北海道日本ハムファイターズの中継ぎエース・谷元圭介投手の電撃トレードがファンに衝撃を与えている。
日ハムは移籍期限となる7月31日、谷元が中日ドラゴンズへ金銭トレードで移籍すると発表した。
あまりに急なトレード。球団が発表した「正直、驚いています。気持ちを整理するのは難しいですが、必要とされて移籍するからには頑張るしかないと思います」とのコメントからも谷元自身の動揺がうかがえる。
2016年の胴上げ投手
寝耳に水のこのトレードにファン、そして谷元本人が驚くのも無理はない。谷本はファイターズ中継ぎ陣のエースであり、押しも押されもせぬ主力だからだ。
2008年にドラフト7位で日ハム入りした谷元は、身長167センチと小柄ながら、最速150キロのキレあるストレートを武器に先発、ロングリリーフなどさまざまな場面で活躍した。
2014年からは勝ちパターンの中継ぎとして定着。昨年は58試合に登板し、自己最多の28ホールド。最大11.5ゲーム差をひっくり返してのリーグ制覇に大きく貢献し、広島カープとの日本シリーズでは胴上げ投手にもなった。
昨オフに1億円プレイヤーの仲間入りを果たした谷元は、今シーズンも大車輪の活躍で、すでに36試合に登板。6月23日にはプロ野球史上25人目となる100ホールドを達成している。
今年のオールスターゲームにも監督推薦で32歳で初出場を果たした。オールスターに出場した選手がその年にトレードで移籍するのは史上初の出来事だ。
これまでの日ハムを考えれば納得できる流れだが...
日ハムはチームの顔だった糸井嘉男の電撃トレードや、リーグMVPに輝いた元エース・吉川光夫の昨オフの放出などドラスティックな経営で知られている。
特に年俸の高いFA権取得選手には消極的な姿勢を貫いている。
1993年にFA制度が導入されてから、日ハムが獲得したのは2004年の稲葉篤紀ただ一人。FA権を取得した主力の引き止めにも積極的ではなく、小笠原道大、森本稀哲、陽岱鋼らはFA権取得とともに退団している。
今年6月21日に谷元は国内FA権を取得しているが、仮にオフに権利を行使した場合、日ハムは引き止めるとは考えにくい。
FA移籍では移籍先球団からの金銭や人的補償を移籍元の球団は受けるが、そこで得られるものよりも中日との金銭トレードで得られる額が多かったと判断したと推測できる。
日ハムといえば若手の積極起用で知られるが、谷元は今年で32歳。高卒3年目の石川直也投手、2年目の田中豊樹投手などの若手の出場機会を与えるためのトレードとも考えられる。
今シーズン5位と低迷する日ハム。メジャーリーグでは優勝争いから脱落した球団が、中堅選手を整理し、来シーズンの補強に充てるケースは少なくない。
ファンからは悲鳴も
そのドラスティックな経営手腕で、昨シーズンまでの10年間で5度のリーグ制覇と結果を出している日ハム。
だが、ファンは結果だけで割り切れるものではない。
長年の日ハムファンであるタレントの伊集院光も球団の方針は理解しつつも、頭だけでは納得できない複雑な心境をツイートしている。
トレードを発表した日本ハムの公式Twitterアカウントには現在までに「なぜ谷元さんなんですか、悲しすぎます…」「意味がわからない」「事情はあるとは思いますが、もう少し ファイターズファンの心情も考えるべきでは?」「今日でハム球団のファン辞めます」など怒り、悲しみの声が数多く寄せられている。