新ドラマの石原さとみ、そして窪田正孝が可愛いすぎるぞ

    日本の問題も浮き彫りにする

    フィクションを描くことで、現実の問題が浮き彫りになる。ドラマの醍醐味の一つだ。

    1月12日にスタートする新ドラマ『アンナチュラル』(TBS)。「逃げるは恥だが役に立つ」で知られる脚本家の野木亜紀子が取り組んだのは、日本に死因究明に特化した公的な研究機関があったなら、というifだった。

    着想の原点は、2012年から内閣府主導で行われた死因究明等推進会議。先進国に比べ10分の1程度と低い日本の解剖率を改善すべく、厚労省・文科省・警察庁らが参加した会議だったが、大きな成果はなく終了してしまった。

    もし、このとき別の道に進んでいたのなら。あり得た現実の一つが、石原さとみ演じる法医解剖医の三澄ミコトらが働く「不自然死究明研究所(UDIラボ)」だ。

    ミコトは死因究明に特化したこのUDIラボで、日々持ち込まれる「アンナチュラル・デス(不自然な死体)」の死因、そして背後にある人間の様々な感情と向き合っていく。

    一緒に働くクセのあるメンバーたちは井浦新、窪田正孝、市川実日子、松重豊と豪華な顔ぶれが並ぶ。

    特に松重演じるUDIラボの所長・神倉は、人が良さそうな顔の裏で、政治的な様々なやり取りに長けた"寝技師"ぶりが「機動警察パトレイバー」の後藤隊長を思い起こさせたまらない。

    UDIラボの5人の関係性、時折覗くそれぞれの影により、物語にさらに惹きつけられる。

    ジャンルは法医学ミステリーで、第1話から物語は二転三転。思わぬ着地点までスピーディーに進んでいき、視聴者はグイグイとドラマに引き込まれる。

    死を扱う法医解剖医を描いているが、内容はあくまでポップだ。

    石原、窪田正孝演じる六郎、そして市川実日子演じる夕子の掛け合いはとにかく明るく、遺体を間に挟んでのジョークのやり取りは、なんとも可笑しい。

    ミステリーとしても野木の紡ぐセリフが活きる。

    前半で出た何気ない会話中の言葉が、後半に大きな意味を持つ。パズルの最後の1ピースが埋まる展開は見ていて気持ちがよく、セリフにも注目してほしい。

    これまでと違う、でも期待通りかわいい石原さとみ

    タイトルとは真逆に、今回、石原演じるミコトの魅力はとにかくナチュラルなことだ。

    演出の塚原あゆ子は、ドラマのテーマについて「死を通して、生きることを問いかけたい」と語ったが、ミコトは仕事に恋にと頑張る、現実の手触りを感じさせる生きた女性を演じている。

    特に印象的なのがたびたび出てくるミコトの食べる姿。更衣室で天丼をほお張り、仕事をしながらお菓子を食べ、悲しいときにも甘い物を食べる。

    その食べっぷりについて、井浦は「黙々と食べる姿が生々しい、生きるということがわかる素晴らしい食べ方」と絶賛している。

    一方、多くの人が見たい、石原の可愛らしさもたっぷり。特に走る姿の可愛らしさは、これぞ石原さとみと思わされる。

    もう一人、ドラマで可愛さを象徴する人物がいる。窪田演じる医大生ながらバイトで UDIラボで働いている記録員の久部六郎だ。

    一見クールに見せながら、若気の至り全開で、暴走する窪田。見ていて恥ずかしさもこみ上げるが、母性本能をくすぐられる女性も多いはず。今後の六郎の成長ぶりも見どころになりそうだ。

    光る塚原あゆ子の演出

    石原が絶賛する塚原の演出もドラマでは光る。

    難解な用語も飛び出す法医学が題材ながら、文字テロップなどには頼らず、登場人物のセリフで巧みに説明し、作品への没入感を高める。

    登場人物たちが同時にセリフを話す「ダブルトーク」やエキストラへの細かな演出が生み出すUDIラボの現実感も印象的。1話完結もののドラマではあるが、伏線も多く、2話以降もは気になること請け合いだ。

    見終わった後、現在の日本には死因究明に特化した「UDIラボ」のような機関がないことにもはっとさせられる。

    ドラマのように検死されないことで、真実が誰にも気付かれず、遺体と一緒に灰になっている可能性も実際にはあるのだ。

    その事実を「アンナチュラル」は浮き彫りにしてくれるドラマでもある。

    BuzzFeed JapanNews