社会人だからこそ胸に響く……ジャニオタ・サラリーマンが猛烈に推す、ジャニーズ5つの神曲

    SMAPからKinKi Kidsにどハマりし、ジャニーズに入りたいと願い続けて25年。ひとつのグループにとどまらず、ジャニーズを愛し続け、ライブに足繁く通う霜田明寛さん。社会人だからこそ響くジャニーズの』神曲を聞きました。

    「僕は18歳の時にジャニーズのオーディションを受けて、それから15年が経った今でも合否の連絡を待っているんです。同期は山田涼介さんです(笑)」

    そう語るのは『ジャニーズは努力が9割』(新潮新書)の筆者、霜田明寛氏だ。

    SMAPからKinKi Kidsにどハマりし、ジャニーズに入りたいと願い続けて25年。ひとつのグループにとどまらず、ジャニーズを愛し続け、ライブに足繁く通う。

    歴史はもちろん、所属グループも多い。神曲揃いのジャニーズたちの作品の中で、オススメを教えてもらった。

    1. 堂本剛『ORIGINAL COLOR』(2004年6月9日発売)

    堂本剛はジャニーズ史上初めて自作の楽曲でソロデビューを果たしたアーティストだ(デビュー曲は『街』)。

    霜田氏は堂本剛を「アイドルでもあり、アーティストでもある唯一無二の状況を作り上げた人」「アイドルである前に人間であろうとした人」と分析する。自ら作詞作曲をするだけではなく、アイドルでありながら心の病や葛藤を公言する「弱さ」や「悲しみ」を表現した存在だからだ。

    その状況を最もよく表すのが『ORIGINAL COLOR』だという。

    「今でこそ、心を病んでしまっていることを一般の人たちも打ちあけるようになりましたが、2004年頃は今とは状況が違いました。ましてや剛さんはアイドル。『ORIGINAL COLOR』には剛さんの悲しみの初期衝動が音楽に溢れています」

    「緑が好きだって云って買わされたシャツ」という元恋人を想うような歌詞や「明日を無視して笑えたらな」といった繊細な言葉が並ぶ。この部分が、まさに男心を表現していると感嘆したと話す。

    同じく、堂本剛の楽曲では、デビュー曲『街』の「嘘にぶたれる音は好きじゃない」というフレーズに胸を打たれたという。

    2. ENDLICHERI☆ENDLICHERI『これだけの日を跨いで来たのだから』(2006年発売アルバム『Coward』に収録)

    それでも変化が訪れる。2005年からスタートした堂本剛のソロプロジェクトENDLICHERI☆ENDLICHERIでは悲しみを肯定し始めたような作品が生まれる。

    「『これだけの日を跨いで来たのだから』は、過去の辛かった日々を包み込むような歌詞です。悲惨な出来事があったから今がある。そう思える楽曲ですね。

    ENDLICHERI☆ENDLICHERIのライブでは大学も行かずにスタッフとして働いていました。スタッフなのでお客さんの方を見ていないといけないのですが、背中の方から聴こえる剛さんのMCには毎日泣かされました」

    「剛さんは『これからのアイドルは偶像ではなく、現実を見せるべきだ』とよく語っていて感銘を受けました。アイドルとしてギネス記録を出すなど、しっかり成果も出しつつ、自分のやりたいこともやる。その両輪をやりきるところに、いち社会人として憧れます」

    3. 嵐『Still...』2007年9月5日発売

    アイドルの楽曲は年齢や成長によって変化していくという。「10代の若いアイドルたちは、恋愛や青春を駆け抜けるような楽曲が多いです。そこから年齢を重ね、完成形はSMAPの皆さんだと思っています。あの頃を振り返るメッセージソングは、SMAPの皆さんだから胸に訴えかけてくる」

    そして嵐である。『Still...』は、二宮和也と櫻井翔が主演したドラマ「山田太郎ものがたり』の主題歌『Happiness』のカップリング楽曲として収録される。

    「ドラマでは高校生を演じていますが、2007年当時、二宮さんと櫻井さんは既に20代なかば。嵐自体、2005年ぐらいまでは恋の歌が多かったのですが、だんだんと変化し、歌詞にも大人っぽさが出てきます。その予兆はあって、2006年にSOUL'd OUTさんがプロデュースした『きっと大丈夫』。この辺りから歌詞に仕事の描写が出てくるようになりました」

