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ユニクロの服と生産過程の「人権」どう考える? ファーストリテイリングが会見で語ったこと

ファーストリテイリングが、環境問題や人権をめぐる取り組みについて会見した。

ユニクロを展開するファーストリテイリングが12月2日、環境問題や人権、多様性に関する目標や現状を説明する会見を開いた。

報道陣からはウイグル問題についての質問もあり、同社役員は「人権の尊重は経営の最重要課題」「トレーサビリティー(透明性)も担保していく」と回答した。

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2030年度までに素材の半数をリサイクル素材に切り替え

環境対策については、2030年度までに全使用素材の約50%をリサイクル素材などに切り替えると表明。温室効果ガス排出量も同年度までに2019年度比で90%削減するという目標を掲げた。

店舗での衣類の回収や、リサイクルにも引き続き取り組む。

温室効果ガスの排出量削減に向けては、店舗での省エネを進め、再生可能エネルギーの割合も増やしていく。

2030年までに、全世界のグループ店舗と主要オフィスで使用する電力を、再生可能エネルギー100%に切り替える予定だ。

欧州9カ国では、すでに2021年8月末までに、ユニクロ全64店舗での再生可能エネルギーへの切り替えが完了しているという。

店舗だけでなく、取引先工場などサプライチェーンでも、2030年度までに温室効果ガス排出量を2019年度比で20%減らすことを目指す。

多様性に関しては、2030年度までにグローバルで全管理職における女性の比率を50%に引き上げると発表。目標に向け、次世代の管理職や経営者の育成を強化していく。

「人権問題は起こっているのか?起こっていないのか」記者からの質問

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衣類をつくる工場や配送などのサプライチェーンでの労働環境や人権遵守については、国際労働機関(ILO)の基準に沿い、2004年からすべての工場に対して、「コード・オブ・コンダクト」(企業行動規範)の遵守を求めている。

そのうえで、第三者機関が人権侵害や労働環境について定期的に監査をしているという。柳井康治・上席執行役員は会見で以下のように語った。

「生産過程からお客さまに届けられるすべてのプロセスにおいて、人権に配慮してお買い物していただけるサプライチェーンを実現するために、これまでも人権侵害を絶対容認しないという姿勢を明確にしてきました」

昨年度は「深刻な人権侵害や安全衛生上、極めて深刻な状況がみられるという『E評価』の工場はゼロだった」と説明。

労働環境などに問題が生じた場合、工場で働くスタッフらが、匿名かつ現地の言葉で直接通報できるホットラインも設けているという。

UNIQLO

会見で話す柳井康治・上席執行役員

中国の新疆ウイグル自治区での強制労働は、世界的に批判を集めている。ユニクロ製品には強制労働によってつくられた綿は使われていないのか?

会見の質疑応答では、次のような質問も飛び出した。

「これまでの会見でも、人権に配慮しないところから商品を調達しているのかという質問があったと思います。新疆ウイグル自治区に限らず、御社のサプライチェーンの中で、人権問題は起こっているのか? 起こっていないのか」

新田幸弘グループ執行役員は、こう回答した。

「最近では、原材料までさかのぼった確認を、社会、あるいは市場が求めています。人権侵害行為がない、人権を尊重するということを経営の最重要課題として捉えている中で、トレーサビリティーも担保していくことに力を入れていきたいと思っています」

「これまでそういう問題がなかったのかという質問に対しては、原材料までさかのぼって、ありとあらゆる地域におけるトレーサビリティーと、人権侵害や環境の問題がないということを、第三者などを通じて確認しております。これまでそういう問題は起こっておりません」

時事通信

ウイグル問題をめぐっては、同社はこれまでも決算会見などの場で、繰り返し「人権に問題がないことを確認している」と述べてきた。

しかし、欧米諸国の対応は厳しく、フランスでは今夏、人権団体の告発を受けて当局がユニクロを含む衣類関連企業の捜査に乗り出し、米国の税関当局はユニクロのシャツの輸入を差し止めた。 

米国の輸入差し止めが報道された際、ファーストリテイリングは「弊社サプライチェーンにおいて強制労働の事実はなく、製品の輸入に問題がないことを説明」「本件については弊社の説明が認められなかった」との声明を出した。

ウイグル自治区では中国政府の手によって国外メディアの自由な取材が制限され、実際に何が起きているのかを把握するのが難しい状況だ。

そんな中で、人権団体の報告や報道などをベースにウイグル問題を訴える欧米と、それを否定する中国政府の主張は平行線をたどっている。

一方、人権問題に焦点が当たる以前から、新疆ウイグル自治区が綿の世界的な産地であることも事実だ。

こうしたウイグル産の原料や製品をめぐり、欧米と中国の狭間に立たされている企業はユニクロだけではなく、国際ビジネスの大きな焦点の一つとなっている。