りゅうちぇる「自分の色を信じて、らしく生きたい」。芸術祭を通じて”違い”認めあう社会に

    9月から、東京都内で障害やジェンダー、国籍など、あらゆる「違い」を超えた芸術祭「True Colors Festival」が開かれます。

    「今までコンプレックスだったことが、自分の自信に。いろんな人が自分の『色』を信じて自分らしく生きることで、もっとダイバーシティ豊かになって、より良い社会になっていくと思います」

    小さい頃からメイクや可愛いものが好きで「男なのに」とからかわれ、悩んだ時期もあるという、タレントのRYUCHELL(りゅうちぇる)さんはそう語る。

    東京都内で9月から始まる芸術祭「True Colors Festival」のアンバサダーに就任し、8月23日に都内で開かれた会見で「違い」について、思いを述べた。

    この芸術祭では、障害・性・世代・言語・国籍など、あらゆる「違い」を持ったアーティストらが舞台を作り上げるほか、手話通訳や点字チラシ配布など来場者にも配慮した会場の取り組みがなされる。

    芸術祭は9月にスタートし、2020年7月まで都内各地でダンスや演劇、ミュージカルや音楽ライブなどの舞台が行われる。身体障害を持ったダンサーや音楽家、LGBTQへの理解などをテーマにする芸術家が、各国から参加する。

    芸術祭は、それぞれの人の才能や個性こそがその人の「本当の色」だという意味を込め「True Colors Festivalー超ダイバーシティ芸術祭ー」と名付けられている。

    りゅうちぇるさんは会見で、自身の個性である周囲との「違い」についての経験談を話した。

    小さな頃、まわりの男友達とはファッションや趣味が違い、からかわれた経験から「僕みたいな人が認められる時はいつになったら来るんだろう」と思っていたという。

    「芸能の仕事をしているからこうして『りゅうちぇる』として認められて応援してもらっています。でも普通の社会で生きていたら、男なのにメイクもするし声も高く、ジェスチャーも女の子っぽかったりするので、『男なのに』『この歳で』とか言われたりしていたかもしれない」

    あらゆる「違い」を個性として認め合う時代になっているからこそ、「僕みたいな人が前にでて、こうやってキラキラ生きれるんだよっていうことをイベントを通して表現できれば」と語った。

    同芸術祭は、2006年に「国際障害者芸術祭」として、ラオス・ベトナムで初めて開催され、日本財団(東京都港区)の主催で、アジア各地で開かれてきた。2018年にシンガポールで開催された際には、計1万人が鑑賞したという。日本で同芸術祭が開催されるのはこれが初めて。

    これまでは国際障害者芸術祭として開催してきたが、今回の日本での開催を機に、「障害・性・世代・言語・国籍などの違いを理解するための芸術祭」というテーマになった。

    アンバサダーには、りゅうちぇるさんの他に、乙武洋匡さん、タレントでモデルのラブリさん、IVAN(アイバン)さんが就任した。

    アイバンさんは日本、スペイン、メキシコにルーツを持ち、ラブリさんも日本とフィリピンにルーツを持っている。多様な国、文化からの参加という観点の他にも、アイバンさんは「私はトランスジェンダーとして発信もしていて、マイノリティーが生きやすい環境をイベントを通して広めていけたら」と話した。

    また、先天性四肢欠損により幼少期から電動車椅子で生活する乙武さんは、「まだまだマイノリティーの人たちは、働くこととか家族を持ったりすることにハードルがあって、社会に参加しにくい状態にあります」と指摘。

    「アートという分野はそういった意味では参加しやすいフィールドなので、存分に個性を発揮していただき、マイノリティーではない皆さんは(普段)マイノリティーの方々と接する機会は限られているので、アートを通じて接する機会になれば」と話した。

    芸術祭は、9月10日に渋谷ストリーム稲荷橋広場で行われるイベントを皮切りに、1年弱にわたり都内各地でイベントが開かれる。

    9月10日のイベントでは、カナダ・モントリオールを拠点に活動する、多国籍の障害者によるブレイクダンスグループ・ILL-Abilities(イルアビリティーズ)が、日本のダンサーとダンスバトルをする。

    年明けからは、ジャズ、ミュージカル、ファッションなど毎月テーマを決めて、様々なイベントが行われる予定。