賛否両論の『M-1』上沼恵美子さんの採点 本当に偏っていたのか

    データを分析しました

    平成最後の漫才日本一を決める『M-1グランプリ2018』が12月2日に開催され、「霜降り明星」が史上最年少で王者に輝きました。

    「M-1」といえば、結果もさることながら個性的な審査員の配点や評価も毎年話題になります。

    今年も上沼恵美子さん、新たに審査員に加わった立川志らくさんがSNS上で話題になりました。

    上沼さんは「大ファン」と語ったミキに98点をつける一方、ジャルジャルに対しては「ジャルジャルのファンなんですが、ネタは嫌いや」と88点と辛口の点数をつけました。

    一方、志らくさんはジャルジャルに対し「ひとつも笑えなかった、だけどものすごく面白かった。」と99点と高得点をつけました。

    個性的な配点の上沼さん、志らくさんの評価には賛否両論が集まっていますが、2人はそれほど独特な評価をしていたのでしょうか。

    それを調べるため審査員が決勝進出10組につけた得点の「標準偏差」で見ました。この数字はデータのばらつきを見る指標で、大きいほどばらつきがあります。

    この数字で見ると確かに上沼さんが4.928ともっとも高く、この日の審査員で最も数字にばらつきがあったことが分かります。

    次いで志らくさんの4.522、松本人志さんの4.377、ナイツ塙さんの4.365となります。

    4人の中で最高点と最低点の幅が最も大きかったのは塙さんの16点差で、他の3人は14点の差になります。

    逆にばらつきが最も少なかったのが中川家・礼二さんで1.897。礼二さんは最低点でも90点と全員に90点台をつけています。

    それに次ぐのがサンドウィッチマン富澤さんの2.022で、富澤さんも最高92点~最低86点と礼二さんと同じく得点の幅が6点しかありません。

    オール巨人さんは標準偏差が2.828、得点の幅も9と7人の中間値です。

    差が大きな4人と少ない3人が集まっていることから、審査員全体としてはバランスも取れていたことが分かります。

    個性的な審査員は最終決戦進出に影響を与えたのか

    M-1は決勝戦の上位3人が最終決戦に臨み、優勝を決定するシステムです。

    では審査員の個性的な採点が最終決戦進出に影響を与えたのでしょうか。

    結論から言えば、2018年のM-1では大きな影響があったとはいえません。上位3人はどの審査員も高い評価を与えていたからです。

    まず2018年度のM-1に優勝し、最終決戦にも1位で通過した「霜降り明星」ですが、松本さん、塙さん、礼二さん、巨人さんの4人が最高得点。

    富澤さん、上沼さんもそれぞれ2位の評価をつけていて、志らくさんも全体の3位の高得点をつけています。

    今年も惜しくも準優勝に終わった「和牛」は最終決戦を2位で通過しましたが、上沼さん、富澤さんが最高得点の評価。松本さん、塙さん、礼二さん、巨人さんは2位の評価をつけ、志らくさんも体の3位の高得点をつけています。

    そして3位で最終決戦に臨んだ「ジャルジャル」。2018年もトリッキーなネタでSNSをわかしました。

    このコンビに志らくさん、巨人さんとベテラン2人が最高得点をつけているのは面白いところです。

    特に巨人さんは霜降り明星と同じ93点と高評価。漫才のスタイルで評価しているわけでないのが分かります。

    松本さん、富澤さん、塙さん、礼二さんもジャルジャルにはそれぞれ3位の評価をつけています。

    上沼さんが最高得点98をつけた4位の「ミキ」は富澤さん、礼二さん、巨人さんが3位の評価と高かったですが、ポイントでは3位と10点と大きく離れていました。

    賛否両論があった上沼さん、志らくさんを抜いた順位は以下の通り。

    4位かまいたち、5位ミキの順位は入れ替わりましたが、上位3組は変わらず、その差も大きいものでした。

    最も評価が分かれたコンビは?

    M-1はスポーツのように形が決まっているものではないため、審査員の判断基準もそれぞれです。

    例えばオール巨人さんは12月3日発売の「週刊プレイボーイ」での連載(執筆時点では結果はわかっていません)の中で「新鮮味とうまさ、その総合点が最も高かったコンビが優勝しているでしょう」と書いています。

    M-1においては審査員の判断それ自体も一つの楽しみと言えるのではないでしょうか。

    最後に先ほど使った標準偏差を使い、最も評価が分かれたコンビは誰だったのでしょうか。

    最も評価が分かれたのは「サザエさん」のキャラクター中島くんを5人合体させるという個性的な設定で挑んだ「トム・ブラウン」でした。

    なんか納得!