新潮社が「常識を逸脱した偏見と認識不足」との社長コメント 新たな批判の声も

    LGBTを巡る月刊誌「新潮45」の問題で、佐藤隆信社長が「弊社は今後とも、差別的な表現には十分に配慮」。ただし謝罪はなく。

    自民党の杉田水脈衆議院議員が「(LGBTは)子供を作らない、つまり『生産性』がない」などとという内容を寄稿した月刊誌「新潮45」が、9月18日発売の10月号で「そんなにおかしいか『杉田水脈』論文」とする企画を掲載した。

    文芸評論家の小川榮太郞氏が、LGBTに対して一般的に使われる「性的指向」ではなく、性に関する好みや趣味といった意味を持つ「性的嗜好」という言葉を使ったり、LGBTの権利と痴漢の「触る権利」を比較対象にしたりしたその内容に対し、「侮蔑的、差別的な内容だ」などという批判の声が上がった。

    さらに、新潮社出版部文芸など複数の同社のTwitterアカウントが、新潮45に対する批判のツイートをリツイートするなど、社内でも意見が割れていたようだ。

    また、今回の号を受け、新潮社の書籍の販売自粛を発表する書店もあった。

    この問題で、新潮社は9月21日、佐藤隆信社長のコメントをホームページに掲載した。

    コメントは以下の通り。

    弊社は出版に携わるものとして、言論の自由、表現の自由、意見の多様性、編集権の独立の重要性などを十分に認識し、尊重してまいりました。


    しかし、今回の「新潮45」の特別企画「そんなにおかしいか『杉田水脈』論文」のある部分に関しては、それらに鑑みても、あまりに常識を逸脱した偏見と認識不足に満ちた表現が見受けられました。


    差別やマイノリティの問題は文学でも大きなテーマです。文芸出版社である新潮社122年の歴史はそれらとともに育まれてきたといっても過言ではありません。


    弊社は今後とも、差別的な表現には十分に配慮する所存です。

    「ある部分に関しては、偏見と認識不足に満ちた表現があった」としているが、「ある部分」とは何を指すのかを示していない。さらに、LGBT当事者に対してへの謝罪や、企画そのものへのコメントはない。

    Twitterでは、この社長コメントに対する、新たな批判の声が出ている。

    新潮社が佐藤社長名義でコメントを発表。今回の『新潮45』の特別企画は「あまりに常識を逸脱した偏見と認識不足に満ちた表現が見受けられる」としつつも逸脱した部分には具体的に触れず偏見によって攻撃された側への謝罪もなく「今後十分配慮します」で終了と。ガソリンかな。 https://t.co/85wuUWBkmV https://t.co/7Oi6HiEz9n

    @Shincho_Bungei @Thoton やっと、新潮社が社長名で声明を出した。しかし、そこには「何も」書かれていなかった。謝罪も、経緯も、具体的な対応も。これが、あの新潮社の「文章」なのか? もう日本文学もジャーナリズムも地下に潜るしかない。または、海外に直接発信するか、だ。