「ありえない」「男性オンリーの街づくり?」国交省の講座に批判。講師25人に女性はゼロ。一体なぜ…取材した

    国土交通省が主催の街づくりに関する講座の講師が、25人全員が男性で、女性は一人もいませんでした。「男性オンリーの街づくり?」「ありえない」との批判が相次いでいます。

    国土交通省主催の街づくりに関する講座で、講師を務める25人全員が男性で「男性オンリーの街づくり?」「ありえない」との批判が相次いでいる。

    批判を受け国交省は、「日程等の都合から女性講師がいない形になった」と説明。

    国交省の担当者は7月21日、BuzzFeed Newsの取材に「複数の女性講師による講義の追加を検討しています」と語った。

    講師全員が男性になった背景や今後の改善策の予定などを、国交省の担当者に取材した。

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    Twitter: @MLIT_JAPAN

    問題となっている講座は、今年9月〜来年2月までオンラインで開催される、自治体や行政機関の職員向けの「公務員アーバニストスクール」。

    国交省が公式Twitterアカウントに7月19日、25人の男性講師陣の顔写真が載ったポスターを掲載し、告知すると批判が相次いだ。

    Twitter上では、「街を使う人の半分は女性なのに」「講師に男性ばかりを選ぶことに異論はなかったのか」「令和の時代にこれは…」との指摘が殺到している。

    近年、行政機関・民間企業・団体共に、イベントの登壇者や審議会のメンバー構成では、ジェンダーバランスを考慮する流れが強まってきている。

    日本政府は、あらゆる分野での女性の参画拡大の目標を掲げており、第5次男女共同参画基本計画に基づき、国の審議会では2025年までに女性委員の割合を40%以上とすることを成果目標として設定している。

    目標達成に現状が追いつかず、目標が先送りされつつも、各分野での指導的地位に女性が占める割合も、30%程度になるよう数値を設定している。

    国交省「日程等の都合で女性講師がいない形に」「真摯に受け止め今後に生かす」

    Twitterで批判が相次ぎ、国交省は7月20日にTwitterを更新。以下のように今回の講師陣のジェンダーバランスについて説明した。

    《講師の皆様については、女性も含めて検討しておりましたが、 日程等の都合などから最終的にこのような女性講師がいない形となってしまいました》

    《 今後予定している交流会等に女性講師をお願いすることも引続き検討しております。 頂いたご意見を真摯に受け止め今後の取組に生かしてまいります》

    このコメントに対してはTwitterで、「女性だけ軒並み日程が合わないんでしょうか」「そのまま開講するの?企画しなおすべき」との声があがっている。

    講師の皆様については、女性も含めて検討しておりましたが、 日程等の都合などから最終的にこのような女性講師がいない形となってしまいました。 今後予定している交流会等に女性講師をお願いすることも引続き検討しております。 頂いたご意見を真摯に受け止め今後の取組に生かしてまいります。

    Twitter: @MLIT_JAPAN

    国交省担当者「女性としての目線は街づくりに欠かせない」「至らない点あった」

    BuzzFeed Newsは、オンライン講座を主催する、国交省都市局まちづくり推進課の担当者を取材した。

    担当者によると、この講座は2019年度から開かれており、例年、約20人の講師のうち女性講師が2人いた。

    今年の講座でも継続して講師を依頼しようとしていたが、うち1人は死去。もう1人は今年の講座でも登壇予定だったが、直前になって都合により辞退した。そのため、今年の講師陣は全員が男性になってしまったという。

    直前に辞退があったとはいえ、辞退前の講師陣も27人中女性が1人と、女性の割合は非常に低い。(男性も1人辞退したため最終的には講師は全25人になった)

    その点に対しては担当者は「至らない点があった」と話した。

    ジェンダーバランスに批判が相次いだことに関しては「ご指摘を頂いており、真摯に受け止めております」とし、今後については以下のように説明した。

    「追加の講義を検討しており、第2クールに少なくとも複数人の女性講師による講義を追加できるように検討しています。現在、お願いできる講師をリストアップして策定中です」

    「女性としての目線は街づくりに欠かせないので、オンラインで実施する交流会(研修)では女性講師に依頼する予定です」

    担当者は、審議会などで公的発言をする委員では、女性、障害者、高齢者など様々な立場からの視点を取り入れることを重視し、国交省でも政府の方針のもと、「審議会の委員は3割以上は女性になるように構成している」と語った。

    土木系、建設系の現場では、全体的にも男性の比率が高いという現状もある。そのため、国交省も民間企業と連携し、女性が働きやすい職場作りなどの取り組み実態調査も行っている。