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【リオ五輪】大野将平が男子柔道悲願の金、テレビ解説の穴井さんも涙

剛の柔道で見事な一本勝ち

リオ五輪柔道男子73キロ級決勝、日本の大野将平がアゼルバイジャンのルスタム・オルジョイに小内刈りで一本勝ちし、2008年の北京五輪以来2大会ぶりとなる金メダルを日本にもたらした。

国内にロンドン五輪銀メダルの中矢力、ベテランの秋本啓之と世界王者経験者2人がいる最強階級。激しい国内代表争いを制しリオの代表に選ばれたのが、2013年、2015年と世界選手権を2度制した大野だった。

内股や大外刈りを中心に積極的に攻め、一本を奪う正統派スタイル。フィジカルでも外国勢に負けない強さを誇る剛の柔道家だ。

リオでは5試合中4試合で一本勝ち。「内容的に満足できるものではなかったですけど、柔道という競技の素晴らしさ、強さ、美しさを見ている皆様に伝えられたんじゃないかなと思います」と胸を張る。

井上康生監督が掲げる海外勢の「JUDO」に負けない「真の柔道」を見事に体現した。

決勝で勝利した瞬間、浮かんだのは笑顔ではなく安堵の表情。

「プレッシャーが大きかったし、周りから金メダルを獲って当たり前という声が聞こえていたので、当たり前のことを当たり前にやる難しさを感じた。オリンピックは独特といえば独特ですが、普通の国際大会と一緒。気持ちの持ちようだと思います」

井上監督に"金メダルに最も近い"と評された男は、少し高揚しながらこう言ってのけた。

大野の天理大学時代の師匠で、テレビ解説を務めた穴井隆将さんは「いろんな負けを経験し、乗り越えてのこの金メダル。本当に自分のことのようにうれしい」と涙した。

穴井さんは金メダルを逃したロンドン大会で100キロ級の代表に選ばれるも、2回戦で敗退。だからこそ、余計に大野の勝利がうれしかった。

リオ五輪の柔道、この日の女子57キロ級の松本薫まで、男女合わせて5人全員が準決勝の壁に阻まれ続けた。大野は準決勝でベルギーのディルク・バンティヘルトに巴投げで鮮やかな一本勝ち。嫌な流れを断ち切った。

そして、決勝も一本勝ち。男子柔道にとって2大会連続で金メダルなしという悪夢も、これでなくなった。

「あしたも旭化成の永瀬(貴規)がやってくれると思う。いいバトンパスができた」

金メダルが出たことで、今後の選手への圧力も軽減される。日本柔道へ良い流れを作る大きな勝利だった。