日大アメフト問題 法学部有志が要望書を提出「問題がうやむやになる」

    田中理事長の説明責任などを要望した。

    日大アメフト部の悪質タックル問題で、日大法学部の学生有志が6月8日、大学に対し、早急な対応と学生への説明など5項目を求める要望書を提出していたことが、BuzzFeed Newsの取材で分かった。

    5月6日にあった日本大学と関西学院大学のアメフト定期戦で日大の選手が関学の選手に悪質な反則行為をしたことが、社会問題に発展した。

    これを受けて内田正人監督をはじめコーチ3人が辞任したが、いまだ日大当局の対応には疑問の声が上がっている。

    「怠慢で危機感が欠けている」法学部有志が要望書提出

    日大の対応を疑問視した学生有志が、田中英壽理事長、大塚吉兵衛学長に送った要望書は、以下のように始まっている。

    「日本大学本部は一連の問題に対し、真摯に批判を受け止め、問題について真相解明を行い、説明責任を社会に対し果たすべきでした」

    「しかし、現在の対応は風化することを望んでいると受け取られかねないような、非常に怠慢で危機感に欠けているものです」

    学生が静観することは大学の問題ある態度を追認するに等しいと考え、要望書を出すことを決めたという。

    「私たちは日本大学の一員である学生としての立場で、組織の中から改革を促していきたいと考えており、過激で暴力的な運動を行って大学と敵対することを目的にしているわけではありません」

    「学生に課せられた役割と責任を放棄せずに日本大学本部に対し意見を伝えるために、私たちは要望書という形で意思表明を行うことにしました」

    学生が要望した5事項

    学生らが要望した項目は以下の5つ。

    1.早急に対処を

    「7月の第三者委員会の調査結果を待つという大学本部の態度は不適当で、大学全体の社会的信頼を損ねている。早急な対処を求める」

    2.学生に説明を

    「反則タックル問題への不誠実な初動対応と、記者会見や第三者委員会の設置が遅れた原因について、学生に説明することを求める」

    3.田中理事長は公の場に

    「社会に対する謝罪と説明責任を果たし、学内にも謝罪と説明を行うことは、最高責任者である田中英壽理事長の責務だ。速やかに公の場で、その義務を果たすことを求める」

    4.学生や教職員の意見反映を

    「今回の問題への対処と大学の将来に向け、学生と教職員の意見を集め、大学運営に反映される仕組みをつくることを求める」

    5.あるべき姿に戻す改革を

    「日本大学は、学問よりも経営を最優先にし、学問がないがしろにされている。大学のあるべき姿に戻すための改革に取り組むことを求める」

    これらに対する回答を日大ホームページ上に、6月14日まで公開するように求めた。

    「大学が問題をうやむやにする」

    学生の一人は、要望書を出した経緯をBuzzFeed Newsにこう話す。

    「大学に疑問を持ち出したのは、不誠実な記者会見を見たときからでした。そして、友人たちと『これはいけない』と考え始めました」

    「そして日本大学の一員として、なにか行動をしなければと思ったのです。今回、要望書を出すに至ったのは、このまま学生がなにもしなければ大学が問題をうやむやにする恐れがあったからです」

    日大当局の回答は

    この要望書に対し、大学当局はホームページ上ではなく学生有志に直接、学生課長と課長補佐が回答を口頭で伝えてきたという。

    以下がその内容だ。

    1.早急に対応を

    日本大学には就業規則があり、それを無視して直ちに対処するのは難しい。大学としては第三者委員会か警察の結論を待ち、それから就業規則に則って対処する。動きが小出しになっていることについて批判を受けていることは理解している。

    2.学生に説明を

    第三者委員会の設置が遅れたのは、身内ではない弁護士を探していたため。しっかり調査するには2カ月はかかる。時間稼ぎではない。

    3.田中理事長は公の場に

    教学のトップである学長は、保健体育審議会のトップでもある。大学のルールとしては、学長が出てくることは間違っていない。いずれ理事長が出て話すことになる。

    4と5.将来に向けて改革を

    大学としては学生のことを考え、問題解決に向け取り組んでいる。組織が大きいため改革は遅れるが、できることからやっている。

    日大は今後の方針について随時、ホームページ上に掲載していくという。

    一連の問題については、日大アメフト部選手たちが謝罪する旨の声明文を発表したり、日大教職員組合が内田正人前監督の全役職を解任を求める要求書を提出したりしている。

    今回の問題で、日大の学生が大学側に要望書を出すのは初めて。

    サムネイル=時事通信