イギリスがEU離脱 サッカー界への影響は?

    今後は大物選手獲得が難しくなる可能性も

    国民投票の結果、イギリスのEU離脱がほぼ確実となった。欧州で人気のスポーツであるサッカーにどういった影響を与えるのだろうか。

    1.EUROやチャンピオンズリーグからは離脱しない

    Carl Recine / Reuters

    現在、イングランド代表やウェールズ代表が参加する「EURO」への参加条件は、欧州サッカー連盟(UEFA)への所属であるため、EU離脱後も引き続き参加できる。

    欧州チャンピオンズリーグやヨーロッパリーグといったクラブ大会もUEFA主催大会であり、こちらも引き続き参加可能だ。

    2.EU離脱が昨年起こっていればレスターの優勝もなかった?

    Adrian Dennis / AFP / Getty Images

    1995年のボスマン判決以降、欧州のリーグではEU加盟国籍を持つ選手を外国人ではなく自国選手と同じ扱いで獲得できるようになった。

    イングランド・プレミアリーグでは、高額の放映権料で得られた潤沢な資金を背景に各国のスター選手をかき集めた。

    現在プレミアリーグでプレーするEU加盟国籍選手は100人以上。強豪チームのアーセナルではイギリス出身選手が一人も出場しないこともあった。

    一方、EU圏外の選手には自国代表として過去2年間の国際Aマッチに75%出場していなければ就労ビザは発給されないという厳しいルールが設けられている。

    レスター・シティでプレーする日本代表・岡崎慎司のチームメートで優勝の立役者の一人であるフランス代表エンコロ・カンテはレスター加入時、代表歴はなく、EU枠がなければ移籍できなかった。

    もしカンテがいなければレスターの奇跡の優勝もなかっただろう。

    サッカーはイングランドの国技であり、影響の大きさから就労ビザの条件が緩和されるとみる専門家もいる。

    Paul Barker / AFP / Getty Images

    これまで活躍した選手の中にもEU枠の恩恵を受けた者は多い。

    マンチェスター・ユナイテッドで成長しスターとなったクリスティアーノ・ロナウド(現レアル・マドリード)や、アーセナルでFWとして覚醒したティエリ・アンリ(現在は引退)はプレミアリーグでスターに育った選手だが、EU枠がなければ移籍自体できなかった。

    一方、増えすぎた外国人選手により自国選手の活躍の場が奪われているとの声はイギリス国内で以前から上がっており、今回の離脱を自国選手を育てるチャンスと捉える向きもある。

    3.イギリス国籍選手のEU各国への移籍が不利になる

    Jason Cairnduff / Reuters

    EU離脱により、イギリスの選手が他国リーグに移籍しにくくなる可能性が出てくる。

    プレミアリーグを除く、欧州4大リーグの外国人選手枠は以下の通りだ。

    【イタリア・セリエA】

    ・EU加盟国・EFTA加盟国は外国人にカウントされない。EU圏外選手は3人まで。3人以上が所属するチームは毎シーズン1人までしかEU圏外選手を獲得できない。

    【スペイン・リーガエスパニョーラ】

    ・EU圏外選手は登録、出場ともに各チーム3人まで。

    【ドイツ・ブンデスリーガ】

    ドイツ国籍を持つ6人、クラブの地元で育成された6人の計12人と契約をしなければならない。この条件をクリアすれば外国人選手の獲得は自由。

    ウェールズ代表のガレス・ベイルは現在、スペインのレアル・マドリードに所属しているが、EU離脱により外国人選手扱いとなる。

    ベイルのような世界的選手ならば影響は少ないだろう。

    しかし今後EU圏外となったイギリス出身の選手たちは、狭き外国人枠を南米の有望な選手たちと争う必要が出てくる。

    4.大物選手の獲得が厳しくなる可能性も

    Marco Luzzani / Getty Images

    EU離脱によりポンドの価値が暴落。為替の影響で海外選手の獲得が割高となり、プレミアのチームは大物選手を獲得しにくくなる可能性がある。

    一方、ポンドが弱まり割安感が出ることで、イギリス国内の有力選手の海外流出が加速するだろう。

    海外からの投資により、世界一贅沢なリーグとも言われるほど活況を呈しているプレミアリーグだが、有力選手の離脱が相次げばリーグの魅力も低下。投資の対象からも外れるだろう。

    サッカーファンとしてはEU離脱が、プレミアリーグに壊滅的なダメージを与えないよう祈るばかりだ。