人気メンバーの卒業、中堅グループ解散相次ぐ 変化の年だった2018年のアイドル

    イベントでのCDがカウントされなくなったのも変化を生んだ?

    2018年は、のちに「アイドルブームの潮目」と呼ばれるであろう変化の年だった。人気アイドルのグループ卒業、中堅アイドルの解散が相次いだからだ。年末最後にアイドル界を驚かせたのが、12月15日、HKT48指原莉乃のグループから卒業発表だった。

    指原は東京ドームシティホールでのコンサートでのMCで来年4月28日の横浜スタジアムのコンサートをもって卒業すると発表。「何年も前からずっと決めていた」と心境についても明かした。

    卓越したトーク力を武器に、アイドル随一の知名度を誇る指原の卒業は、48グループだけでなく、平成の最後に向かい、アイドル業界の変化を感じさせる出来事だった。

    卒業発表で指原は「本当にHKT48が大好きなので、次のHKTがみてみたいなと思います」と次世代へエールを送ったが、エースの宮脇咲良らグループのメンバー3人が日韓合同のユニット「IZ*ONE」の活動に2年半の間は専念。

    今年のじゃんけん大会で優勝し、AKB48の多田京加とのユニットで12月19日にCDデビューした松田祐実が8日後の27日に突然活動を辞退とグループとしては正念場を迎えている。

    48グループでは、NMB48のエースだった山本彩が11月4日に卒業。NGT48の北原里英も4月をもって卒業と、48グループ全盛期の人気メンバーが今年相次いで卒業した。

    現在のAKB48のセンターは小栗有以。今月8日のAKB4813周年公演では、2代目総監督の横山由依が退任し、次期総監督に向井地美音が指名と、新陳代謝の時期を迎えている。

    2018年を振りかえると、48グループ以外にも人気アイドルグループの多くにとって変化の年だった。

    現在、最も人気がある「乃木坂46」では5月に生駒里奈が卒業、西野七瀬が2018年末をもっての卒業と、センター回数を務めた1、2位が離れることとなった。

    乃木坂では2人以外にも若月佑美、能條愛未など6人が卒業。一方、12月9日の「情熱大陸」も話題となった齋藤飛鳥が8月発売のシングル「ジコチューで行こう!」で2年ぶりに単独センターを務めるなど、グループの顔に。

    3期生の与田祐希、山下美月の活躍、さらに11月には4期生11人が加入と変革期を迎えている。

    同じ坂道グループの欅坂46では歌唱力に定評があった今泉佑唯が卒業している。

    1月21日には「ももいろクローバーZ」の有安杏果が卒業し、ももクロは4人体制となった。

    世界的にファンの多いBABYMETALでも、2017年12月以来、休演していたYUIMETALの卒業が10月に発表された。既に2人体制でのライブを行っていたが、3人体制が崩れたことにショックを受けるファンも少なくなかった。

    そのほか、2018年に卒業および卒業を発表した主なアイドルはこちら。

    ももクロの後輩「私立恵比寿中学」では1月3日に廣田あいかが転校(脱退)。現在はUUUMに所属し、タレント業だけでなくYouTuberとしても活動している。

    「でんぱ組.inc」でも人気メンバーの夢眠ねむが来年1月7日を卒業を発表、3月には芸能界から引退し、今後は自身がデザインしたキャラクター「たぬきゅん」のプロデュースと念願の書店開業を目指す。

    ハロー!プロジェクトでは「モーニング娘。'18」の飯窪春菜が12月16日に日本武道館で卒業。今後は女優業、さらにVTuberをプロデュースも行う。

    2016年からハロプロのリーダーを務めてきたアンジュルムの和田彩花も、4月に2019年春のツアーをもって卒業することを発表している。

    2010年に結成された「SUPER☆GiRLS」からはグラドルとして活躍する浅川梨奈や初期メンバーの渡邉ひかる宮崎理奈など合わせて5人のメンバーが1月のライブをもって卒業。これで初期メンバーは一人もいなくなる。

    アイドルの解散も多かった2018年

    2018年は長年活動し、アイドルファンの中でも知名度の高い中堅グループが解散した年でもあった。

    1月には「アイドルネッサンス」が「今後の可能性、スタッフ含めたチームとしての将来性など総合的に考え」(解散発表文のまま)との理由で解散を発表。ファンの間で評価も高かったグループだけにアイドルファンに衝撃を与えた。

    その後も「THE ポッシボー」時代から12年活動してきた「チャオ ベッラ チンクエッティ」や「PASSPO☆」「バニラビーンズ」などのベテラングループの活動も相次いだ。

    前述の「アイドルルネッサンス」や「ベイビーレイズJAPAN」「妄想キャリブレーション」など、今後の期待感も持てたグループの解散が多かったのも特徴だ。

    大きかったイベントの売り上げカウント変更

    レコード会社関係者は音楽業界の現状について「以前よりもアイドルグループを育てて、売ろうという雰囲気は減っていっている気がします。うちの来年の新人には現状はいません」と話す。

    大きかったのは2017年9月のオリコンの売上集計ルールの改定だ。

    握手会など「販売施策イベント」で購入したCDについては「1イベントあたり購入者数×3枚を上限」となり、個人で1000枚買ったとしても、3枚購入としてしかカウントされない。

    「音楽業界はサブスクリプションにシフトしていますが、アイドルはその部分で強くない。一方、イベントで売っても改定でランキングの上位には来にくくなった。維持費などの問題もありますし、契約するにしても大手事務所などのバックボーンがしっかりしているところでないと難しいのが現状です」

    一方、ライブの現場の声はどうか。

    「『フィロソフィーのダンス』『26時のマスカレイド』など今後も期待できるアイドルグループはいます。大舞台も狙ってるとは思いますが、短距離走的な感じですぐ売るのではなく、マラソン的に長期的に続け、売れさせようというイメージです」(アイドルイベント主催者)

    平成の最後に向けて、アイドル業界も転換点を迎えているのは間違いなさそうだ。