CNNは誤RTに注目 トランプ氏は「貿易赤字削減を」 日米首脳会談、米メディアから見ると

    ワシントンで開かれた日米首脳会談。米国のメディアはどう報じたのか。

    日米首脳会談が6月7日(日本時間8日)、ワシントンのホワイトハウスで行われた。これを、米国のメディアはどう報じたのか。

    ニューヨーク・タイムズは、日米首脳会談後に開かれた会見でのトランプ大統領の発言を元に、「核合意の放棄でイランが行動を変えたとトランプが発言」との見出しで伝えた。

    日米首脳会談そのものよりも、会談後にトランプ大統領と安倍首相が揃って開いた会見での、イランに関するトランプ氏の発言に注目したかたちだ。

    日米の会談については「安倍氏にとってこれは、トランプ氏がシンガポールに向かう前の最後の努力」「4月にも会談して北朝鮮による拉致問題を議題とすることを約束させた」と報じた。

    また、トランプ氏が北朝鮮の中短距離弾道ミサイルについて触れていないことについて、米国に到達する大陸間弾道ミサイルだけが取引材料となり、日本の脅威となる中短距離弾道弾が放置される懸念が、日本国内にあることを紹介した。

    ただ、記事全体の主眼はトランプ政権が離脱を表明したイラン核合意問題と北朝鮮との首脳会談。日本に関しては、「安倍氏は北朝鮮が日米会談の大部分を占めたと語った」「安倍氏は通訳経由で『トランプ大統領、あなたは新しい歴史をつくろうとしています』と語った」と伝えた。

    ワシントン・ポストは、トランプ氏が日米首脳会談後の会見で、北朝鮮との国交回復をいつか行いたいと述べたことを軸に報じた。また、同じ会見を元にした別の記事で「(米朝首脳会談に向け)もう十分な準備はできたと思う」と述べたと伝えた。

    また、会談に対する日本側の姿勢は6日に事前の解説記事のかたちで掲載した。トランプ氏の検討する在韓米軍の撤退などを通じ、日本が中国に単独で向き合わねばならなくなることを恐れていると報じた。また、今回、日本は北朝鮮との直接対話もない状況で米朝間が交渉した結果、北朝鮮への多額の投資などを求められることを懸念しているとした。

    AP通信も6日、安倍首相がトランプ氏に拉致問題を取り上げるよう求める見通しと報じている。

    日米の電話会談や米国で行われる日米首脳会談は、日本では大きく報じられても、米国での報道が少ないことは珍しくない。今回も、会談後の共同会見でのトランプ氏の発言を引用した報道はあったが、日米の会談そのものに触れた記事は少なかった。

    今回の会談は、日本にとっては米朝首脳会談を控えるトランプ氏に、日本の安全保障や拉致問題などの重要性を訴える最後の機会だった。一方で米国メディアの関心は、イラン核合意からの離脱問題などトランプ氏の動向そのものにある。

    CNNが安倍首相について報じた内容の焦点も、日米会談ではなかった。

    安倍首相のTwitterアカウントが、本来は「会うのを楽しみにしている」というトランプ氏のツイートに「私も楽しみにしています」とコメントを付けてリツイートしようとしたものの、間違ってトランプ氏が政敵を攻撃するツイートをリツイートし、そのご削除した、というものだった。

    なお、トランプ氏が今回の会談で米国内向けに訴えようとしたのは、米国の貿易赤字問題のようだ。この日、自らのTwitterアカウントから、安倍首相との会談に関するツイートを4つ連投した。

    「よき友人の安倍首相をお迎えできて名誉だ」「安倍首相と私は米国と日本の通商関係を改善しようとしている。米国の貿易赤字を減らそうと懸命に努力している」などと記したが、米朝関係や日朝関係に関しては触れなかった。