「クソ人生を笑って」 難病、いじめ、ブラック企業 彼がブログを書く理由

    ペンを握る理由とは。

    死の宣告、ブラック企業、新興宗教、頚椎をけが…。

    自らの“クソ人生”を綴った「警察官クビになってからのブログ」。

    彼がなぜブログを書くのか。赤裸々に人生を晒す理由を知りたくなった記者は、著者のハルオサン(@keikubi123)にインタビューをした。

    幼少期に死の宣告を受ける

    ハルオサンは現在、30代の男性。

    生まれてすぐ「珍しい脳の病気」にかかった。病名については実例が少なく、匿名性を保つために伏せる。

    医者から死の宣告を受けるが、手術は無事成功し、生き延びることができた。

    その後は、入院や検査を重ねながら学生生活を過ごすことになる。幼少期の多くを病室で過ごした。

    当時のことを「友だちは『ゲームボーイ』だけでした」と語る。

    夢の警察官になる。半年で退職

    ハルオサンは高校卒業後、公務員試験に合格し警察官になる。

    警察官に憧れた理由についてこう話す。

    「機動刑事ジバンの影響があるかもしれません。子どもの頃、警察官のヒーロードラマが流行っていて、それが大好きでした。『正義の味方=警察官=ヒーロー』みたいなイメージがあったんでしょうね」

    「あとは幼稚園の頃、警察官の人と交流できる会みたいなモノに参加した思い出も影響があるかもしれません。たくさんの子がいる中で、自分だけがパトカーに乗せてもらえたんです」

    しかし、警察学校でのいじめや暴力などが原因で半年で退職する。その影響から、長年うつ症状や不眠症に悩まされることになる。

    「警察学校での半年なので、仕事らしい仕事はしたことがありません。ただ、制服を着たときは、うれしかったです。今でも覚えています」

    その後は、アルバイト生活を2年ほど続けた後、家具店に就職。しかし、担当させられたのは部屋で事件、事故などが起こり、死体が片付いたあとの現場処理。

    家具店が“裏の顔”として行なっていた。しかし、1年ほどで倒産した。

    次に、飛び込み営業の会社に入るが「1日14時間労働」「休みは月2日」「給料は平均5〜10万円」とブラック企業だった。

    退職後、法人営業の会社に3年。親戚の設備会社に5年と職場を転々とした。

    婚約者が新興宗教の教祖

    ハルオサンは現在、未婚だが過去には結婚目前まで付き合った彼女がいた。生まれて初めての彼女だった。

    彼女との出会いは、先述のブラック営業会社。

    初めての彼女に、夢中になった。付き合ってすぐ彼女の母親に「結婚を前提にお付き合いさせて下さい」と挨拶をし、同棲生活をスタートする。

    貧乏ながらも幸せな生活を送っていたが、彼女の「5股」が発覚する。また、彼女は母親と一緒に新興宗教を立ち上げており、その教祖だった。

    母親の家庭内で起きていた暴力などが明らかになる。

    婚約破棄。初めての彼女との恋は終わった。

    町工場に再就職。頚椎をけが

    設備会社のあと、ハルオサンは町工場に再就職した。

    しかし、重労働で首の頚椎が曲がった。「体が動かないお前に居場所はない」と宣告され、静かに会社を去った。

    体が動かなくなり、在宅ワークを始めるが、給料が支払われないまま会社が行方をくらます。

    現在は、傷病手当金を頼りに1人で暮らしている。

    駆け足になるがここまでが、ハルオサンの人生である。

    私の「クソ人生」を笑って

    行き先々で起きる不幸な出来事。ハルオサンは話す。

    「ちょっとおかしいとこが多いかなくらいとは思います。けれど、出会うべくして出会った職場だと考えています。少なくともいまの状況が悪い原因はすべて自分自身にあります」

    ブログを始めた理由をこう話す。

    「このブログは『自分は不幸だ』と思っている人にこそ、読んで欲しいと思っています。たぶん私の人生より悲惨な人はそうそういないと思います」

    「私のクソ人生を見て『バカなヤツがいるな』と笑ってもらえればうれしいです。人を見下してはいけない道徳的な考え方がありますが、私のブログではそんな考えは必要ありません。人は上ばかりみていると疲れてしまいますから、どうかこのブログで下の人間を見て首を休めてください」

    ハルオサンは、今から就職活動したところで雇ってくれるまともな会社はないだろうと話す。

    彼は自らのクソ人生を“笑い”にし、ペン一本で生きていく覚悟だ。