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選挙ポスターは盛ってる? プロに撮ってもらった

テクニックに驚愕。

参議院選挙が6月22日に始まりました。各選挙区には、立候補者のポスターが張り出されています。

候補者の印象を大きく左右する選挙ポスター。その制作はどのようになっているのでしょうか? BuzzFeedは、舞台裏に潜入しました。

今回協力いただいたのは、スタジオ☆ディーバ(以下、ディーバ)さん。選挙ポスターをはじめ、お見合い写真やCDジャケット、グラビアアイドルの撮影まで幅広く手掛けるスタジオです。

写真左が代表取締役でフォトグラファーの山口直也さん。右がヘアメイクの掘米エミさん。僭越ながら中央が私です。

選挙ポスター、現在と昔の変化

ディーバはこの道、20年。代表の山口さんに、選挙ポスターの現在と昔の変化を聞いてみました。

「昔は、立候補者の地元の写真館や、伊勢丹写真室、帝国ホテルなどで撮影するのが主流だったね。それが変わってきたのが約10年前。民主党(現:民進党)が政権交代を起こしたときから、業界にも変化が出た感じだね」

「自民党は基盤が強く、選挙区を大切にする考え。民主党はそれほど意識していなかったのでは。それがイメージ戦略が重要になり、『お金をかけて良いポスターを撮ろう』という風潮になったね」

ディーバで撮影するために、北海道や沖縄からわざわざ来る立候補者もいるという。多くは秘書や選挙プランナーの口コミで「あのスタジオは良い」と広まっていくそうだ。

「あとはデジタル化も大きな背景。地方の写真館などは旧弊なやり方で、写真をデータでもらえなかったりする。ポスター以外にも個人のホームページやフライヤー、SNSで利用するのも当たり前になっているからね」

トホホ……困った候補者たち

ディーバは不偏不党で依頼を受けており、党首クラスの撮影も担当したそう。今回の参院選も自民党や民進党、おおさか維新の会などの候補者の撮影を手掛けました。

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撮影時、苦労した立候補者はいるのでしょうか?

「いるよ。だいたい『◯◯チルドレン』とか新人候補だね。こっちとしては、政策を聞いたうえで、そのイメージにあった撮影をするんだけど『え、政策……!? これから党へ行って聞いてきます!!』とかね。ちょっと残念だし、こちらのテンションも下がってしまう」

「あとは比例区の分が足りなくなって、ギリギリで駆け込んでくる人とかもその傾向があるね。あとは『対立候補のポスターが良かった! 負けないように撮り直してくれ!!』ってのもあったね。けど、その対立候補も私が撮っているんだよ(笑)。まぁ同じようにがんばるしかないね」

通常、立候補者は告示の1年〜半年前にスタジオに依頼。撮影を行い、そこからデザイン会社に渡り、文字入れが行われます。

料金は上半身のみの撮影で4万5000円〜(簡単な調整、ヘアメイク、コーディネート込み)。枚数やパターンを変えての撮影で料金は変動していきます。

「昔の話だけど、自民党からは『安すぎて逆に心配だ』って言われたね。反対に民主党は『もう少しまけて!!』って言ってた。民主党、お金なかったからね」

正直、ポスターって”盛っている”の?

さて、みなさんは選挙ポスターと実物を見て、”その違い”にびっくりした経験はありませんか? 私はあります。正直、写真って加工しているの?

