ウクライナのゼレンスキー大統領が2月26日早朝(現地時間)、自らの公式アカウントで「フェイクを信じないで」という文章と自ら語る映像付きでツイートし、「私が武器を置いて避難を呼びかけたというフェイクニュースが流れているが、私はここにいる。国を守る」と語った。
首都キエフではロシア軍の侵攻が始まっており、ゼレンスキー大統領をはじめとするウクライナ政府高官の動向は国際社会の焦点の一つとなっている。
ゼレンスキー氏はキエフ市内の街頭を歩きながら語る自らの映像をツイートすることで、飛び交う偽情報を打ち消すとともに、このままロシアに屈服する意志がないことを、改めて示したかたちだ。
ゼレンスキー大統領のツイート
ゼレンスキー氏はツイートの映像で、以下のように語った(Google翻訳を利用し補正)。
《ウクライナの皆さん、おはようございます。
ネット上で、私が武器を置くよう呼びかけたというようなフェイク情報が多数流されています。
私はここにいます。武器を捨てません。
私たちの武器とは真実であり、土地であり、国であり、子どもたちであり、私たちはその全てを守る。それがお伝えしたいことの全てです》
ロシア国営メディアは「米国が逃亡をオファー」とミスリーディングなツイート
キエフ市内ではロシア軍がすでに侵入しており、米CNNによると市内のあちこちで銃撃や砲撃の音が響いている。ウクライナ内務省は26日、「市内の通りで戦闘が起きている。冷静さを保ち避難所に向かうように」とFacebookで市民に呼びかけた。
ゼレンスキー大統領の動向を巡り、ロシアの国営メディアは「ゼレンスキー氏が米国のオファーにのって国外脱出しようとしている」とも受け取れるツイートをしている。
国営メディアRTは26日午後(日本時間)、「米国がゼレンスキーに避難をオファーと報道」という文章と、ゼレンスキー氏が米国のバイデン大統領と会談する姿の写真を付けて、自社の記事をツイートした。
これだけを見れば、「ゼレンスキー氏が米国の誘いに乗って国外脱出しようとしている」と受け取れる。
しかし、記事をクリックして読み込むと、中段部分に「ゼレンスキー氏はウクライナを離れることを拒否した」とある。
ツイートを見ただけで受ける印象と、実際の事実関係は異なっており、ミスリードを誘うような書き方だ。
一方、アメリカのAP通信社は「ゼレンスキー大統領は米国政府の避難要請を断った」とツイートしている。
米国政府がゼレンスキー氏に対して国外避難をオファーし、それを断ったという事実関係があることは間違いない模様だが、そのどこにどう焦点を当てるかで、ツイートを見た人の印象は大きく異なってくる。
さまざまな情報を集めて検証することが必要になる。