「人類で最もヒットを打った偉大な選手」イチローは、賛否の声も気にしなかった

    日米通算4257安打を達成

    メジャーリーグ、マーリンズのイチローは日本時間16日のパドレス戦で2安打を放ち、ピート・ローズ氏が持つメジャー最多安打記録を超える日米通算4257安打を達成した。

    日本国内は祝福ムード一色だが、アメリカでは前人未踏のイチローの記録について意見が分かれている。

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    米国の野球ファンの一部には、日本のプロ野球はメジャーリーグよりも一段レベルが落ち、イチローの日米合算記録をピート・ローズ氏の記録と比べるべきではないとの考えがあるからだ。

    MLB公式Twitterアカウントが16日、イチローの記録を伝えると、祝福の声の一方「イチローの記録は3Aレベルの日本のプロ野球の記録を加えたものだ」「マイナーリーグの記録を入れるようなものだ」と疑問の声も上がった。

    ピート・ローズ氏もイチローの記録には納得していない。

    「僕としては日米合わせた数字ということで、どうしたってケチが付くことは分かっているし、ここに目標を設定していなかった」

    かつてイチローが尊敬する王貞治氏も同様の状況にあった。

    王氏が1977年、ハンク・アーロン氏の持つ通算本塁打756号の記録を塗り替えた際、全米メディアは日本の球場の狭さや投手のレベルの低さを問題視したのだ。

    だが、アーロン氏は王氏の記録を紳士的に祝福し、こうビデオメッセージを送った。

    「今夜、彼の頭に冠をかぶせるためにそこにいたかった。彼は間違いなく紳士だし、日本人の誇りだからね。彼がもっと多くのホームランを打つことができると信じているよ」

    王氏は1980年に引退するまでに世界記録となる通算本塁打868本を記録。互いを尊敬する2人の友人関係は現在まで続いている。

    「球界で偉大な記録を作った人はたくさんいますけど、その人が偉大な人間であるとは限らない。野球界には尊敬できる人はそうはいないんですけど、その数少ない方です」

    イチローが以前、テレビ番組で王氏を語った発言だ。

    記録達成後の会見でも同様のコメントを行い、そのうえで引退した元ヤンキースのデレク・ジーター氏のような人格的にも優れた選手に自身の記録を超えてほしいと話した。

    ローズ氏が日米合算記録に苦言を呈したことに対して「そういう人がいた方が面白い」と笑ったイチロー。4257安打という記録以上に偉大な姿だった。