今月3日に74歳で亡くなったモハメド・アリの葬儀が9日、故郷の米ケンタッキー州ルイビルで行われた。ロイター通信によれば葬儀には1万4000人が訪れ、偉大なチャンプの死を惜しんだ。
日本では1976年6月にアントニオ猪木との異種格闘技戦を行ったことでも知られるアリだが、猪木以上に意外な人物と戦ったことがあるのはご存知だろうか。
スーパーマンである
アリとスーパーマンが戦ったのはDCコミックから1978年に発売された「SUPERMAN VS. MUHAMMAD ALI」。日本でもマーベリック出版から「月刊スーパーマン増刊 スーパーマン対モハメド・アリ」として同年に出版されている。
漫画を描いたのはニール・アダムス。広告イラストのリアルなタッチをコミックの世界に持ち込んだ人物として知られ、「クライングフリーマン」の池上遼一や「北斗の拳」原哲夫にも影響を与えた作家だ。
なぜ、この漫画はできたのか
コミックのあらすじ
クラーク・ケント(スーパーマン)がアリさんにインタビューしようとしたところ、突然、スクラブ人(異星人)の皇帝ラトラーが現れ「地球代表とスクラブ人代表がボクシングで戦い、地球代表が勝たなければ、わが宇宙艦隊で地球を滅ぼす」と脅迫してくる。
地球代表としてアリとスーパーマンも名乗りを挙げるが、自分が試合に出ると一歩も引かない。
そこでアリとスーパーマンが先に対戦し、地球代表を決めた後、スクラブ人代表のハンニャ(英語ではHun'Ya)と対戦することが決定する。試合会場はスーパーマンの力が常人と同じになる太陽「レッドサン」の下となった。
アリはボクシング素人のスーパーマンのために修行も行う
地球代表をかけた運命の戦い
スクラブ人が指定した星にはリングが設けられ、宇宙中の知的生命体が集まり、アリVSスーパーマンを観戦する。試合にレフェリーストップはなく、どちらかが倒れるまで続けられるルールだ。
1ラウンドは互角の戦いを見せたものの、2ラウンドにアリのカウンターパンチが入り、一気にアリペースに。
防戦一方となるスーパーマン
KOされたスーパーマン。戦ったアリも医務室への誘導を手伝う。
地球の命運はアリにかかる
相手のハンニャは体格では2倍、驚異的なスピードと回復力を兼ね備える。試合前には「4ラウンドで倒す」と豪語したアリも苦戦。ジョージ・フォアマン戦で見せたロープ際戦術も功を奏さない。
しかし最後は強力な連打で、ハンニャを場外まで吹き飛ばす。予告通りの4ラウンド目だった。
試合は決したが、スクラブ人皇帝は往生際が悪い
事前の約束をほごにして、宇宙艦隊を地球に差し向けて人類を滅ぼそうとする。
超人の能力が戻ったスーパーマンが艦隊の進行を止めるも、艦隊の半分はどうにもできず、地球に向かう。
危うしと思った瞬間、ハンニャが「恥知らず」と皇帝ラトラーにパンチを見舞いKO。艦隊の進行は止まる。ハンニャは皇帝を殴った理由について「お前たち2人の誇り高い試合を見て、改心した」と話す。
最終的に地球を救ったのはアリとスーパーマン、2人のフェアに戦う姿勢だった。