太宰治の『人間失格』が、劇場アニメーションとしてリメイクされることが「CHICAGO COMIC & ENTERTAINMENT EXPO」にて発表された。
タイトルは『HUMAN LOST 人間失格』、公開は2019年。『人間失格』といえば、主人公が何人もの女性と関係を持ちながら幾度も心中を試み、堕落していく様が描かれるが、本作は大胆にリメイクがなされる。
制作は、アニメーション映画『GODZILLA』三部作、『BLAME!』を手がけたポリゴン・ピクチュアズ。スーパーバイザーには『踊る大捜査線』『PSYCHO-PASS サイコパス』の本広克行。監督には『バジリスク 〜甲賀忍法帖〜』『BAYONETTA BLOODYFATE』の木﨑文智。脚本には『天地明察』の小説家・冲方丁が担当する。
キャラクターデザインには『PokemonGO』の登場人物を生み出したコザキユースケ。コンセプトアートは『ファイナルファンタジーXI』や『メタルギア ライジング リベンジェンス』などに参加する富安健一郎が担う。
また、主人公大庭葉藏を『文豪ストレイドッグス（太宰治）』などで多くの作品で声優を務め、俳優、歌手としても活躍する宮野真守が演じることが発表された。
誰も観たことのないSF的「人間失格」
舞台は、医療革命により、“死”を克服した昭和111年の東京。
人々は体内の“ナノマシン”とそれらを“ネットワーク”により管理する“Ｓ.Ｈ.Ｅ.Ｌ.Ｌ.”体制の支配により、120歳の寿命を保証する、無病長寿を約束された。
一見豊かに見えるこのシステムは、経済格差、死ねないことによる退廃的倫理観、重度の環境汚染、そして、Ｓ.Ｈ.Ｅ.Ｌ.Ｌ.ネットワークから外れ異形化する“ヒューマンロスト現象”など、さまざまな歪を産み出す。
主人公“大庭葉藏”は、大気汚染の広がる環状16号線外（アウトサイド）で薬物に溺れ怠惰な暮らしを送っている。
ある日、謎の男“堀木正雄”とともに特権階級の住まう環状7号線内（インサイド）への突貫に参加し、闘争に巻き込まれていく。
その際、葉藏は異形体“ロスト体”に襲われるが、対ロスト体機関“ヒラメ”に属する少女“柊美子”に命を救われる。そして自分もまた人とは違う力を持つことを知り、“鬼”と化す――。
「近代古典文学『人間失格』を"SFエンタテイメント作品"として再構築する」
メインキャスト＆スタッフのコメントは以下の通り。
大庭葉藏：宮野真守
誰もが知る、太宰治の傑作「人間失格」を原案とした、日本発のダークヒーローが誕生しました！
本作は、最新の映像技術を駆使した痛快なアクションの中に、日本人だからこその精神性、わびさびのある世界観が展開される、まさに日本人にしか作れないエンターテイメント作品です。
世の中に翻弄され、「生」と「死」のなんたるかを突きつけられ、苦しみながら、それでも進んでいく葉藏の姿から、皆様にも是非、「生きる」とはどういう事か、感じていただきたいです。公開をお楽しみに！
スーパーバイザー：本広克行
この著名な文学作品を近未来SFへ置き換えるにあたり、世界観に「現代」を反映させるための設定を幾つか提案しました。
その後、脚本の冲方さんと木崎監督が作品にドライブをかけ、現場を支えて下さったスタッフの皆さんと共に長い長い道のりを踏破して遂にここまで辿り着いた事へ、心から敬意を表します。
まさに今、われわれが直面している問題の数々が織り込まれた、見応えのある作品になっているので、ご期待ください。
監督：木﨑文智
近代古典文学『人間失格』を"SFエンタテイメント作品"として再構築する。「そんな事が可能なのだろうか」と、先の見えない深い靄の中を踠きながらの作業でもありました。
多くのスタッフの尽力で制作した本作『HUMAN LOST 人間失格』も、原典と同じく多くの方々の心に刺さってくれる事を切に願っております。
ストーリー原案・脚本：冲方丁
日本の古典文学をＳＦアクションとして再継承する試みはしばしばみられますが、本企画は中でも一段突きつけたものとなった、という予感を抱いています。
実際どうであるかは視聴者や後世の批評家に判断を委ねるばかりですが、文芸サイドの担当者としては、多くの日本人が心の底で無意識に継承する社会的ビジョンを鋭く切り抜いた作品になったと感じています。
「人間を失格する」という今なお刺激的な言葉の向こう側で我々が見出したもう一つの日本の未来を、どうか御覧下さい。
キャラクターデザイン：コザキユースケ
アニメーション映画『GODZILLA』三部作に引き続き、ポリゴン・ピクチュアズさんでの作品に参加させて頂き、大変嬉しく思います。今作、素晴らしい実績のスタッフの皆様と共に、観た事が無いような種類の迫力や不穏さを
お届け出来るかと思います。是非、お楽しみにしてください。
コンセプトアート：富安健一郎
この作品の世界観表現（コンセプトアート）は、過去の中に未来を探すような冒険の旅でした。見たことのない完璧な世界を探して、不完全な世界観に限界まで攻めこみました。
現代をサヴァイブする人に、この欠落（ロスト）した世界にジャックインして欲しいです。
