19年ぶりの日本シリーズ出場を決めた夜、横浜スタジアムの外で起こっていたこと

    スタジアムは入場規制がかかるほどの盛り上がり


    10月24日の出来事だ。

    横浜駅。スーツ姿のおじさんたちは、スマホで一球速報を見ながら少年のような顔になっていた。横浜DeNAベイスターズが19年ぶりの日本シリーズに出場に近づいていた。

    午後9時。試合は終盤だが、横浜スタジアムの最寄である関内駅からは次から次と人が降りていく。

    クライマックスシリーズ第6戦が行われていた広島へ向けて声援を送るため、横浜スタジアムではパブリックビューイングが開催されていたが、2万3000人以上が集まり、入場規制がかかっていた。

    駅前に立つ警備員は拡声器で「本日、満席のためスタジアム内には入場できません。野外モニターの設置はありません」と告げたが、人々は足を止めず、暗闇に光るスタジアムへと向かっていく。

    スタジアムの周辺にはファンの山ができていた。数は千人以上。横浜の勝利を願い、声援を送っていた。

    試合の様子を見られる環境は用意されていない。

    ネット中継を流しているiPadを囲むように人だかりができている。中継にはタイムラグがあり、球場内から歓声が聞こえた後、画面に映ったホームランを見て、歓声が上がる。

    一番大きな集団はみな顔を上に向けている。

    夜空の星に願いでもかけているのかと目線の先を辿ると、スタジアム2階に小さなモニターがあるのが見えた。

    横浜の選手がバッターボックスに立つと、ファンたちはいつもと変わらぬ応援歌を歌い始める。スタジアムの外にいても心は一つだった。

    スタジアムには入れなくても心は一つ。 #baystars

    6点差の9回裏、横浜が誇る「小さな大魔神」山崎康晃の登板が告げられるとスタジアム内、そして外で名物のヤスアキジャンプが起こる。

    あと3人...あと2人...。

    あと1人...。

    あと1球…。

    勝利が近づくにつれ声援は大きくなっていく。

    勝利の瞬間、19年ぶりの歓喜は爆発ではなく、波のように場外のファンたちに広がっていった。

    試合が終わり、スタジアムで観戦したファンたちがゲートから出ていく。すると、外にいたファンたちが集まり、自然とハイタッチが始まった。誰しもが喜びを分かち合いたくてたまらない様子だった。

    大洋ホエールズ時代からのファンという初老の男性は「やっとだよ。19年待ったよ」と破顔一笑。

    まだ、あどけなさが残る10代の男の子は「19年前は生まれていなかったので、初めての日本シリーズです」と興奮を隠せない様子だった。

    クライマックスシリーズのMVPを聞くと、筒香、ロペス、宮崎、ラミレス監督と様々な名前が飛ぶ。選手たちへ「ありがとう」と告げるファンの顔も誇らしげだ。

    一方で「カープファンへの一言」と聞くと、ちょっと申し訳なさそうな顔も浮かんだ。

    14.5ゲーム差を離されていた3位チームの日本シリーズ出場。クライマックスシリーズの是非が議論を呼ぶのはしかるべきだろう。

    ただスタジアムに浮かんだ数々の笑顔をもまた、クライマックスシリーズが生んだものだった。

    BuzzFeed JapanNews