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あなたの子が黒髪強制をされたら… 「子どもの人権侵害110番」を知っていますか

悩んでいるのは子どもだけではない。

大阪府立高校3年生の女子生徒が、生まれつき茶色い髪を黒く染めるよう教諭らから何度も指導され、精神的な苦痛を受けたとして、府に対して約220万円の賠償を求める訴訟を大阪地裁に起こした。

同じような境遇に置かれた人は多い。BuzzFeed Newsは過去に黒髪を強制され、親子で悩んだ母親に話を聞いた。

「地毛でも茶色は黒く染めろ」と言われ…

mocaさん(仮名)の長男は生まれつき、クセ毛で髪の毛と瞳が茶色い。また色白のため、幼少期から「ハーフみたいだね」と言われてきた。

2014年3月に関東圏の公立高校に入学。合格発表の数日後にあった入学説明会で天然パーマ、地毛が茶色い生徒は「地毛証明書」を提出するよう学校側から説明があった。

mocaさん親子は地毛証明書を提出。それにも関わらず、入学後、生活指導の教諭や担任から事あるごとに「地毛でも茶色は黒く染めろ」「縮毛矯正しろ」と言われた。

mocaさんにも学校からよく電話がかかってきた。それは卒業するまで続いたという。

「生活指導の先生に髪の毛のことを注意されたので『それはもうすでに話してありますよね』と言ったら、『いや、違うんです。○○君が地毛なのは教師一同みんなで共有させていただいているのですが、他の生徒は知らないため、なぜ○○君だけ茶髪が許されるのか? と言われかねません。それに○○君がそのことでいじめにあってしまうかもしれませんので』と言われたことがあります。それでも、頑として黒染めはさせませんでした」

生活指導の教員からは「○○君の通ってた中学に行って話を聞いてきたんだけど、本当に天然パーマなんだね。髪の毛も茶色だったと聞いたけど、職員会議にかけて黒染めしてもらうかどうか決めるから」と言われたこともあった。

悩んだmocaさんは「子どもの人権110番」に相談した。

「子どもの人権110番」を知っていますか?

いじめや体罰、親による虐待など子どもをめぐる人権問題は周囲の目につきにくい。また被害者である子ども自身は、身近に相談できる大人がいない場合が多い。

法務省の「子どもの人権110番」は、このような子どもを救済し、解決に導くための専用相談窓口だ。

子どもだけでなく、大人も相談可能である。mocaさんは知人の紹介から子どもの人権110番に電話をかけた。

対応したのは女性職員。長男が学校で言われていることを話し、親子ともに悩んでいることを相談した。

「とても親身に話を聞いてくれて、『地毛が茶色の髪を黒染めしろというのは人権侵害にあたります。まずは教育委員会に相談して様子を見て、それでもダメなら法務省で外部調査をします』と言ってもらえました」

「私自身も天然パーマで高校生のとき、先生にパーマをかけていると疑われ、髪の毛を水で濡らされることがありましたが、正直、これが人権侵害だとは考えませんでした。知人や子どもの人権110番の方の話を聞いて、『先生が言うことが絶対ではないんだ』とあらためて思いました」

お母さんも悩んでいるかもしれない

mocaさんは、今回の大阪府の女子生徒の報道をみて思うことがある。

「長男は今回の女子生徒さんよりも先生の対応はひどくはなかったのですが、それでも親子ともに悔しくて、やりきれない悲しいを思いをしました。それなのに『母子家庭だから茶髪にしているのか』など言われるとは、本当に意味がわかりません」

「女子生徒さんは長男以上に傷ついたと思います。そして、このお母様も、もしかしたら自分のことを責めてしまっているかもしれない、と。他人事とは思えず、ニュースを知ったときはとても悲しい気持ちになりました」

「人権侵害の判断は難しい。まずは相談を」

「子どもの人権110番」を管理する法務省人権擁護局調査救済課の担当者はBuzzFeed Newsの取材に話す。

「今回のような黒髪の強制が人権侵害かどうかの判断は難しいです。まずは職員が問題の背景をヒアリングします。その上で、学校側との調整に同席したり、教育委員会に報告したり、救済に努めます。悩んでいる方は、まずは電話で相談してください」

電話は最寄りの法務局・地方法務局につながり、法務局職員または人権擁護委員が対応する。

●子どもの人権110番

0120-007-110(全国共通・無料)受付時間は平日午前8時30分〜午後5時15分


生まれつき茶色い髪の毛を黒く染めろ。そう教師から強要された女子高校生が裁判を起こしました。この件に限らず、教育の場には、生徒の個性や多様性、自主性を奪うルールが存在しています。

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BuzzFeed JapanNews