「アイドル戦国時代」と呼ばれた熱狂は終わったが、グループアイドルはすでに一つのジャンルとして確固たる地位を築いており、2017年も一定の人気を保ち続けそうだ。
2017年注目のグループアイドルはどこか。Buzzfeed Newsは東京・品川にあるアイドル専用劇場「東京アイドル劇場」のプロデューサーで、アイドル研究家のノトフさんに話を聞いた。
まずノトフさんが名前を挙げたのが「生ハムと焼うどん」。事務所には所属せず、衣装、作詞作曲、ブッキングまですべてをセルフプロデュースでこなす異色のアイドルだ。

売りは楽曲の間に披露される寸劇で、アイドルやファンを皮肉るなど内容は少々ブラック。2人は物怖じしないキャラを生かし、昨年は地上波のバラエティー番組にも出演し、強烈な印象を与えた。
「メジャーレコード会社に所属しないインディーズながら、2016年は3000人規模となるTOKYO DOME CITY HALLのワンマンライブを成功させました。昨年のMVPといってもいいかもしれません」
生ハムと焼うどんと同じく、2016年、アイドル業界で必ず話題になったグループが「神宿」だ。

原宿発のアイドルユニットで、「WEGO」「galaxxxy」などアパレルブランドとも勢力的にコラボレートしている。
「メンバー全員のルックスレベルが高いと評判で、業界人にもファンが多いです。インディーズで何も後ろ盾がない中、年末にはZeppダイバーシティ東京でのワンマンを成功させました」
アイドルグループにとって、SNSはファン獲得のためにも重要なツールだ。
最近ではライブ中、ファンの写真撮影を許可するグループが増えており、ノトフさんによれば「写真がTwitterなどSNSに出回ることで話題になり、ファンが増えるという流れがあります」という。
このSNS戦略を使っているのが「わーすた」「ピンク・ベイビーズ」「Task have Fun」だ。
エイベックスが手がける「わーすた」は、SNSとアイドル活動を通じ、世界に日本の"KAWAII"アイドル文化を発信すると標榜している。

「KAWAII文化や、ビジュアル的要素など、日本のポップカルチャーをうまく取り込んでいます。音楽プロデューサー、衣装プレデューサーと、スタッフが全員女性という点も特徴で、女性ファンも多く獲得しています」
「ピンク・ベイビーズ」は山口百恵やピンクレディーを手がけた作曲家・都倉俊一氏が総合監修するピンクレディーの公式後継グループ。

「ピンクレディーの名曲を、今風にアレンジしてかっこよくパフォーマンスしてます。東京アイドル劇場では、公演が売り切れることもしばしば」
2月15日にはピンク・レディーをカバーしたシングル「UFO」もリリースされる。
「Task have Fun」はまだ結成半年と、今回取り上げるグループアイドルの中でも最も若い。

「とにかくフレッシュ。フレッシュさが突き抜けています。いろいろな個性あるグループの中で、王道のフレッシュさと美少女ぶりは逆に珍しい。東京アイドル劇場でも公演が売り切れと、注目度は上がっています」
アイドルという先入観なしに聞いてほしいグループ
アイドルが音楽業界でも重要な位置を占めるようになると、数多くのクリエイターが参入。音楽ファンの心をつかむハイクオリティな楽曲も生まれている。
「フィロソフィーのダンス」はナンバーガール、Base Ball Bear、相対性理論などを手がけた加茂啓太郎氏プロデュースの4人組アイドルグループ。洗練された楽曲とクールなパフォーマンスのクオリティーで、アイドルに興味のないファンも増やしている。

「とにかく楽曲評価が高いグループ。歌もうまいです。アイドルに詳しいライムスター宇多丸さんや、マーティ・フリードマンさんも褒めています」
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「アイム・アフター・タイム」
「アイドルネッサンス」の特徴は、古今の名曲を自分たちの歌とダンスで表現しているグループで「こちらも楽曲・パフォーマンスの評価が高い。昨年はZeppダイバーシティ東京でのワンマンも成功させました」。

Base Ball Bearの「十七歳」、the pillowsの「Funny Bunny」と事務所の先輩の曲をカバーしており、往年のロック好きならぐっとくる選曲が多い。
数え切れないほどのグループアイドルの中で埋没しないよう、個性的なグループが次々生まれている。
「レッツポコポコ」はアイドルグループ「ゆるめるモ!」の製作陣が手がけた「なつかしくて新しい」をモットーとする新たなグループ。
「幻想的な独自の世界観をもっています。懐かしい歌謡ポップのメロディーも癖になります」

「絶対直球女子!プレイボールズ」は野球をテーマにしたアイドルグループで、メンバーは元野球部、ソフトボール部、吹奏楽応援団と野球好きが集まっている。

とにかく野球にこだわり「グローブを着用してパフォーマンスする『ダイビングキャッチ』はほかのアイドルのファンにも人気で、ライブで盛り上がる曲です」。
ライブを「試合」、ファンを「応援団」と呼び、アンコールの際にはファンから「延長戦、延長戦」と声が上がるのも特徴的だ。
アイドルに興味ない野球ファンも、一度見たらはまってしまうかもしれない。