シャープが傘下入りを目指す「鴻海(ホンハイ)」とは? 3分で説明します

    プレイステーションやニンテンドーDSもホンハイが作っています。

    2月25日に台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業の傘下で経営再建を図ると決議したシャープ。一方、ホンハイは契約延期を発表。揺れる二社に注目が集まっています。

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    テレビに冷蔵庫、携帯電話まで多くを手がける大企業シャープ。経営不振に陥っていると言われて久しかったものの、「日本を代表するメーカーが外資系企業に?」と衝撃を覚えた人は少なくないはず。

    そもそも、ホンハイってどんな会社なのでしょう?

    現代アジア経済を研究している九州産業大学の朝元照雄教授に話を聞きました。

    1. 1974年、台湾で創業。わずか一代で年間売上14兆円規模に

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    会社を率いるのは、郭台銘社長。「現代のチンギス・ハン」との異名を持っています。

    鴻海グループの売上額は2014年に14兆円を越しました。この規模は日本で言うと、日産ホンダ以上。対してシャープの売上は約2兆7000億円。

    2. 何をやっているの?:大手メーカーの黒子的存在

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    ホンハイは、テレビやスマホなどの電子機器の大手メーカーから依頼を受けて、実際の生産を担当しています。

    これはEMS(エレクトロニクス・マニュファクチャリング・サービス)という業種。日本語で訳すと電子機器受託製造サービスという意味。

    ホンハイは、EMSの巨大企業。「フォックスコン・テクノロジー・グループ」としてグローバルに広がりを持っています。そのため、テクノロジー業界では「フォックスコン」の名前で知られています。

    3. 最大のクライアントは、あのApple

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    上のリストはApple製品の最終組立地のリスト。18のうち7つもの施設をホンハイが運営しています。請け負っているのは、iPhone、iPad、Mac、アクセサリ。ほとんど全部です。

    4. 他にもプレイステーション3、ニンテンドーDSからPepperまで

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    ソニーや任天堂、ソフトバンク。日本のメーカーの製造も担当しています。日本ともとても馴染みが深いのです。

    自社ブランドでプロダクトを開発するのではなく、クライアントメーカーの黒子に徹してきたのがホンハイです。

    5. 短期間で成長を遂げた理由=グローバリゼーションの流れに上手く乗った

    海外のグローバル企業から製造を受注し、人件費の安い中国でたくさんの労働力をつぎ込むことで成長してきたホンハイ。

    とくに、Appleはじめとするグローバル企業は、自社工場を持たないことが多く、EMSの力を借りてプロダクトを生み出す流れが一般化していったのです。

    クリエイティブや開発などを本社が担い、製造工程を外注する。そのアウトソーシングを一手に引き受けることで、ホンハイはグローバル企業と共に大きくなっていったのです。黒子として。

    6. 100万人の従業員を抱えるまでに成長。でも…

    朝元教授は「短期間に爆発的に成長したホンハイですが、最近では賃金が年率10%も上昇しています。そう、中国の人件費は安価とは言えなくなってきたのです」と語る。

    7. 労働環境が厳しく、事故や自殺者がでるなどして揉めることも

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    特に中国は深センの工場では従業員によるストライキが起こることもありました。長時間労働や労災事故など、その劣悪な環境は「搾取」と言われることも。

    8. シャープを傘下にする意味は?

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    ホンハイが今目指しているのが、「脱中国」。次に手を伸ばしているのは、ベトナムやインドです。

    「海外に工場を作る上で、シャープのブランド名はとても有効。加えてIGZO液晶などの商品としての知名度も欲しいはず。自社ブランドを持ってこなかったホンハイにとって、シャープはとても魅力的なのです」と朝元教授。

    9. シャープがホンハイ傘下になって起こり得ることは?

    それは、コストカットだと朝元教授は指摘します。

    「ホンハイは7000億円規模の予算を投じてシャープを立て直します。ただ、徹底的な成果主義のもと成長を遂げてきた企業なので、コストカットは近いうちになされるでしょう」

    実際に、2月5日の協議では

    ・太陽電池事業の切り離し→赤字事業からの撤退

    ・40歳以下の従業員の雇用は保証→ベテランのリストラ

    この2点が争点になりました。

    10. シャープはどうなってしまうの? 大丈夫なの?

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    朝元教授は、悲観することではないと指摘します。つまり、シャープの買収はグローバリゼーションが進む中、必然的な流れだったのです。

    「80年代にアメリカを越して台頭したのが日本の電機メーカーでした。それが、韓国に、中国にとなっているのが今現在です。ホンハイが脱中国を目指すように今後それはインドなどに流れていくでしょう」

    「これまで、日本のメーカーは一社で企画・開発・製造・流通を担うスタイル(垂直統合型)を採用してきましたが、この形態を続けていく時代はもう終わっているのです」(朝元教授)

    UPDATE

    ホンハイはシャープに総額約3500億の偶発負債があるとして正式契約を延期すると発表。それに伴い一部内容を修正しました。