ミャンマーで拘束の日本人、解放求める声「無謀な若者ではない。強い思いで取材していた」

    ドキュメンタリー制作者の久保田徹さんがミャンマーで拘束されたことを受け、解放を求める声が上がっています。

    ドキュメンタリー制作者の久保田徹さん(26)がミャンマーで拘束されたことを受け、解放を求める声が上がっている。

    ジャーナリストやミャンマー人らが8月3日午後、都内で会見を開き、「一刻も早い解放を」と訴えた。

    久保田さんは7月13日に日本を出発し、ミャンマーの最大都市ヤンゴンでドキュメンタリーを撮影していた。

    ヤンゴンで7月30日にデモを撮影していた際、現地の警察に拘束された。

    久保田さんはこれまでも十数回以上にわたりミャンマーに渡航し、ロヒンギャ問題などの取材をしていた。

    昨年2月のミャンマー国軍によるクーデター後は、日本に暮らすミャンマー人による民主化活動も撮影し、ショートドキュメンタリーにまとめ公開していた。

    久保田さんの即時解放を求めるオンライン署名には、4万1千筆以上が集まっている。

    署名は8月5日に外務省の担当者に提出される予定。

    映画監督でジャーナリストの新田義貴さんは、「彼は決して無謀な若者ではなく、しっかりとした強い思いを持って現地で取材をしていたということを伝えたい」と話した。

    会見には、ミャンマーで取材中、昨年4〜5月に約1ヶ月間にわたり当局に逮捕され、一時起訴されたジャーナリストの北角裕樹さんも参加。

    北角さんは「拘束され、同じような境遇にいたので、どうにかしたいと思いました」「拘束された時は、多くの人に助けてもらったので、今回は自分が動かないといけないと思った」と話した。

    クーデターで権力を握ったミャンマーの軍事政権はこのほど、アウンサンスーチー氏の側近だった元議員や民主化活動家ら4人の死刑を執行。

    北角さんは「私が拘束された時よりヤンゴンの状態は悪くなっている」とした上で、久保田さんについてこう話した。

    「国際的な関心がミャンマーから遠ざかり、国軍の弾圧と内戦がどんどんひどくなる中で、久保田さんには『今起きていることを伝えないといけない』という思いがありました」

    「久保田さんが取材しようとしていたデモは、当局の取り締まりの対象で、危険でした。しかし、危険ということはわかった上で、それでも取材するという判断をしたのだと思います」

    FNNの3日の報道によると、久保田さんは裁判を受ける見通しという。

    「久保田さん、そして共に拘束された若者の解放を」

    会見には、久保田さんのミャンマー人の友人を代表して、イスラム系少数民族のロヒンギャのミョーチョーチョーさんも参加した。

    ミョーチョーチョーさんは、「拘束されたというニュースを聞いて心が痛かった」「久保田さんそして、共に拘束された何の罪もない、平和な国を作りたいという思いを持った若者たちも解放してほしい」と話した。

    現地メディアなどは、久保田さんと共に、約3人のミャンマー人民主化活動家の若者たちも拘束されたと報じている。

    ミョーチョーチョーさんら日本に暮らすミャンマー人の有志は7月31日、外務省前で解放を求める要請を実施した。

    林芳正外相は8月2日の会見で、「日本大使館はミャンマー当局に対して、当該邦人の早期解放を働きかけている」「引き続き、情報収集に努めるとともに、早期解放を求めていく」と話している。