    「そこから1年後にリリースされた『Still...』では、過去には戻れないと歌っています。顕著なのは櫻井さんのラップの『あの日 君は僕になんて言ったっけ なんて言ったってもう関係ないね』という部分。あの日から僕たちの道は別れていて交わることがなかった。きっと櫻井さんは慶應大学に通っていた学友に向かって歌っているんじゃないかと思うんです。みんなは企業で働いてもう会うことはないかもしれないけれど、それでも思っているという」

    「櫻井さんはラップに自分の人生を色濃く滲ませるんです。そして最後は『過去をそっと抱きしめる』と締めくくる。抱きしめるほどの過去が積み重なっている。本当に大人の歌ですよね」

    4. Kis-My-Ft2『We never give up!』(2011年12月14日発売)

    本作は、2011年にエイベックスからCDデビューを果たしたKis-My-Ft2の2枚めのシングルだ。

    「キスマイは、デビュー曲の『Everybody Go』や『SHE! HER! HER!』のようなユーロビートのような曲調が人気です。所属レーベルのavexさんが強いジャンルだと思います。でも『We never give up!』は、初期の名曲たちの中でも曲調が違います。これは悔しさの曲

    「キスマイは結成7年目にしてCDデビューをしたジュニア歴が長いグループです。その苦節の時間を歌い上げるような『転がってでも掴みに行く!』『俺達に眩しすぎるパラダイス』『転んだだけ強くなれる』という歌詞が並ぶ。これは努力をした上での挫折と痛みを知ってるから歌えると思うんですよね」

    「メンバーの北山さんは2011年の時26歳。最年長デビューでした。最近のジャニーズのグループは20代半ばでデビューする人たちも多い。その礎を作ったのがキスマイであり、北山さんだと思います」

    5. ジャニーズWEST『ホメチギリスト』(2019年1月30日発売)

    ちょうど、『ジャニーズは努力が9割』を執筆している際に聴いていたのが『ホメチギリスト』だったという。そのタイミングで霜田氏はジャニー喜多川氏の訃報を知り、愕然としたと振り返る。

    「『ホメチギリスト』って、褒めて褒めて上がっていこうぜというポジティブな楽曲なんですね。最近、ネットの炎上を見ていると、批判の感情ってすごく乗っかりやすいような気がするんです。論理がなくても感情をぶつけられる。一方、人を褒めるのってすごく難しい。お金もらってるんじゃないか?って思われたりするじゃないですか。でも、それでも好きだっていう気持ちを紡ぎたい。根拠ある肯定をしたいって思える歌詞で、勝手に、ジャニーズWESTが僕の本のコンセプトを歌ってくれてると思ってます(笑)」

    また、楽曲の中には「おもろおもろくて男前や」というフレーズが登場する。霜田氏曰く、「おもしろさ」という要素も、これまでのジャニーズが築いてきたアイドルとしての新しい魅力だという。

    「ジャニーズの皆さんはとにかくかっこいいですよね。アイドルですから。でもそれだけではなくて、面白さという魅力を作ってきたのが最近のジャニーズだと思うんです。かっこよくておもしろい。両方を持っているのがSMAP以降のアイドルな気がします」

    「クールなだけではなくて、SMAP×SMAPでコントもする。リーダーの中居正広さんは、バラエティで活躍したいと明確に決めていたアイドルです。今、男の人が魅力的に見える要素のひとつに『面白さ』とか『ユーモア』があるのって、ジャニーズの皆さんの歴史によるものだと思っています。ジャニーズWESTは、関西の方々ということもあって、ちゃんとそこのスタンスを打ち出していて素敵ですよね」

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    魅力的な曲を聞けばキリがないが、ジャニーズ初心者は各グループのデビュー曲から聴き始めるのがいいという。

    「最初の曲はやっぱりグループの世界観がグッと凝縮されています。若さ故の大人への反骨心を歌う様は、ハッとさせられますよ。現在、ジャニーズの楽曲はストリーミング・サービスは解禁されていません。CDで聴くからこそノスタルジーも相まって色褪せない魅力があるんだと思います。あ、もしストリーミングが解禁されるなら月5000円でも払っちゃうと思うんですけど……」

    UPDATE

    一部お名前に誤字がありましたので修正いたしました。大変失礼いたしました。