• gorin badge
  • gorin2016 badge

【リオ五輪】 「内村は王様」 僅差で逆転負けのベルニャエフが送った賛辞

「フェルプスやボルトのような王様」

リオ五輪体操個人総合の決勝が10日(日本時間11日)に行われ、日本の内村航平が92.365点で2大会連続での金メダルに輝いた。

金と銀をわけた差は0.099。薄氷の勝利だった。2009年から世界選手権6連覇の内村を最後まで苦しめたのは、ウクライナの若き挑戦者オレグ・ベルニャエフ(22)。

2015年のヨーロッパ選手権個人総合を制し、リオでも予選を1位で通過したオールラウンダー。決勝でもその力を遺憾なく発揮。2種目のあん馬で内村をリードすると5種目目の平行棒では16.100点の高得点で内村を追い詰めた。

祖国ウクライナは2014年から分断状態。親ロ派が独立を宣言しているドネツクに生まれ、7歳で体操に出会った。15歳でキエフに移り、以後ハードな練習を積んできた。

体操競技への国の支援は、ほぼ皆無。器具は壊れ、床を修理する金もない。練習環境は最悪だった。

国から出る給与は、月100ドルほど。他国とは10倍以上の差がある。仲間たちがロシアやアゼルバイジャンへと国籍を移していく中、ベルニャエフへも高額での国籍変更のオファーが届いた。

だが、「家族も親戚も親友もいるウクライナが僕の祖国だ」と思いとどまった。

毎週のように中規模の大会に出ては賞金を稼ぎ、活動費に充てた。

最終競技の鉄棒。王者・内村は完璧な演技で15.800点を記録した。ベルニャエフもミスのない演技で、着地でやや跳ねたものの終了後にはガッツポーズ。勝利を確信したが、得点表示は14.800点。金には届かなかった。

得点へ不満がないわけではない。会場からは内村勝利へのブーイングもあった。しかし、ベルニャエフは内村と笑顔で握手し、肩を抱き、互いの健闘を称え合った。

メダリスト会見で海外メディアから内村に「あなたは審判に好かれているのでは?」と質問が飛んだ。ベルニャエフは「無駄な質問だ」と怒りをあらわにした。

米Yahoo Sportsの取材でも、こう語っている。

「僕は内村を尊敬している。彼は体操の王様なんだ。マイケル・フェルプスやウサイン・ボルトのようにね」

王様を尊敬している。そして、次こそは自分が勝つと誓っている。