普通のおじさんが明日、声優デビューする理由

    BuzzFeed Japanの社員が、あす公開の映画で声優デビューします。

    リュック・ベッソン製作・脚本の人気映画の最新作『TAXi ダイヤモンド・ミッション』が1月18日に公開されます。

    BuzzFeed Japanでは2018年8月、都内で行われたアフレコ現場を取材しました。

    なぜか。BuzzFeed Japanに声優が誕生したからです。名前を石井洋といいます。芸名ではなく、本名です。

    普段はこんな記事を書いているライターです。バンドマンです。

    社内の再現ドラマの俳優としても活躍しています。この動画撮影では「気持ちを作りたい」と20分間どこかに消えた後、撮影に臨みました。何事にも真剣です。

    「大迫半端ない」の動画、当時の日テレ動画はいろんな権利を侵害してる...。なんとかしたいと弊社社員が協力して、再現ドラマ「 #大迫半端ない 」を制作しました。フリー素材なので、どうぞご自由にお使いください! #daihyo #日本代表 #WorldCup #雑再現

    今回「オーディションに合格したら声優デビュー」と社内で声を掛けたところ総勢10人が名乗り。課題のセリフをもらい、プロの音響監督に聞いてもらいました。

    「最初に聞いたときは全員不合格でした。全然芝居の声じゃないんですよ。もしかしたらが通用するほど甘い世界じゃないので」。こう正直に話してくれるのは今回の映画の吹き替え版の監督さん。

    改めて10人の声を聞いてもらったのですが「これはないでしょ」「滑舌が悪くて何を言っているか分からない」など厳しい言葉が...。

    そんな中「石井さんは一人だけ、芝居が自然だったの。なんか声を聞いて、絵が浮かんできたの」と唯一合格したのが石井でした。"選ばれし者"と聞いた時にはこの表情。

    ちなみに次点は?と聞くと「どいつもこいつもという感じで。本当に映画館でこの声流すのと思いました。みんなイヤイヤやっているのかと思いました」。いえ、皆やる気満々で臨みました。完全に実力不足です。

    その中でなぜ石井が選ばれたのでしょう。「映像も見てないなか、美味しそうな食べ物を食べている映像が浮かんだ唯一の人。他の人は台本を持って緊張しながら録音しているシーンが浮かんだ」。さすがポイントがプロです。

    石井が担当するのは、アルジェリアの村人の「なんだあれ〜!」というセリフ。作品で一番最初に聞こえる日本語セリフという超大役です。しかも収録は一発で合格し「声優学校通ったら」(監督)と褒められる出来。追加で映画ラストの警官のセリフも増えました。なに、その隠れた才能。半端ないって。

    エンドロールにも「石井洋」の文字が。

    こんなことしてたのに、立派になっちゃって。

    「大迫半端ないって」動画に続き、著作権に触れない #本田圭祐 選手の敬礼ポーズGIFを会社の同僚と作りました。もちろんフリー素材ですし、FIFAに怒られないのでご自由にお使いください。 #雑再現 #daihyo #samuraibule

    せっかくなんで、監督さんに吹き替えについても聞いてみました。アニメと「外画」と言われる洋画の吹き替えがありますが、全く違うものなんでしょうか?

    「根本は一緒だと思います。ただ外画の場合は、もともと映像があるので、台本を渡されると答えはそこに全部あるんです。アニメは収録の時に映像ができていないこともあるので、どんな風に動くかどんな表情するかわからない時もある。そう言う部分も作っていかなければいけない」

    「逆に言えば外画は映像の雰囲気、顔であったり体格に声を合わせていかなければいけないんです」

    吹き替えといえば、かつては広川太一郎さんの『Mr.Boo!』のように、翻訳とは違うアドリブの笑いを入れることもありましたが、最近はそうした逸脱した笑いはできにくくなったそうです。

    「ただ『TAXi ダイヤモンド・ミッション』はあまり厳しくないので、わかりやすい日本語にできたと思いますし、遊びの部分も入っています。ゲスト声優の千鳥さんも面白い感じにできています」

    吹き替えに求められる声とは?

    「声優さんは今はいっぱいいる。可愛い声や大人っぽい声の人はいる芝居がちゃんとできる人になると狭まる。声質はもちろんだけど、結局は芝居ができるかどうかですね」

    ちなみに今作の聞きどころについては「アクションものなので、字幕を追っていたらもったいない。二人の凸凹コンビの芝居はリズムがよくて注目です。フランスの映画は相手の声が終わる前にしゃべるので、その連続で録る方は大変だけど、リズムよくできたと思います」とのことでした。

    ということで弊社初の所属声優となった石井の声をぜひ劇場で聞いてみてください。