3人組ボーカルダンスグループ「J☆Dee’Z」が2月27日、結成9年目で初のフルアルバム『Jewel』をリリースした。
現在では笑顔が印象的なダンスパフォーマンスと、美しいハモりが魅力の3人だが、絆が深まったのはここ3年ほどの出来事だという。
グループの歴史、そして仕事だけの"同僚"が「本当の仲間」となったきっかけについて語ってもらった。
ーーアルバム発売おめでとうございます。今年で結成して9年、メジャーデビューして5年目にしてのアルバム発売。率直な感想は?
ami:出したいと思いながらも、アルバムはシングルよりも曲数がただ多いというだけでなく遠い存在に感じていて、一つの目標でした。
アルバムのリリースの話を聞いたのは去年の夏。「やっと」という気持ちと、「ついにその日が来た」という胸の高鳴りがありました。
MOMOKA:スタッフさんとの話の流れの中で「来年、アルバム出すから」と言われて。理解できなくて「えっ、えっ、へぇ、あっ」って混乱してました(笑)。
ただ、嬉しいと言う気持ちはすごくあって、みんなで気合を入れて制作しました。
ーーシングルよりも先にアルバムを最初に出すアーティストもいます。アルバムという形を出すまで、結成から9年もかかると正直思ってましたか?
Nono:簡単に出せるものではないと思っていました。
「J☆Dee’Z」は2016年に3人体制になってから方向性が変わって、アルバムはいちアーティストとしての力が試される。
このアルバムが世の中の人たちに届かなかったらという不安は今もあります。
MOMOKA:ハモりを初めてから3年。収録された音を聞いていたら、声質が今とは変わっている曲も入っていて、聞いたら全然違っていました。
アルバムは今まで一枚一枚大切に歌ってきた表題曲がぎゅっと詰まっているので、不安はありながらも自信作ができたと思います。
メジャーデビューが不安で泣いた日
ーー改めて「J☆Dee’Z」について振り返りたいんですけど、2010年に結成されたんですね。
Nono:子供服ブランド「SISTER JENNI」と、キッズダンス雑誌「DANCE STYLE KIDS」でキッズダンスグループを作ろうということでオーディションで集められたんですけど、その時は5人でしたし、歌ってませんでした。
2012年にロッテとソニーミュージックが行った歌のあるオーディションに「J☆Dee’Z」として現在の3人と前メンバー1人で、応募して8000組の中からグランプリをいただきました。
ーーグランプリを獲ったことでメジャーデビューも決まります。8000組の中から選ばれたとなると「これは成功するんじゃ」と、楽観的な未来を描きたくなると思うんですけど、どうでしたか?
MOMOKA:嬉しいというのはありましたけど、小学生だったので。具体的にデビューというのがどういうものかも描けてなかったです。
ami:メジャーデビューする前のレコーディングも大変でした。指示されたことに臨機応変に対応することがなかなかできなくて、1曲に対し1人6時間くらいはかかってました(笑)
MOMOKA:歌には興味はあったんですけど、もともとダンスグループで、人前でカラオケを歌わないような子たちでした。
ーーそして2014年9月24日に『Beasty Girls/Let the music flow』でメジャーデビュー。その時の気持ちって覚えてますか。
Nono:もうすぐ日付が変わってメジャーデビューという23日の夜に、駅の人があまりいない階段の下に4人のメンバーで集まってました。
デビューしたら何が変わるかもわからない。どうしたらいいか分からなくて、不安で、メンバーと離れたくなくてずっと一緒にいました。
ami:みんなで円陣を組みながら、泣いていました。数あるアーティストさんと同じステージに立てるのかという不安で、家に帰って一人になりたくなかったんです。
MOMOKA:その不安を黙らす為に、気合をいれるためにも円陣を組みました。
時計を見て「どうする、もうすぐだよ、どうする」と言ったり、その時から日本武道館に立ちたいという夢はあったので、頑張ろうって言い合いました。
かつては連絡もとることもなく...
