シリアで相次ぐ子どもたちの死。「言葉がない」ユニセフが白紙の声明で抗議

    内戦が続くシリアのダマスカス近郊で、アサド政権軍の攻撃で多くの子どもたちが命を落としている。ユニセフは異例の白紙の声明を出し、抗議した。

    内戦が続くシリアの首都ダマスカス近郊で、反体制派が掌握を続ける東グータ地区に対するアサド政権軍の攻撃が強まり、BBCによると、2月18日からの3日間で空爆や砲撃などにより250人が死亡し、うち少なくとも50人が子どもだったという。空爆にはアサド政権を支えるロシア軍の戦闘機も加わったとみられる。

    この状況に国連児童基金(ユニセフ)は20日、「どんな言葉も、殺された子どもたちや、その母親たち、父親たち、大切な人たちのことを表すことはできない」として、白紙の声明を公式ホームページやTwitterで発表した。

    ユニセフの声明を伝えるツイート

    The war on children in #Syria: Reports of mass casualties among children in #EasternGhouta and Damascus |… https://t.co/3mKKw4KK7P

    ユニセフは、この白紙の声明を発表する。子どもたちの苦しみや私たちの憤りを表現する言葉は、もはやない。苦しみを与えている人々には、その残忍な行為を正当化する言葉があるのか?

    東グータはダマスカスの北東に隣接する住宅街と農村が点在する地域で、日本の首都圏に例えれば、埼玉県南部か千葉西部のような位置関係にある。2012年から反体制派が一帯を掌握してきた。

    アサド政権にとって東グータは「目の上のたんこぶ」のような存在で、包囲を続けてきた。いまも40万人の市民が暮らすこの地域に、空爆や砲撃が加えられている。

    東グータ地区では2013年8月、サリンによる攻撃で多数の市民が死亡し、米国がアサド政権軍の攻撃と断定する事件も起きた。

    一方、アサド政権は反体制派を「テロリスト」とみなし、反体制派に対する攻撃を「テロとの戦い」とする姿勢を続けている。

    今回の攻勢でも、シリア外務省は国連事務総長に対し「東グータ地区の武装テロリスト勢力がダマスカスに攻撃を加え、市民に被害が出ている」とする書簡を送った。政権の報道機関であるシリア国営通信が2月20日に報じた

    シリアの反体制派は一枚岩ではなく、主義主張や路線の違う多数の組織が存在する。その中には、一時の勢いは衰えたとはいえイスラム過激派「イスラム国(IS)」やアルカイダ系組織など、国際的にテロ組織とみなされる勢力も存在している。

    シリアでは、子どもたちを護る手段も配慮もないまま各地で戦闘が続く。内戦終結に向けた道のりは、今も全く見えていない。

    BuzzFeed JapanNews