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【リオ五輪】萩野が新世代対決を制し金メダル 瀬戸とのライバル物語は2020年に続く

「水泳の王者」に輝く

リオ五輪競泳、男子400メートル個人メドレー決勝が6日(日本時間7日)に行われ、世界ランク1位の萩野公介が4分6秒5の日本新記録で優勝。日本に今大会初の金メダルをもたらした。2位には米国のチェイス・カリシュ、3位には日本の瀬戸大也が入った。

ライバルたちを制して金メダルを獲得した萩野は両拳を握り、叫んだ。

タイムの萩野、メンタルの瀬戸

瀬戸とは小学生時代からの切磋琢磨してきた仲。小学生時代は萩野の圧勝だったが、中学2年生に初めて瀬戸に負けると、以後は勝ち負けの関係となる。

日本記録を持ち、自力は萩野が上だが、いざ本番となると勝負強い瀬戸に競り負ける。

萩野は日本選手権は2012年から5連覇も、12年、14年の世界短水路、13年の世界選手権と世界の舞台では瀬戸の後塵を拝した。

萩野は常に自身のタイム向上を目標に掲げていた。一方、瀬戸は萩野をライバルとして勝利することを求めた。

萩野を変えた平井コーチの叱責

2015年のフランスでの合宿、自転車で移動中に転倒し右肘橈骨頭骨折。8月の世界選手権を欠場する。世界選手権ではライバル瀬戸が優勝し、五輪出場の切符を手にした。

怪我明けの今年1月31日の東京都選手権。萩野は200mと400mの個人メドレーを制すも、五輪の調整で出場していた瀬戸を圧倒できなかった。

試合後、平井伯昌コーチはメディアを前に「心技体の心が足りない。強く言いたい」と怒気を含んで語った。

萩野を呼び出した平井コーチはこう叱責したという。

「君は速く泳ぎさえすれば瀬戸に勝てると思っているのか。金メダルを取るためにはもっと強い気持ちを持て」(NHK「金メダルへの道」から)

萩野は瀬戸をライバルと認め、避けていた瀬戸の世界選手権の映像も初めて見た。勝負の相手と真正面から見ることで、徐々に苦手意識を払拭していく。

4月4日の日本選手権400m個人メドレーで、萩野は瀬戸を寄せ付けずに勝利。4月11日、競泳リオ五輪代表の発表記者会見。萩野は冗談めかしながらも「"瀬戸さん"がライバルになる」と答えた。

リオ五輪決勝では逃げ切り勝利

予選1位はカリシュが1位、瀬戸が2位。萩野は余力を残しての3位だった。

瀬戸に対しては「予選からいい泳ぎでいっていたので前半から負けないようにいかないと勝てないと思った」と試合後に語った萩野。

本番ではまずバタフライで瀬戸がリードし、萩野は2位。背泳ぎで萩野が逆転し、最後カリシュの追い込みを抑え、萩野が逃げ切った。

「本当にいろいろあったんですけど、平井先生に金メダルをかけさせてあげたいという一心で泳ぎました。泳げなかったことがあって、最後の最後まで粘れたと思います」

勝利後には恩師への感謝を述べた。

ライバル物語は2020年へと続く

一方、銅メダルの瀬戸は「今回は公介がロンドン五輪から4年間頑張ってきた成果だと思うので、次の東京五輪では4年間みっちり準備して、次こそはワンツーフィニッシュできるよう頑張りたい」と2020年東京五輪に向けて意欲を燃やし、表彰式では萩野と抱き合い、互いの健闘を称えた。

萩野、瀬戸、そして銀メダルのカリシュはともに1994年生まれ。ライアン・ロクテ(米国)など一時代を築いた選手が去ったリオで輝いた新世代が、東京でも「キング・オブ・スイマー」の座をかけ熱い戦いを繰り広げそうだ。