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「くじらの胃の中にプラスチックごみが…」ある小学生が動物を代弁して伝えたいこと

佐賀県唐津市の小学生が、ビーチで拾ったプラスチックごみを使い、くじらのアートを作りました。動物の代わりになって伝えたかった思いを聞きました。

佐賀県唐津市のキャンプ場に9月、1日だけ「くじら」が現れました。

くじらの体は、ペットボトルのキャップや、プラスチック片など、周辺のビーチで拾った「プラスチックごみ」に覆われています。

なぜ、プラごみで覆われたくじらが展示されたのでしょうか。

ヒューマンアカデミー

このくじらは、プラスチックごみ問題について広く知ってもらうために作られたアート。唐津市内に住む小学生がつくりました。

「人間が出したプラスチックごみで、動物が苦しんでいる」。そう伝えるために作成したといいます。

BuzzFeed Newsは、くじらのアートを作った小学生2人にオンラインで話を聞きました。

ヒューマンアカデミー

笹山舜月さん(左)と田中希歩さん

くじらのアートの製作を発案し、作ったのは、佐賀県唐津市在住の小学6年生、田中希歩さん(12)と笹山舜月さん(12)。「ecorobo mate(えころぼ めいと)」の名前で活動しています

くじらは体長3メートル、幅1.5メートルで、木の枠組みとワイヤーで土台を作り、そこに不織布を貼って、プラごみが貼り付けられています。

2人は、ロボットの仕組みを学んだり、プログラミングなどで実際にロボットを作ったりする「ヒューマンアカデミーロボット教室」に通っていて、今回のくじらの模型も、2人が通う唐津市民交流プラザ教室での活動で作られました。

「人間が出したごみで動物たちが」2人がくじらを通して、伝えたいこと

BuzzFeed

オンラインで取材に応じる田中さん(左)と笹山さん

「くじらを作ろう」。そう発案したのは田中さん。

きっかけは、海に漂流したプラスチックごみを食べ、胃の中にプラスチックごみが溜まって死んでしまったくじらについて、本で読み、衝撃を受けたことでした。

田中さんはこう話します。

「くじらの胃の中にプラスチックが溜まったり、亀の鼻にストローが刺さってしまっている写真を見ました。私たちが出したごみのせいでそのようなことになっていると、気付いてほしくて、くじらを作りました」

また、くじらのアートを見た人には、そのような動物への被害が人間が出したごみのせいだと気づき、「ごみ拾いをしたり、ごみを出さない工夫などをしてほしい」と語ります。

ヒューマンアカデミー

くじらを覆うプラごみ。ビーチに捨てられていたペットボトルのキャップなどもアートに使用した。

実際に、各国で近年、死んだくじらの胃の中から大量のプラスチックが見つかる例が相次いで発生しています。

2019年3月には、フィリピン・ミンダナオの浜辺に打ち上げられたクジラの死体から、重さ計40キログラムものプラスチック袋が見つかりました。

その年の11月には、スコットランドの砂浜でクジラの死体が見つかり、解剖で胃から100キログラムものプラスチックなどのごみの塊が発見されています。

ビーチに散乱するごみ。海外からも漂流。異臭も

くじらに貼られたプラスチックごみは、唐津市のビーチで拾われたものです。

2人は春から数カ月にわたり、ロボット教室の先生や保護者らと何度も、主に近所のビーチ5カ所を回り、ごみ拾いをしました。

ビーチには、ペットボトルや食品の包装などのプラスチックごみが散乱しており、ごみから匂いがする程のビーチもあったといいます。

その場で「ポイ捨て」されたとみられるごみも多くあった一方で、田中さんは、海外から漂流してきた可能性も考えられる、韓国語や中国語が印字されたプラ製容器のごみもあったと話します。

実際、風や海流に乗って海に流れる「海洋ごみ」の問題は深刻で、日本政府も調査を実施して対策を講じています。

2人が通うロボット教室、唐津市民交流プラザ教室の代表・田中綾さんは、ごみ拾いをしたビーチの様子についてこう語ります。

「シーズン中の遊泳区域などは、海の家の人たちなどが掃除してくださったていて綺麗に保たれていますが、シーズンオフのビーチや遊泳禁止区域は、ごみが散乱していました」

また、ごみが散乱したビーチを目の当たりにした2人の様子については、こう話しました。

「海で目の当たりにした現実をきっかけに、(ごみがもたらす影響などについて)調べるようになりました。そのごみを魚たちが食べている、または気候変動にも繋がっているということまで知るようになって、『自分ごと』になり危機感に繋がったのだと思います」

ヒューマンアカデミー

プラごみでくじらのアートを作り、プラごみ問題や海洋ごみ問題について問題提起するプロジェクトは、インド、イタリア、中国など各国でも実施されてきました。

今回のキャンプ場の展示では、展示することによって環境を汚染したりすることのないように注意を払い、展示も期間限定的なものにしました。

展示の際も、新しくプラスチックを使わないように廃材の木を用いたりしたということです。

AFP=時事

(上)インドのチェンナイのビーチで2019年に展示されたくじら。4万個の使用済みペットボトルキャップを使い作られ、海洋ごみ問題について呼びかけられた。(下)イタリアのローマで2018年に展示されたくじら。250kgのプラごみが使われた。

「プラごみ問題、広く知ってほしい」開いたイベント

始めは「ecorobo mate」の田中さんと笹山さん2人から始まったくじらのプロジェクトでしたが、途中、多くの人がごみ拾いの活動や、そこで拾ったプラごみをくじらに貼ったりする作業に参加してきました。

8月末には唐津市と隣接する糸島市にある野北海岸でも、2日間のイベントを実施。地元の人たちもくじらにプラごみを貼って、環境問題について共に考えました。

9月中旬には、くじらは小学校にも出張し、海とごみ問題についての授業が実施されました。

そうして多くの人たちを巻き込みながら作られたくじらは、9月22日に開かれたイベントで完成されました。

ヒューマンアカデミー

田中さんと笹山さんは、イベントについてのちらしを作って唐津市内の小学校に配り、波戸岬キャンプ場で開かれたイベントには当日、多くの小学生を含む80人が来場。

感染予防対策もしながら、皆で付近のごみ拾いをし、そこで集まったプラごみをくじらに貼って、遂にくじらが完成しました。

2人はプラスチックごみや大気汚染について紙しばいなど展示を作って、集まった小学生らに向けて発表しました。

笹山さんは「みんな、思ったより興味をもってくれて、ぼくたちに『これってなに?』など聞いてくれて嬉しかったです」と話します。

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2人が作った環境問題に関する展示(左)

また、イベントではスタンプラリーを作って、来場者に「環境のために私たちにできること」を書いてもらったといいます。

田中さんはそこで集まった「マイボトルやマイストローを使う」などのアイディアについて、「自分にできることを、これからもみんなに続けてほしいなと思います」と話しました。

2人は今後も、ビーチのごみ拾いなどの活動を続けていくということです。


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