選挙ポスターを作るポイントは? プロに聞いてみた

    BuzzFeed党をよろしくお願いします。

    明日は参院選の投票日。選挙ポスターは候補者の行方を大きく左右します。

    BuzzFeedはその舞台裏に潜入し、プロに選挙ポスター用の写真を撮影してもらいました。

    その結果がこちら。

    ディーバ
    ディーバ
    ディーバ

    今回は、この写真を選挙ポスターにしてもらいたいと思います。

    協力してもらうのは、選挙コンサルティング専門会社のダイアログさん(以下、ダイアログ)。代表取締役の松田馨さんに話を聞きました。

    大事なのは、やっぱり顔と名前!

    ポスターを制作するにあたり、まずは候補者にどのようなポスターにしたいのか。なにを訴えたいのかをヒアリングします。それからデザインを相談しながら組んでいき、スタジオにそれにあった写真を依頼。

    あがってきた写真に文字を入れ、ポスターに仕上げます。

    「やはりポスター制作においても候補者の思いが一番大事なのです。『とりあえずいいポスター作って』と言われても困りますから。なかにはそのような候補者もいますが、お断りする場合もあります。投票する方だって真剣なのに、候補者がそのようではダメですよね」(以下、松田さん)

    ダイアログは不偏不党で依頼を受けますが、基本的にはひとつの選挙区につき、候補者1人までの契約としています。

    意外かもしれませんが、ポスターに政策はあまり書かないんですよ。やはり大事なのは、顔と名前を印象付けること。以前のデータですが、笑顔で顔写真と名前が大きいポスターの候補者が当選確率が高いことがわかりました

    政策など抽象的なことは書かず、名前とキャッチーコピーだけに絞った方がいいパターンもあります。しかし、掲示板の前で立ち止まって眺める人もいるので、細かく書いた方がいいという意見も。

    またネット選挙解禁後、公式サイトへのQRコードや、SNSを使用していることをポスター内に記載する候補者が増えたそう。

    「あとは色も重要ですね。例えば対立候補が青を使っていたら、反対に赤や黄、緑をメインカラーにし、目立つようにします。日本人は青が好きで、信頼感を与えますからね」

    「あとは環境政策を訴えるのであれば、緑を使ったりします。その候補者によってメインカラーは変えていきますね」

    選挙ポスターを作ろう!

    さて、実際にポスターを作ってもらいます。ヒアリング内容は「なぜ政治家になりたいのか」「実現したい政策」など基本的なこと。また、家族構成や経歴、健康面などさまざまです。

    松田さんのヒアリングが始まります。

    「では、今回の参院選でなにを訴えたいですか?」

    ーーえ!? そうですね。では、政治をバズらせたいです……。

    「なるほど。新人候補ですか?」

    ーーはい。27歳の新人候補という設定でお願いします。

    「27歳なの!? 参院選出れないよ!!」※参院選の立候補は満30歳から。

    ーーそこはまぁ、あくまで取材なので……。

    「新人候補となると未来目線かなー。けれど、初めましてだから、目線があった方がいいんですよね。ほかには?」

    ーー秋田県出身で部活は野球部でした。あ! この業界に入る前は、アパレル業界で働いていました!!

    「それはあまり惹かれません」

    ーーすみません。BuzzFeedとしては『楽しく、信頼されるメディア』を目指しています。

    「なるほど、なるほど」

    「播磨谷さんの場合、名前が難しいですね。読めない人もいますし、投票したくても書けない場合があります。『はりまや拓巳』にしましょう」

    そんなこんなで、無事ポスターができあがりました。こちらが以前の私。

    これがプロのカメラマンと、プロのデザイナーの手にかかると……

    当選しそう。プロ、すげぇな……。実家の母親に「俺、政治家になったよ」と言ってもバレなさそう。

    顔写真をできるだけ大きくし、特徴的な「はりまや」という名前を前面に出しました。これで「はりまや」とだけ書かれても1票に含まれます。色はBuzzFeedのイメージカラーである赤。

    ここからは前回同様、惰弱な私生活と比較していきましょう。

    場末のガールズバーでクダを巻いていても……

    当選しそう。

    こちらは写真の印象が強いので、縦書き部分をキャッチにして、BuzzFeed公認が目立つようにしています。設定としては「BuzzFeed党が人気のある場合」です。

    酔っ払って、1人でSnapchatで遊んでいても……

    当選しそう。

    こちらは顔写真と名前を小さくしたもの。先のものと見比べると、どちらが印象に残るか一目瞭然だと思います。

    できるだけ名前と顔を大きくして、印象に残るようにレイアウトするのがポイントです。

    国政選挙・知事選挙は400×420mmのサイズ指定があるので、その比率でデザインしてもらいました。

    また、ポスターには「掲示責任者」「印刷者」「個人演説会の日程書き込み欄」が必須記載事項となっています。

    記載内容の制限はありませんが、選挙公報の場合は自治体の選管ごとに「当該選挙の期日前3カ月以内に撮影した上半身脱帽の写真」となっています。

    「これを守っていない候補がたまに見受けられますね」と松田さん。

    ところで、選挙ポスターの加工っていいの?

    選挙ポスターで気になるのが「加工ってどこまで許されるの?」という点です。今回取材に協力してくれた二社は、目を大きくしたり、輪郭を変えたりする過度な加工はしないとのこと。

    髪の毛が立っていたり、服にゴミが付いていたりしたら消してあげる程度にとどめます。

    松田さんも「不自然な写真の人は、やっぱり信頼できませんよね。18歳選挙が始まり、若い人たちのほうが加工にすぐ気づくかもしれないですね」と話します。

    4月、国会でこの問題が取り上げられました。松田公太参院議員が、「選挙ポスターがあまりにも実物とかけ離れているような方が多い」と述べ、公職選挙法の改正またはガイドラインの策定を求めました。

    これに対し、高市早苗総務相は「公選法上ポスターに写真を載せなければならない規定はない」「各党各党派で議論してもらい、写真を掲載した場合に何か制限すべきだという意見がまとまった場合には、総務省で何ができるか考える」と答弁しました。

    BuzzFeedが選挙管理委員会に聞いたところ、「掲示ポスターに関しては、各候補者の責任であり、当会の管轄外。どこまで加工が許されるのか、回答できる窓口は存在しないと思う。業者に聞いてみては」とのこと。

    へーそうなんだ。

    明日の投票に向けて、今一度、候補者のポスターを眺めてみてもいいかもしれませんね。


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