ジョニー・デップとヴァネッサ・パラディの娘で、モデルや女優として活動し、注目を集めるリリー=ローズ・デップ(18)。


2015年にシャネルのモデルとしてデビューし、翌年には「シャネル」No°5のミューズに起用。女優としても映画「プラネタリウム」でナタリー・ポートマンとW主演を果たすなど注目を浴びている。
そんなリリーがショービジネスの世界に飛び込むきっかけとなったのは、幼馴染、家族と一緒に出演した“カルト映画”だ。

リリーの初主演映画『コンビニウォーズ バイトJK VS ミニナチ軍団』(7月1日から新宿シネマカリテほか全国順次公開)で監督を務めたケヴィン・スミスは「リリーは以前かなりシャイだったけど、この映画がきっかけでシャネルの宣伝も受けるようになったんだ」と語る。

ケヴィンの娘で、リリーとともに映画で主演するハーレイ・クイン・スミスは幼稚園からの友人同士。娘を通して、ケヴィンとジョニー・デップも交流が始まった。
ケヴィンは2014年公開の映画『Mr.タスク』で娘ハーレイをコンビニ店員として起用。撮影現場に来ると話していたリリーにも「見学も楽しいけど、芝居はもっと楽しいよ」と出演をオファーした。
映画にカメオ出演することが決まっていたジョニーもリリーの出演を快諾。撮影当日は現場で娘たちの演技指導もしたという。

「娘の演技指導をしているジョニーを見てなんだかかわいいやつだなって僕は思ったよ。演技指導しているうちに段々ハーレイが僕の言うことを聞かなくなってジョニーの言うことばかり聞くようになったんだ(笑)」
出演時間は5分ほどだったこのコンビニ店員をスピンオフさせた長編映画が2016年に製作された『コンビニウォーズ』だ。

授業もバイトもやる気はないが、ヨガだけは愛してやまない女子高生のコンビニ店員2人が、ひょんなことから目覚めたミニナチ軍団とバトルを繰り広げる、ガールズホラーアクションだ。
リリーの母親であるヴァネッサ・パラディは、当時15歳だったリリーの芸能界入りは大人になってからと考えていたが「友達と一緒に出演できて、なおかつ親も現場にいる。ジョニーがやる気だったら何も言わない」とOKを出した。

娘との共演、気に入っていた『Mr.タスク』でのキー・ラポワントという役での出演ということで、ジョニーはストーリーも聞かず「俺、出演するぜ」と即答したという。
「映画を製作する前に出資者のところに行き『ジョニー・デップが出るんです』って言ったら『お金やるやるやる!』って言ってくれたよ(笑)」
『コンビニウォーズ』には、ジョニーのほか、ヴァネッサやリリーの弟ジャック・デップ、ケヴィンの妻なども出演。まるで壮大なホームムービーで、撮影現場にはジョニーの妻(現在は離婚)のアンバー・ハードも見学していたというから驚く。

とはいえ、自分の娘たちを主演させた映画にはかなりのバッシングが寄せられ、サンダンス映画祭上映の際には評論家から酷評も浴びた。
「恥ずかしい思いをしていても、娘(ハーレイクイーン)はとっても心優しい子だから父親には言わないかもしれない。でも彼女は僕に本当にいい映画だったよって言ってくれる」
「どんなに酷評されようとも、娘たちが40歳50歳になったときに『そういえばあんな映画作ったね』という思い出に残ることが大事だと思ってるんだ」

この映画をきっかけに、ハーレイは本格的に女優の道を歩み始め、リリーもカメラの前に立つことへの意識が芽生え、ショービズの世界へと飛び込んだ。
「ハーレイもリリーも家族に囲まれたいい環境で撮影ができたことはとてもよかった。初めての映画を撮るならこの上ない素晴らしい環境で撮ることができたかなと思うよ」
人生のターニングポイントを娘たちはずっと忘れないはずだ。