「不当な判決」ミャンマーで拘束の久保田徹さんに7年の禁錮。判決に強い非難の声

    ミャンマーでデモ撮影中に拘束された久保田徹さんに、禁錮7年が言い渡された。ジャーナリストの北角裕樹さんは「不当な判決だ」と指摘する。

    軍が実権を握るミャンマーで、デモを撮影している際に現地の警察に拘束され、裁判が行われていた久保田徹さんに、禁錮7年が言い渡された。共同通信などが10月5日に報じた。

    刑期の長い判決に、日本で衝撃が広がっている。ミャンマーで取材中に昨年、逮捕されたジャーナリストの北角裕樹さんは「不当な判決だ」と指摘する。

    共同通信によると、ミャンマーの裁判所は久保田さんに扇動罪で禁錮3年、通信に関する罪で禁錮7年をそれぞれ言い渡した。合計で禁錮10年になるかどうかは確認中という。

    久保田さんは今年7月13日に日本を出発し、ミャンマーの最大都市ヤンゴンでドキュメンタリーを撮影していた。

    ヤンゴンで7月30日にデモを撮影していた際、現地の警察に拘束された。

    久保田さんはこれまでも十数回以上にわたりミャンマーに渡航し、ドキュメンタリーの撮影をしていた。

    「弁護士の立ち会いもなし」「不当な判決」北角裕樹さん

    ジャーナリストの北角裕樹さんは6日、BuzzFeed Newsの取材に、今回の判決についてこう語った。

    「今回の判決は軍事法廷で下されている。弁護士も立ち会っていない状況で即日、一日で審理も結審して判決が下されるという早い裁判でした。内容の詳細はまだわかりませんが、証拠をきちんと確認して下された判決ではなく不当なものだと思います」

    「久保田さんは職業倫理に従って、今ミャンマーで何が起きているかということを伝えようとしただけです。そもそも取材をしていて拘束されること自体が不当です」

    「現在、久保田さんの他にもミャンマーではジャーナリスト100人以上が拘束されていています」

    北角さんは、在住していたミャンマーで昨年、取材中に逮捕され、約1ヶ月間にわたり当局に拘束・一時起訴されていた。

    北角さんは日本政府に対しては「厳しい交渉となると思いますが、元々久保田さんの逮捕自体が不当なことでしたので、即時釈放を求めてほしい」と話した。

    タイに拠点を置くミャンマーの人権団体「政治犯支援協会(AAPP)」によると、昨年2月1日のクーデター後に拘束されたミャンマー人は、少なくとも1万5千人以上で、現在も約1万2千人が身柄を拘束されている。

    クーデター後、軍は、独裁に抗議し民主主義を求めるために声を上げた市民らを激しく弾圧。同人権団体によると、軍や警察により少なくとも2千人が殺害された。

    久保田さん解放求める署名に5万筆以上

    久保田さんの拘束後、日本に暮らすミャンマー人の有志らは、外務省前などで「クボタトオルさんを助けてください」と書かれたプラカードを掲げ、解放を求める要請を実施した。

    久保田さんの即時解放を求めるオンライン署名も立ち上がり、10月6日時点で5万9千筆以上が集まっている。