日本で体罰容認6割の調査結果。「たたいたことある」も7割

    子ども支援の国際的NGOセーブ・ザ・チルドレン・ジャパンが日本で2万人を対象に行った子どもの体罰に関する調査で、6割が体罰を容認していることがわかった。子育て中の7割が少なくとも一度は子どもをたたいたという。

    セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンの調査結果では、「しつけのため子どもに体罰をすることをどう考えるか」との質問に対し「決してすべきではない」と答えたのは43.3%。残りの56.7%は、程度の差はあれ体罰の存在を認めた。

    しつけのため体罰をすることに対し、どう考えるか。

    調査対象の2万人のうち子育て中の1030人を対象とした実態調査では、7割がこれまでにしつけのため子どもをたたいた経験があると答えた。

    過去にしつけの一環として子どもをたたいたことがあるか。

    そして、子どもの言動に対してイライラしたり、孤独を感じたりすることが多い人ほど、子どもをたたく傾向がみられた。体罰によらなくても子育てができるよう、親や養育者に対する支援と啓発も必要だという。

    回答者の子育てに関する状況と子どもをたたくこととの関係性

    日本の制度には「抜け穴」

    日本でも、子どもへの体罰は人権問題であり、子どもの発達にも負の影響を与えるという認識が広まり、学校などで体罰が用いられることは大幅に減った。だが、それでも体罰を巡る法制度には抜け穴がある。

    それは、民法の「懲戒権」の規定だ。

    学校教育法では学校での体罰を禁止しており、児童虐待防止法もある。一方、民法822条は「親権を行う者は(中略)監護及び教育に必要な範囲内でその子を懲戒することができる」と規定しており、家庭内での体罰が容認される余地を残している、という。

    日本弁護士連合会なども、この条文の削除などを求める運動を行っている。

    セーブ・ザ・チルドレンによると、世界53カ国で家庭を含む子どもの体罰を法律で禁じている。その先駆けとして1979年に法改正を行ったスウェーデンでは、法律と啓発活動の効果で、子どもの体罰に関する社会の意識は大きく変わった。

    スウェーデンでの体罰に関する意識の変化

    セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン国内事業部の瀬角南マネージャーは「今回の調査結果をもとに各省庁や自治体、議員らに働きかけ、子どもの体罰を防ぐための法制度づくりや、たたいたり怒鳴ったりしなくてもできる子育てを含めた啓発活動を進めたい」と話した。

    調査報告の全文はこちらで読むことができる。

    BuzzFeed JapanNews