ーー駅で夜に中学生が円陣組んでいるのはなかなかの光景ですね(笑)。その後シングルを出していきますが、2016年には3人での活動になりました。
MOMOKA:3人になるまで、今後の「J☆Dee’Z」の方針をどうするか話し合う中で、活動ができない期間があったんです。
ami:半年くらいメンバーとは会わなかったです。それぞれレッスンはあったけど、活動することもないので会う機会がなかったんです。
当時は普段から連絡をとるような仲ではなかったので。
Nono:ダンスグループの時からオーディションで集められたし、仲間というか仕事だけの関係。プライベートでも会わないですし、レッスンやスケジュールがあるから会う感じ。自分たちから会おうよというのはなかったです。
次のシングルリリースが決まった時に、その時やっていることが自分たちのやりたい方向とは違うと感じていて。
改めて何度も皆で話し合って、他のグループとは違う武器を作る為にもボディーパーカッションやハモりをやろうってことになりました。
そのための強化合宿では朝から晩まで、こんなに歌ったことないっていうくらい毎日歌いました。それでもすごく苦戦をして、当時はみんなプライドが少し高くて、ハモりがうまく行かないと誰が悪いんだとなって…。
初めてメンバーとも喧嘩というか言い合いをしました。
MOMOKA:3人になる前は、与えられたものをこなしていくという感じだったんですけど、ハモりに関しては自分たちで努力しないと身につかない。
新曲以外にもカバー曲を5曲ほど覚えないといけなかったんですけど、振り付けも自分たちで考えないといけない。
自分たちで発信するものが多くなったので意見のぶつかり合いも増えたんですけど、今まで思っても言えなかったことが言えるようになった。
Nono:4人の時は、自分たちからリハーサルをしようと言うことはなかったんですけど、ハモりを初めてからとにかく時間が足りないので、どうやって習得しようと話すようにもなりました。
ami:結成から9年って長いと思うんですけど、この3年間が3人の絆がぐっと深まった期間です。逆にそれまでの7年間はどこかで気を使っていました。
遅いよと言われるかもしれないですけど、ぐっとまとまったのきっかけがハモりでした。
そして3人の意識がさらに高まったのが、3人でのニューヨークへの武者修行でした。
大切なことを見つけたNY武者修行
ーー2017年1月でしたね。2泊5日の弾丸ツアーだったとか。
Nono:ちょうど、自分たちにしかない魅力って何だろうって毎日メンバーと話すけれど、答えがでずに悩んでいる時期でした。
『Answer』のレコーディングのときに、私たちのことを誰も知らないパフォーマンスの本場のニューヨークで、今の自分たちがどのくらい通用するか知りたいって気持ちが強くなって、スタッフさんにお願いしました。
お願いしたからには、絶対何かを手に入れないといけないなと思い、向かいました。
MOMOKA:パフォーマンスをした1日目はブルックリンブリッジでやったんですけど、私たちのことを全く見てないんじゃと思うくらいみんな素通りで…。
そこから1日10時間、いろんな場所でパフォーマンスしたけれど、どこに行っても見てもらえない。
ami:私たちはダメなのかなと心が折れそうでした。他の路上パフォーマーさんの周りには人が集まっているので、余計に...。
でも、このままでは日本に帰れない。挫けそうになったけど、挫けちゃいけないから、一回一回話し合って、もう少し声を出そう、もう少し前に出ようと相談しました。
それでも1日目は全滅。その日の夜は何を食べたかは覚えていないし、ただ味がしなかったです。
Nono:ホテルに帰っても、ずっとメンバーとその日の反省会をしていて、ずっと暗いまま、寝て。朝起きて、朝練のときに今日は絶対変えようとなりました。
ami:そこで忘れていたのは「楽しむ」ということだったんです。
立ち止まってくれなかったらどうしよう、怖い。うまく歌わなきゃ、かっこよく歌わなきゃとばっかり考えていて。
でも前日に地下鉄で見たニューヨークのダンサーさんたちは、誰からも見られていなくても凄く楽しそうに踊っていたんです。
だから、今日はみんな楽しもうって朝練の時に話しました。
MOMOKA:とにかく先ずは自分たちが楽しもうと、メンバーとハイタッチしてパフォーマンスをしていると集まる人の増え方がおやっていうくらい変わっていって。
Nono:最初は公園前で、そのあとは駅のホームや地下鉄の入り口。人の集まりやすい場所に行ったわけではないんですけど、私たちが楽しむと変えた瞬間、言葉が通じないけど、何か通じて変わり始めました。
ami:もともとはダンスが楽しくて始めたのに、いつの間にかステージの道具と思っていたり、技術だけを見る考え方になってしまっていたんですけど、原点はそういうことじゃなかったのになと初心を取り戻しました。
『Answer』という曲で、最初答えは見つからなかったんですけど、私たちがダンスや歌をはじめた原点でもある“好き”という気持ちや、ライブを楽しむこと、3人で作ることの嬉しさを忘れないことが答えだったのかなと思いました。
ニューヨークから帰ってからもすごく会話が増えました。ステージの話からプライベートの話まで話すようになりました。
Nono:2日目には見てくれている人から拍手ももらえて。険しい人よりも笑顔でやる方がいいじゃないですか。
今までは自分たちの目の前のことしか考えられなかったけれど、自分たちでやっていたことを信じてやっていくべきだなと思いました。
いつもライブ前には円陣を組むんですけど、そのときに「楽しもう」というようになりました。
MOMOKA:難しい曲やパフォーマンスがうまくできない時、つい必死になりすぎちゃった時も『Answer』の時のことを思い出して、自分たちの気持ちを変えることで結果が出たので、そこは意識し続けています。
以前はみんなでご飯に行くこともなくて、最近はメンバー3人で行くようになりました。
ーーここ最近だと一体になれたなと感じたことありましたか。
ami: 3年ぶりの東名阪ツアーですね。そのときにファイナルの東京のライブが終わった後は、すっごい心臓がずっとドキドキしていて、心の底から3人で一緒の時間を過ごせて本当によかったと思いました。
アルバムは「宝物」
ーーアイドルも含め数多くのガールズグループが今はあります。その中で、「J☆Dee’Z」がこれだけは絶対勝っていると言う部分はどこですか?
Nono:ダンスと歌に関する全力感ではどこのグループにも負けたくないし、負けていない思います。そんなことない?
ami:そんなことある!
momoka:「J☆Dee’Z」は等身大、変にカッコつけないんです。美しいところだけでなく、ありのまま、内面も含めて全てを見せるグループです。それを見せての歌だと思います。
ーーアルバムは一言で言うと?
Nono:宝物ですかね。私たちが活動していく中で見つけた宝石は、成功やいい結果じゃなく、メンバーとぶつかって磨いてきた歌とか曲。宝石のように磨いてきた宝物のような曲が集まっています。
ーー10年目を迎える今年、フルアルバムまでたどり着きました。10年後は一体どうなってると思います。
ami: 「J☆Dee’Z」として、歌い続けていたいです。
Nono:本当。していてほしいな。
MOMOKA:いや、しようよ。そこは。するからね(笑)