ミャンマーで拘束の久保田さんが帰国。手渡された花束には「おかえりなさい。よく頑張りましたね。ゆっくり身体を休めて」の言葉

    ミャンマーで収監されていたドキュメンタリー制作者の久保田徹さんが解放され、日本に帰国しました。友人らが取材に応じました。

    ミャンマーで収監されていたドキュメンタリー制作者・久保田徹さんが11月17日に解放され、18日朝、日本に帰国した。

    久保田さんは、軍が実権を握るミャンマーで今年7月にデモ撮影中に拘束され、禁錮10年が言い渡されていた。

    ミャンマー軍は17日、「政治犯」として拘束されていた約6000人を「恩赦」として釈放していた。

    久保田さんの友人や仕事仲間の3人がBuzzFeedの取材に応じ、安堵の思いを述べた。

    羽田空港に到着した久保田さんには、友人や支援者から、帰国を歓迎する花束が手渡された。

    花束には「おかえりなさい。よく頑張りましたね。ゆっくり身体を休めてください」とのメッセージが添えられた。

    「安心して活動再開できるまでサポートしたい」

    久保田さんの友人で、久保田さんの解放に向けた署名活動やイベントなども主宰していた、俳優の今野誠二郎さんは取材に対し、こう話した。

    「帰国後はまずゆっくり休んで、家族と時間を過ごしてほしいと思います。その後、安心して活動を再開できるまで、あたたかくサポートを続けられたらと思います」

    「日本のSNSや記事のコメント欄では『自己責任論』やバッシングも多く見られます。彼は、覚悟と強い思いを持って現地に行っていました。刑務所の中では情報も遮断され、不安になっているとも思うので、支えていければと思います」

    久保田さんはこれまでも十数回以上にわたりミャンマーに渡航し、ドキュメンタリーの撮影をして発表してきた。

    昨年2月1日のクーデター後には、以前にも増してミャンマー国軍による市民への暴力や弾圧が強まっている。久保田さんは拘束時、若者たちによるデモの映像を撮影していた。

    拘束後、久保田さんは電子通信に関する罪や入国管理法違反の罪などで計10年の刑期を言い渡された。

    「ミャンマーで起きていること、日本国内で伝えてほしい」

    久保田さんの在日ミャンマー人の友人を代表して、解放を求める会見や、外務省への要請に参加していた、イスラム系少数民族のロヒンギャのミョーチョーチョーさんは解放に際し「まずは安心しました。よかった」と述べた。

    久保田さんは以前から、ロヒンギャの人々への迫害についても取材をしており、ミョーチョーチョーさんとは、日本に暮らすロヒンギャの人々への取材を通して出会っていた。

    ミョーチョーチョーさんはミャンマーの現在の状況などについて、以下のように語った。

    「ミャンマー国軍は、自分たちに反対する声を上げる人たちをことごとく不当に逮捕し、拘束している。拷問もあります」

    「久保田さんは、ミャンマーで何が起こっているかということを伝えるために現地に行き、取材していた時に逮捕されました。帰国後は、ミャンマーの市民に何が起きているのか、どれだけひどいことが起こっているのかを伝えてほしい」

    「そして、自分の身に起きたこともしっかりと、市民や日本政府に向けて伝えてほしいと思います」

    市民や記者ら多くが未だに拘束。北角さん「今すぐ解放されるべき」

    タイに拠点を置くミャンマーの人権団体「政治犯支援協会(AAPP)」によると、昨年2月1日のクーデター後に拘束されたミャンマー人は、少なくとも1万6千人以上。「恩赦」の直前も約1万3千人が身柄を拘束されていた。

    今回は、約6000人に恩赦が与えられたと報じられているが、実際にうち何人が解放されたのかなどの詳細は不明だ。

    昨年ミャンマーで取材中に逮捕され、約1ヶ月間にわたり当局に拘束・一時起訴されたジャーナリストの北角裕樹さんはBuzzFeedの取材に対し、現在も拘束されている人たちについてこう語った。

    「本当にたくさんの人たちが、不当に逮捕されて拘束されています。その数は、数えられているだけでも1万人以上です」

    「今回、どれくらいの規模の人数が解放されるかはまだ不透明ですが、不当に逮捕され拘束されている人たちは今すぐに全員解放されるべきです」

    現地報道によると、外国人では久保田さん以外に、元駐ミャンマー英国大使のヴィッキー・ボウマン氏や、アウンサンスーチー氏の経済顧問を務めていたオーストラリア人のショーン・ターネル氏も今回、「恩赦」の対象となった模様だ。

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