「輪郭を変えたり、目を大きくしたり、別人になってしまう加工はやっていないよ。よほどその候補者から強い要望がない限りだけど……」

やっている人、いるんだ。やっぱり。

「女性立候補者に多いんだよね。シワを消してくれとか、シミを隠してくれとか。確かに顔の印象は大事だし、ポスターだと細かい部分まで見えてしまう。その気持ちも分かるけど、やり過ぎると人間味がなくなってアンドロイドみたいになるでしょ? 投票したくないよね」

極力、メイクのみで余計な加工はしないのがディーバの考え。ただプロモーション商品なので、髪の毛が立っていたり、服にゴミが付いていたりしたら消してあげる。

「ただでさえ、公約は守られるとは限らない。誰とは言えないけど、言葉では何とでも言える。せめて写真くらいは、ウソをつかずいこうよってね。うちのモットーは『共感と超越』だから」

東日本大震災以降、ガッツポーズはなくなる

次は、候補者の表情やポージングについて聞いてみたいと思います。

「東日本大震災以降、ガッツポーズは自粛ムードで少なくなったんだよね。笑顔もなんとなくダメという風潮になった。けど『辛気臭くやってもしょうがないだろ!』となって、笑顔はまた増えてきたね 」

「今年も熊本地震があったけど、笑顔が多め。それでもガッツポーズはやっぱり少ないかな。基本的にはその人のイメージ、政党の政策などをヒアリングして決める」

「今年は『未来目線』が多い。安倍首相もそうだし、公明党の山口代表も目線を外して未来を見つめている。震災の影響もあると思うけど、『明るい未来を目指す』イメージを大事にしているんだろうね」

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「あとは与党、野党でだいぶ違いはある。自民党はどっしりと構えて『受けて立つぞ』というイメージ。ポスターで勢いがあるのは、おおさか維新の会だな。イケイケガンガンという感じ。民進はちょっと元気がないね……」

また18歳選挙権については、今回の反響をみて今度に生かしたいとのこと。18歳に響くポスターはどのようなものかを、試行錯誤していかないといけません。

実際に選挙写真を撮ってみよう

さて、ここから実際に私の「選挙写真」を撮ってみて、どのような行程で進んでいくのかを調べたいと思います。

これが現在の私です。

確実に落選ですね。ヒゲが生えているし、ヨレヨレのシャツですし、髪型も変です。

「ヒゲを生やしている立候補者なんていませんよ!」ということで、その場で剃り落とし、ヘアメイクに移ります。

なんか、”リア充”が髪切っているときみたいになりました。

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メイクはヒゲ剃り跡を隠すためにファンデーションをしたり、眉毛を整えたりしました。あと私は目が細いので、ビューラーで目をパッチリに♡

次にネクタイ選びです。立候補者は自前の人が多いそうですが、手ぶらで来てしまったので、スタジオの衣装を借ります。BuzzFeedのカラーでもある赤をチョイス。

いよいよ撮影スタートです。

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テストを重ねて、このネクタイでいいか。髪型は大丈夫かなど議論を重ねて進んでいきます。さすがプロ。取材とはいえ、真剣そのものです。

そんなこんなで撮影が無事終了しました。ここでもう一度、撮影前の私を見てみましょう。

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これがプロの手にかかると……、

すげぇ!! こういう候補者いません?

現在、私は27歳なので、ライトを強めに当て、フレッシュさを演出しました。目線は未来を見ています。手前味噌ですが、『投票してもいいかな』と思いますよね。

ここから私の私生活と比較して見ていきましょう。

今度はライトを上から当てて、日光を浴びているイメージ。頭部と肩口に光を当て、屋外にいる活動的な印象を与えます。

こちらは実績を重ねて、二期目の当選を目指す候補者のイメージ。ライトは抑えて、落ち着きや信頼感を有権者に与えます。

これは山口さんいわく「人生の朝8時」。左からライトを当てて、朝日を浴びているイメージです。こちらもフレッシュさをアピール。

本当にプロの技には驚かされました。山口さんは「うちに来た人は、みんな当選させたい気持ちで撮る。それがプロの仕事だからね」と語ります。

今回聞いた話を含め、選挙ポスターを見ると違った見方ができそうですね。

次はこの写真が実際にポスターになるまでのようすをお届けします。

CORRECTION

「維新の党」を「おおさか維新の会」に訂正しました。


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