フランスのW杯優勝は「アフリカの勝利」なのか 米国などで大論争に

    米国のテレビ番組で南アフリカ出身のコメディアンが、フランスのW杯優勝を「アフリカの勝利」と呼んだことから、大論争に。

    2018年ロシア・ワールドカップで、フランスが優勝した

    米国の番組で、コメディアンのトレバー・ノアが「アフリカがワールドカップに勝った!」と声を上げた

    このジョークに対し、ジェラール・アロー駐米フランス大使が翌日、抗議文を出した。

    On @TheDailyShow , @Trevornoah called the @FrenchTeam 's World Cup win an "African victory." Read Ambassador @GerardAraud 's response: https://t.co/KR0kFOxDOw

    French Embassy U.S. / Via Twitter: @franceintheus

    「7月17日の番組を拝見しました。フランスのワールドカップ優勝を『アフリカの勝利』と呼んだのは完全に間違いです」

    「ほとんどの選手たちはフランス生まれです。彼らはフランスで教育を受け、サッカーを練習した、フランス人です」「選手たちのバックグラウンドの幅広さは、フランスの多様性を反映しているのです」

    「フランスはコスモポリタン国家です。アメリカ合衆国と異なり、フランスでは市民の人種や宗教、出身をことさら触れることはありません。何々系フランス人ということはないのです」

    「『アフリカのチーム』と呼ぶことで、あなたは彼らの『フランス性』を否定しているように思えます。これがジョークだったとしても、フランス人である条件は白人であること、というイデオロギーに正当性を与えてしまいます」

    南アフリカ出身のトレバーは早速ジョークを交えて反論。その映像をTwitterで公開した。

    The French ambassador to the U.S. @GerardAraud criticized Trevor for congratulating Africa on France’s World Cup victory. Trevor responds #BetweenTheScenes: https://t.co/5nJklXRyY8

    The Daily Show / Via Twitter: @TheDailyShow

    トレバーは「ちょっとフランス政府と揉めちゃってね」と笑いを取ってから大使の抗議文を読み上げ、一つ一つ反論を加えた。

    「選手たちのバックグラウンドの幅広さは、フランスの多様性を反映している、か。僕にはそれは、フランスの植民地主義を反映しているという方が適切としか思えない」

    「僕は南アフリカから来て米国でW杯を見た。世界中の黒人が、フランス代表選手の『アフリカ性』を祝福しているんだ。見ろ、アフリカ人もフランス人になれるんだって前向きな意味でね。アフリカ系であることとフランス人であることが、どうして両立できないんだ?」

    「南アフリカ人、アフリカ人として米国でW杯を見た」というトレバー

    トレバーのツイートには2000を超えるレスが

    When I say they're African, I’m not saying it as a way to exclude them from their Frenchness. I’m saying it to include them in my Africanness. https://t.co/8RW4Rvt7m6

    「彼らをアフリカ人という時、僕は彼らの『フランス性』を排除するような言い方はしていない。僕は彼らを、僕の『アフリカ性』の中に取り込もうとしている」

    この問題を巡る論争が続いている。

    @GerardAraud totally agree with Trevor! French team is perfect proof of ugly French colonialism! Happy for players of African origin but don't ask them to forget their roots and why their ancestors spoke French! #WorldCup2018 #WorldCupFinal #France https://t.co/vL6ppun0Ah

    「トレバーに同意!フランス代表は醜いフランス植民地主義の完璧な証明だ」

    American liberals celebrating the French team’s “Africanness” are making common cause with Jean-Marie Le Pen. My take in @aminterest https://t.co/ZGlxPfkwsC

    「フランス代表選手の「アフリカ性」を称えるアメリカのリベラル層はジャン=マリー・ルペン(フランスの極右)と同じことを言っている」

    @TheDailyShow @GerardAraud I love Trevor but bottom line, he said Africa won when France won. It was about the COUNTRY that held the title, not the origin of ethnicity of the players. He should apologize.

    「優勝したのは国であって、選手の民族性じゃない。トレバーは謝罪すべき」

    @P8ntball1nBigun @parrighi @GerardAraud @Trevornoah Trevor does not speak for Americans. He is constantly saying, "In Africa, we . . ." He is proudly African. Much of his comedy is about viewing the U.S. through African eyes. He was born the son of a white man and a black woman during apartheid. 1/2

    「トレバーはアメリカ人を代表して発言したわけじゃない。彼はいつも『アフリカでは、我々は...』と言っている。彼のコメディーの多くはアフリカ人の視点で米国を見たものだ」

    フランス大使館は「反応はしない」

    駐米フランス大使館はBuzzFeed Newsにトレバー・ノアの反論について「我々の手紙への反応に対しては、反応しない。手紙は非常に明確な内容だった」と述べた。