジニアと同じくVoice Overを使うiPhoneのヘビーユーザーだ。「生活が一変しました」と語る。どんな風に変わったのか?

誰かの手を借りることが減った

かつて、読書をするにもかなり苦労したという。点字の書籍は多くなく、点訳をオーダーしなくてはならなかったからだ。だいたい2〜3カ月。長くて1年はかかったという。

「iPhoneが登場してから電子書籍を読める機会すごく増えました。リアルタイムでみんなと同じように本が読めるようになったんです」

「どこかに行くのはトーマスがいるので普通にできるんです。でも、ナビを聞くことで”近所にこんなお店があったんだ”と知ることも多くて。目が見えないために気づかなかった発見があって、すごく楽しいんです。それに道に迷っても安心ですからね」

母である執印さんは料理もこなす。手触りや音で包丁などは使いこなせるものの「説明書き」は読むことができない。かつては、家族の帰りを待って「読んで」もらうこともあった。しかし、今はiPhoneをかざすと読み上げてくれるアプリもあれば、FaceTimeで友人に代読してもらうこともできる。

執印さんは、ハキハキと明るく話す。二つ折の携帯電話やWindows PCなど多くのガジェットを使ってきたがApple製品は特別なのだという。それはアクセシビリティが標準機能として無料で備わっている点だ。

「Androidも障害者向けの機能はあるのですが、有料アプリだったんです。iPhoneのアクセシビリティは無料ですし、何より使いやすい。やっぱり1人でできることが増えていくのは、嬉しいです。単純にすごく楽しみが増えました」

VoiceOver自体は、かなり古くから搭載されていた機能だ。しかし、近年Appleはこの分野にかなり力を入れているようだ。そうでなければ、WWDCという1年に一度の大舞台で、この機能を披露しないだろう。

「Hello, anything Hello Everyone」 今回のイベントのテーマだ。

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