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「日本にはセックスの話がタブー視されすぎる空気がある」女性タレントが性教育について語る理由

女性が性的な話をすると「恥じらいがない」と思う人もいるだろう。なぜそう思うのだろうか。

「ちゃんと料理しているの?」

女性なら一度は聞かれたことがあるだろう。特に、結婚していれば。

その時、なんと答えるのが正解なのか。タレントのSHELLYさんは、テレビという公の場で質問された際、こう返答する。

「料理なんてしないですよ。うちは夫がやってくれるので」

彼女は夫と分担しながら家事をこなしている(夫の方が掃除はうまいそうだ)。「料理なんてしない」と答えるのには、意図がある。

「ここで私が『その質問はおかしい』と反論しても、めんどくさいのでカットされるだけ。一方で『がんばって料理してます』と返したら、『男は仕事、女は家事』という先入観の色を濃くしているだけですよね。だから私は『料理しない』と答えて笑いをとります。そうすると『ダメだろ!』とツッコミがくる」

「それを見ている女性が、違和感をネットで発信したり、女友達同士で話し合ってくれればいい。だってこれって、結婚した男の人にはしない質問を、私が女だから聞かれているってことですから」

世間が持つ女性に対する先入観や思い込みを揺さぶる。それも、声高にNOと叫ぶのではなく、視聴者が思わずうなづいたり、ツッコんだりしたくなる方法で。

その活動はバラエティーを飛び出し、今はインターネットテレビ局「AbemaTV」でニュース番組「Wの悲喜劇」のMCを務めている。

「日本一過激なオンナのニュース」と銘打った番組では、不妊、セクハラ、生理、性教育など、なかなか本音が語られないテーマを次々と扱う。

なぜ、あえてそれらのテーマに取り組むのか。BuzzFeedは番組の制作現場を訪ね、SHELLYさんに話を聞いた。

女の子は「恥じらい」を持ってないといけないの?

「日本の女性は抑圧されている」

多くの女性が持っているであろうこの思いを、SHELLYさんが最初に感じたのは小学生の頃だったという。アメリカンスクールに通っていたが、10歳の時に日本人学校へ編入した。

「私はガハハと笑ったり、あぐらをかいちゃったりするのですが、それがすごくコンプレックスでした。『女の子なんだから恥じらいを持ちなさい』と言われるから」

その言葉をいう相手は、SHELLYさんのことを考えての教育やしつけのつもりだったのだろう。でも、それは「女性らしさ」の押し付けであり、「抑圧」だ。

しぐさだけではない。例えば露出の高い服を着たり、性的な単語を発したりするだけで「恥じらいがない」「はしたない」と指をさす人がいる。

生理休暇の取得率が低いのも「恥じらい」が原因のひとつなのかもしれない。公の場で「生理」という単語を発するのは、恥ずかしいことなのだという思い込みがそこにはある。

「モラルや社会的常識は男女ともに必要。でも、女性だけが『恥じらい』という重い枷を持ち歩いていないといけないのでしょうか?」

実際、SHELLYさん自身、"ある助言"によって衣装に制限を設けていたそうだ。

「この仕事をするまで考えたことすらなかったのですが、私は胸が小さい方じゃないらしい。だから、どんな衣装のときも、必ず胸元をぴっちり抑えるベアトップを下に着ていたんです。27歳くらいまでかな…」

これもSHELLYさんを思っての助言だったんだろう。その言葉が重くのしかかった。

「テレビは不特定多数のご自宅にお邪魔するようなもの。だから、考えないといけないラインはあると思うのですが、『胸の存在感を隠してね』と軽く言われたときに、自分は負債を抱えているんだって思いました」

胸の存在感を消すだけでなく、女性らしいデザインの衣装もあまり着なかった。彼女の天真爛漫なキャラクターとの相性もあるが、ミニスカートですら数年前まで解禁しなかった。

しかし、今では「恥じらいを無視」するようになり、衣装の制限や所作のコンプレックスも薄くなったという。そのきっかけも、仕事だった。

「20代後半ですかね…バラエティ番組って本当に楽しいので、つい『ガハハ』って笑っちゃうんです。コンプレックスだったのに(笑)。でも、この笑い声を聞いて『あ、SHELLYが出ているんだな』って思っていただけるようにもなって。個性なんだなと認められるようになりましたね。誰かに認めてもらうってすごく大事」

女性が強くなって男性が抑圧されるんじゃ意味がない

SHELLYさんの「女性に対する眼差し」は強いが、決して女性だけを向いているものではない。

「女性がパワフルになるのはいいと思うのですが、本来フェミって男女を平等にするのが目的だと思うんです。女性が強くなって男性が抑えつけられるんじゃ意味がない。女性が感じる抑圧と同じくらい男性の葛藤もあるから」

確かに、フェミニズムは本来、「男女同権論」などと訳されるもので、抑圧される女性の解放を目指すが、男性を抑えつける考えではない。

でも、実際には男性にも抑圧され、葛藤を抱えている部分がある。SHELLYさんは、「弱い姿を他人に見せないところ」がその一つだと言う。

「女性とは反対に、男性は強さを求められて育つことが多いですよね、きっと。感情的な話や弱音をはくと女々しいと言われる。『あの時こういう風に感じて、きみの言葉に傷ついたんだ』とか、仕事の愚痴とか。他人に頼ってはいけないと言われ続けている人が、いきなり頼れるわけがない。でも誰かに頼れないのはつらいですよね」

あなたは、何を考えてるの? どうしたいの?

この質問を恋人に投げかける女性は多い。男性から返ってくる答えは、不十分なこともある。いや、多くの場合は不十分だろう。そこで、「これだから男は」と男性を一括りにして批判するのは簡単だけど、何も変わらない。

「シャッターをおろされたら無理やり開けることも必要。でも、そのためにはコミュニケーションを2人で模索するのが大事だと思います」

夫に「日本一過激なオンナのニュース」を見て欲しい。

「Wの悲喜劇」では、センシティブなテーマを取り扱い、普段はテレビで聞かれないような単語が飛び交う。女性タレントとしてリスクはゼロではない。

それでもこの仕事を引き受けたのは、「女らしくしなければいけない」というような「無意識下のすりこみ」に疑問を持って欲しいからだ。

最近では性教育をテーマに掲げた。女性たちが赤裸々に語っている過激な内容ではあるが、SHELLYさんは「男として見づらい部分もあるとは思いますが、夫には絶対に見て欲しいと思ってます」と話す。なぜか?

「日本ってセックスに対してタブーな雰囲気が強い。友だちや家族にもできないんだから、当然パートナーとも話ができるわけがない。お互いがなんとなくな感じでセックスするから楽しくない。それじゃあ相互にわかりあえない。センシティブな問題だからこそ、オープンにできればって思います」

「夫も『男なんだから』という教育を受けてきたので、オープンになるのは時間がかかるかもしれないのですが、娘と彼女の将来のことを考えると、視野を広げて欲しくて」

長い間すりこまれてきた「恥じらい」や「自立心」の志向を変えるには時間が必要だ。「あの人は何もわかってない」と不満を抱えて衝突してしまうのは、きっと相互のコミュニケーションが単純に不足しているからだろう。

「ジェンダーや性に関する話がしづらい空気で窮屈な思いをしてきた分、子どもには同じ思いをさせたくないんです」

無意識にすりこまれた先入観は、さまざまな衝突を生む。でも、それを悔やむよりも、変えていった方が健全だ。相手も、自分も。そして社会も。


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