首都大学から改名で「東京都立大学」が復活 卒業生からも喜びの声

    2020年4月に旧名に戻ることが正式決定されました。

    「首都大学東京」の大学名が2020年4月に旧名「東京都立大学」に戻ることが8月24日、発表された。小池百合子知事が定例会見で明らかにした。

    首都大学東京は2005年、当時の石原慎太郎知事の判断で都立大など4大学・短大を統合して発足した。

    しかし、大学名をめぐっては当初から「知名度が下がった」など不満の声が上がっていた。昨秋、学生を対象にしたアンケートでも半数近くが「改善してほしい点」として「大学名・知名度」を挙げていた。

    小池知事が今年7月に「東京都立大学」へ名称変更の可能性を提案したことなどを受け、運営法人が検討。

    小池知事は会見で「成果を都に還元するという存在意義が明確になる」と話した。公式サイトで上野淳学長は、「東京都が設置したことが明確になる『東京都立大学』への名称変更は、本学が更なる発展を遂げる機会ともなり得ると前向きに捉えています」とコメントしている。

    都立大と同時に、産業技術大学院大学も都立産業技術大学院大学に変更する。

    卒業生からも喜びの声

    「東京都立大学」の名称復活に、卒業生からも喜びの声が上がっている。

    人文学部社会学科卒業の池田敬二さん。統合された当時を振り返る。

    「統合自体は納得しましたが『東京都立大学』という名称が消滅することには大変憤りを覚えました。当時の石原都知事が、自己顕示欲を満たしたいがための名称変更だったと当時は思いましたが、いまでもそのように思ってます」

    名称が戻ることに関しては、「歓迎です。しかし時の権力者によって名称が変えられたり、また元に戻ったりと愛すべき我が母校が翻弄されたことには、さらに怒りがこみ上げています」と話す。

    「卒業生が母校と関われる仕組みを」

    B類工学部機械工学科卒業の宮脇淳さんは、こう振り返る。

    「すでに卒業していたので、単純にダサい名前だな〜と思いました(笑)。アンケートでは『東京都立大学』が当時トップだったはずなので、いち政治家のセンスだけで公的な名称を決めるのは止めてほしいですね。オーソドックスな名称が落ち着くのではないでしょうか」

    「少し話はずれますが、首都大学東京への統合で私がいたB類(夜間部)が廃止されたことは、私も含め多くのB類生が納得できていないと思われます。年間授業料20万円、5年で卒業という道は、金銭的な支援を受けられない学生にとっては、非常にありがたい公立大学でしたから。私が在学していた95年、96年頃には、B類廃止の案がすでに出ており、最後まで学生組合は、夜間部廃止反対の声を上げていましたね」

    東京都立大学の名称に戻ることについては、こう話す。

    「素直にうれしいですね。都立大卒生のネットワークを見ていると、歓迎・支持する声が大きいように感じます。ただ、首都大卒となっている方や在校生もいるので、その方たちがどういう感想を持つのか、気がかりではあります」

    「都立大学は他大学に比べて在校生の数が少なく、卒業してから『都立大卒です』という方に会うことはとても少ないと感じています。今回の改称を機に、社会人学習の場を設けるなど、卒業生たちが母校に関われるような機会や仕組みができるとよいですね」