オリコン発表の2016年上半期"本"ランキングが発表され、総合部門である「BOOK部門」1位に「おやすみ、ロジャー 魔法のぐっすり絵本」(飛鳥新社)が輝いた。

著者のカール=ヨハン・エリーンさん

大人にも効果? 気になる注意書が…

上半期最大のヒットとなった同著はスウェーデンの行動科学者であるカール=ヨハン・エリーンさんが「子供がなぜ寝たくない気持ちになるのか」を徹底研究して書かれた絵本。同国では2010年に自費出版。2014年の英語版刊行を経て、2015年11月に日本に上陸し、上半期で62.6万部を売り上げた。
本の編集にあたった飛鳥新社の矢島和郎さんはヒットの要因について「発売1週間後にテレビ番組『ノンストップ!』(フジテレビ系)で取り上げていただいたことで多くの方に認知していただき、その後、Instagramで子供さんを持つお母さんを中心に口コミで広がりました。ハッシュタグ #おやすみロジャーは7000件以上の投稿があります」とBuzzFeedに明かした。
「寝かしつけ」を題材とした本だけに、子供を眠らせる言葉選びには苦心した。
「今回の本では監訳を快眠セラピストの三橋美穂さんにお願いし、どうすれば子供に寝てもらえる訳になるのか気をつけました。例えば『sleep』の訳は『寝る』がいいのか『眠る』がいいのか。当初は『寝る』だったんですが、三橋さんによれば、心身ともに安らいで休んでいる状態をあらわすのは『眠る』ということだったので、一部をのぞき『眠る』にしました」
「わざと直訳っぽくした部分もあります。原書だと『Now』がかなり不自然に入っているんですが、『おかしい表現でもそのまま読んでください』とあるので、あえてそのままにしています」
本の簡単な翻訳ができると、矢島さんは自身の4歳の子供や、知り合いの子供に効果があるか確かめた。結果、半分以上の子供が寝てくれたことで手応えを感じた。
本が出版されてから現在まで届いた読書ハガキが2000通以上。子供をもつ親から感謝の声は後をたたない。
「おやすみ、ロジャー」の本やホームページには次のような注意書が書かれている。
「車を運転している人のそばで絶対に音読しないこと。」
本当は大人にも効果あるのか? それとも著者カールさんの冗談なのか?
「半分は冗談だと思うんですが、実際に『大人も眠くなった』とのお母さんからの声や、少数派ではあるんですが『一人で読んだけど睡眠効果があった』との声も寄せられています。もともと著者のカールさんは『この本には年齢対象はない』と言っているので、大人にも効果はあるはずです」(矢島さん)
最近眠れないという大人も読んでみるといいかもしれない。