広島黒田が今季限りでの引退発表!日米通算20年の軌跡

    プロ生活20年の幕は日本シリーズで

    広島の黒田博樹投手(41)が、今季限りでの現役引退を表明した。中国新聞など各社が報じた。22日から始まる日本シリーズで、プロ生活20年を締めくくる。

    黒田の父は元プロ野球選手の黒田一博。父が監督を務めるリトルリーグを経て名門・上宮高校に進学するも、3年間控え投手で公式戦では一度も投げれなかった。

    入団1年目。この年、ドラフト1位の澤崎俊和とともに先発ローテーション入りしたが、澤崎が12勝8敗で新人賞に輝いたのに対し、黒田は6勝9敗と負け越し。さらに翌年はわずか1勝に終わる。

    2001年にはオールスターに初出場し、この年初めて2ケタ勝利。その後3年連続で2ケタ勝利を挙げるも、開幕投手を務めエースとして期待された2004年は7勝と低迷し、地元紙にはエース失格と報じられた。この悔しさをバネに翌2005年には15勝を挙げ、最多勝に輝く。

    2006年には最優秀防御率のタイトルも獲得。この年FA移籍が報じられ、黒田の心も揺れていた。

    黒田が新たなチームとして選んだのはロサンゼルス・ドジャース。当初は日米の野球の違いに苦しむも、いまや代名詞の変化球「フロントドア」をチームメイトのグレッグ・マダックスから伝授されるなどメジャーに適応。4シーズンを過ごし、2009年には開幕投手を務めている。

    ドジャースからFAとなっていた黒田は2012年、ニューヨーク・ヤンキースに入団した。

    複数メジャー球団からオファーを受け、パドレスからは約20億円を提示された黒田。だが広島への恩返しのため、高額のオファーを蹴り、4億円でカープと契約した。復帰理由についてはファンへの恩返しを挙げた。

    日本復帰後1年目の成績は11勝8敗。シーズン後には引退ともささやかれたが、2016年シーズンも現役続行することを決めた。

    2016年7月23日には日米通算200勝を達成。今シーズンの成績は10勝8敗。メジャー時代を合わせ、7年連続での2ケタ勝利を記録した。

    そして黒田が20年間待ち詫びた日が来る。9月10日の巨人戦。黒田が先発したこの試合に勝利し、カープの25年ぶりの優勝が決まった。

    優勝が決まった瞬間から黒田は男泣き。盟友・新井と固く抱き合う姿は、カープファンだけでなく多くの野球ファンの心を打った。

    チームメイトに胴上げされた黒田。その目には涙が光った。

    リーグ優勝の美酒に酔う黒田。現役引退発表に際し、黒田は「最後に笑顔で優勝してビール掛けをしましょう」とコメントしている。現役最後の花道として選んだ今年の日本シリーズ、目指すは32年ぶりの日本一だ。

    「日本一を黒田に」。チームメイト、そしてカープファンの気持ちは一つになった。