2月25日に台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業の傘下で経営再建を図ると決議したシャープ。一方、ホンハイは契約延期を発表。揺れる二社に注目が集まっています。

そもそも、ホンハイってどんな会社なのでしょう?
現代アジア経済を研究している九州産業大学の朝元照雄教授に話を聞きました。
1. 1974年、台湾で創業。わずか一代で年間売上14兆円規模に

2. 何をやっているの?:大手メーカーの黒子的存在

3. 最大のクライアントは、あのApple

4. 他にもプレイステーション3、ニンテンドーDSからPepperまで

自社ブランドでプロダクトを開発するのではなく、クライアントメーカーの黒子に徹してきたのがホンハイです。
5. 短期間で成長を遂げた理由=グローバリゼーションの流れに上手く乗った
海外のグローバル企業から製造を受注し、人件費の安い中国でたくさんの労働力をつぎ込むことで成長してきたホンハイ。
とくに、Appleはじめとするグローバル企業は、自社工場を持たないことが多く、EMSの力を借りてプロダクトを生み出す流れが一般化していったのです。
クリエイティブや開発などを本社が担い、製造工程を外注する。そのアウトソーシングを一手に引き受けることで、ホンハイはグローバル企業と共に大きくなっていったのです。黒子として。
6. 100万人の従業員を抱えるまでに成長。でも…
朝元教授は「短期間に爆発的に成長したホンハイですが、最近では賃金が年率10%も上昇しています。そう、中国の人件費は安価とは言えなくなってきたのです」と語る。
7. 労働環境が厳しく、事故や自殺者がでるなどして揉めることも

8. シャープを傘下にする意味は?

9. シャープがホンハイ傘下になって起こり得ることは?
それは、コストカットだと朝元教授は指摘します。
「ホンハイは7000億円規模の予算を投じてシャープを立て直します。ただ、徹底的な成果主義のもと成長を遂げてきた企業なので、コストカットは近いうちになされるでしょう」
実際に、2月5日の協議では
・太陽電池事業の切り離し→赤字事業からの撤退
・40歳以下の従業員の雇用は保証→ベテランのリストラ
この2点が争点になりました。
10. シャープはどうなってしまうの? 大丈夫なの?
「これまで、日本のメーカーは一社で企画・開発・製造・流通を担うスタイル(垂直統合型)を採用してきましたが、この形態を続けていく時代はもう終わっているのです」(朝元教授)
UPDATE
ホンハイはシャープに総額約3500億の偶発負債があるとして正式契約を延期すると発表。それに伴い一部内容を修正しました。