酸素ボンベを付けて...野沢雅子さんが明かす肝付兼太さん最後の収録

    共演歴も長い2人

    20日、肺炎のために亡くなった声優・肝付兼太さんについて、長年交流のあった声優の野沢雅子さんがコメントを発表した。

    野沢さんと肝付さんは「銀河鉄道999」の鉄郎と車掌、「怪物くん」の怪物くんとドラキュラなど共演機会が多く、1998年には共著で「声優界一刀両断!―悟空とスネ夫の辛口トーク」との本も出版。講師として後進の指導にも当たっていた。

    「突然の訃報に吃驚しました」という野沢さん。1か月前には収録現場で肝付さんと会ったが、その際に肝付さんは酸素ボンベを付けていた。

    「頭に?マークが飛び交いました。会った時の顔はパンパンだったのですが『肝ちゃん元気?』と聞いたら、『うん、僕元気だよ。こんなの付けてんだけどね』と仰ってました。

    『どこが悪いの?』と聞いたら、『肺があまり動かないんだよ』との事で、その時も台詞を一つ一つ私が横でキューを出して収録しました。

    最後の思い出として、お手伝いが出来て良かったと思います」

    フジテレビの情報番組「とくダネ」によれば、野沢さんが肝付さんに会ったのはこの収録が最後になったという。

    「親友のたてかべさんが先に行って待っているので、寂しくなって急いで行っちゃったんでしょうね」(野沢さん)

    ジャイアン役として肝付さんと長年共演した声優のたてかべ和也さんは劇団の研究生として「月光仮面」で出会ってから55年来の親友だった。

    2015年6月、80歳で亡くなったたてかべさんの葬儀での弔辞の中、肝付さんは2010年に互いに医師からがんと告知されたことを告白し合ったエピソードを明かしている。それほどの仲だった。

    弔辞の中で、肝付さんは次のように語っている。

    「かべさん、天国にいる家では、懐かしい人達が、先輩も後輩も大拍手でかべさんを迎えてくれるんですよね。早く私も行きたいなぁ。みなさんによろしくお伝えください。でも、僕はもう少し地球上で頑張ってみます」

    肝付さんはたてかべさんと同じ80歳で天に旅立った。きっと、たてかべさんも拍手で肝付さんを迎えているはずだ。