あの日、若者たちが広場を埋め尽くした。そして… 天安門事件を知る13枚の写真

民主化を求める若者らは、激しい弾圧を受けた。

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今からちょうど30年前。1989年6月、北京は熱く燃えていた。

中国の民主化を求める学生たちの運動が活発になり、北京の中心・天安門広場を若者たちが埋め尽くしたのだ。

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この年4月、前総書記だった胡耀邦氏が死去した。民主化に理解を示していた胡耀邦氏を追悼する学生らの輪が次第に拡がり、民主化要求運動に発展していった。

学生らは天安門広場の路上に泊まり込んだ。写真は1989年5月25日撮影。

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この大規模運動を率いたのは、王丹氏（中央）や、ウイグル人のウーアルカイシ氏ら、新世代の学生だった。

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民主化を求める学生の動きに、若い労働者も加わった。

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学生らに理解を示していた総書記の趙紫陽氏が5月19日朝、ハンストする学生らを説得しようとしたが果たせなかった。趙氏は最高実力者・鄧小平氏らの逆鱗に触れ、失脚した。

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天安門広場には学生らがつくった「民主の女神像」まで出現した。

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6月3日まで、状況は緊張していたものの、平和的だった。学生らは動員された中国人民解放軍の同世代の兵士に民主化の意義を呼びかけた。耳を傾ける兵士もいた。

人民解放軍は共産党の指導下にある。日本や国民党軍との戦争を闘い、その名の通り「中国人民を解放するための軍」というのが建前だった。

学生らはその建前を信じていた。この日の夜までは。

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6月4日未明、軍が学生らの強制排除に動いた。「人民解放軍が人民を攻撃する」という構図に学生らはショックを受け、逃げ惑った。

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実弾を発砲しながら迫る軍に、学生らは火炎瓶などで対抗。天安門広場周辺には炎と血が拡がった。

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そして、戦車隊が導入された。

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多くの学生が傷つき、荷車などで仲間の手で運ばれた。リーダーらは逮捕されるか、亡命した。

この弾圧事件での死者数を、中国共産党政府は「319人」としている。

だが、その数字を信じる人は少なく、真相は不明のままだ。当時の北京駐在西側外交官の間では「1000−3000人」とみられていた。当時の駐北京英国大使は「死者1万人以上」と本国に報告している。

時事通信

「6・4」「天安門事件」。中国では今も、これらの言葉が最大のタブーとなっている。

天安門事件に関することを中国本土内で検索しても、結果は表示されない。NHKやCNNなど海外メディアの放送も、天安門事件に関することに触れると、突然画面が真っ黒になる。

2019年5月中旬、中国全土でウィキペディアへの接続が全面的に遮断された。

「天安門事件30周年」の前日となる6月3日には、北京大学の入り口で検問が設けられるなど、厳しい警戒態勢がとられた。

天安門事件後、鄧小平氏は「改革開放」を推し進めた。

この30年で世界第2位の経済大国にのし上がり、軍事面での存在感も大きく高めた中華人民共和国。再び民主化運動が興る日は、いつか。